草原の魔王と魔王の祖先2
つい こないだまで英雄だったのに、ベーレ国では飛んでもない事になっていた。
ベーレ国の人たち全員が 魔王だと思っているわけではないだろうけど
人というのは 「スクープ!悪魔を倒した英雄は実は魔王でした!」みたいなのが好きなのだろうか?
濡れ衣を晴らさねば・・。
そのためにも 王様を城に戻さないとな。
でも 今は 城に潜入するより食堂がどうなっているのか一度見にいってみよう。
それにしても 地面がホコリっぽいな。。
トシユキは 土ぼこりの上がる路地を歩いて食堂を目指して歩いた。
途中で クーダ教会の近くに差し掛かったときに鐘の音が鳴り始めた。
「ガラン♪ガラン♪」
クーダ教会の鐘の音が聞こえる。
こんな人通りの多い時間に鐘の音が鳴るなんてどうしたのだろう?
行きかう通行人たちが足を止めて祈りを始めた。
あちらの人もこちらの人も たち膝になり祈るポーズをとって
何やらブツブツと唱えている。
この世界の祈りって 唱えないはずだけど 何を唱えているんだ?
気になる。
ちょっと 聞き耳を立ててみた。
「メテオストライク・・・メテオストライク・・どうか。どうか。メテオストライク・・」
ブツブツと 恐ろしい祈りの声が聞こえてくる。
祈っている人の周囲に小さな土の玉が出来た。
そして空へと飛んでいったのだった。
これは 呪文の詠唱なのか?
さて どこが狙われているのか? 嫌な予感しかしない。
食堂はとりあえずは大丈夫なようだ。
おばちゃんは元気そうで、子供たちは外に遊びに行っている。
おばちゃんからは また 魔王トシユキの情報を聞くことが出来た。
クーダ教会では魔王トシユキについての情報を発信しているらしい。
トシユキが どうして暴れ出したのかというと
魔王としての復活を企んでいたトシユキが ついに悪魔を食べることが出来たらしい
そして 何も知らない王様から褒美として伝説の聖剣を貰ったのだとか。
聖剣が魔王の手に落ち、王様も行方知れずになって 絶望的な状況になったと!
しかし 救いはある、、それは昔の神が魔王に与えたと言われているスキル、
メテオストライクを今度はトシユキのいる草原に放つことらしい。
祈りがささげられ 空高くには今も隕石が造られ続けているということだった。
トシユキは 食堂のおばちゃんに金貨を渡して食堂を後にした。
頭上を見上げても 隕石のような物体は見えないけど
メテオストライクが完成する前に止めなければいけない。
しかも 王様が不在なんて言いふらして得をする人物だ。
いよいよ限られてきたな。
トシユキは 城を目指した。
しかし 途中で兵士に追われる二人組を見つける。
「キャ! 先へ行ってミーフ・・」
エルフのミーフに手を引かれて走って逃げるドワーフのハーパー。
だけど 腕を引っ張られるアンバランスな走り方についに 石につまづいてしまった。。
引っ張り起そうとするミーフ、そして 足をバタバタさせて起き上がる兆しのないハーパー
ミーフが顔を見上げると 追ってくる兵士がこちらへ駆けてきた!!
「エナジーランス!!」
トシユキのエナジーランスが 兵士を貫いた。
兵士は 気絶した。
「あなたはもしかして!」
ミーフは 風のように駆けよって来て トシユキの頭をラグビーボールのようにわきに抱えて
そのまま走り出した。
「あなた 大変なことになっているわよ。あなたも逃げなきゃ」
「まぁー ってぇー ミーフぅ~! どうせなら、私を、抱えて、走って!」
ハーパーは 息を切らせながら追いかけてきた。
ミーフは立ち止まり トシユキを離した。
そして 済ました感じで「ハーパー、 あなた よく気づいたわね!」といった。
「こっちにいたぞ!」
俺たちは再び兵士に見つかってしまった。
今度は 数人がこちらへ駆けてくる。
どうする? エナジーランス?、逃げる?
「逃げるわよ!! エアーベール!」
※エアーベール
飛んできた矢などを払い除ける防御系の風魔法
ミーフは 地面に向かって風魔法を放った。
放出された空気が、ロケットの発射の煙のようにツチボコリを舞い上げた。
口元を抑える 周囲の人々。
兵士は視界を遮られて怯んだすきに 逃げ出した。
人目を避けて狭い路地を通る。
兵士たちも追ってくるが 鎧なので狭い路地は苦手なようだ。
「ミーフ、トシユキ、このまま スラムに逃げるわよ、がはは」
ハーパーの狙いだったのか、兵士との距離はどんどん離れていく
この分ならなんとか スラムまで逃げられそうだ。
しかし
「ワンワン!ワンワン!」
犬? 犬の鳴く声が聞こえてくる。
複数の声が こちらに近づいて来ようとしているのか?
こちらに向けて鳴き声を上げているように聞こえてきた。
走って逃げていると どんどん鳴き声が増えて こちらに近づいてきていることが分かった。
「トシユキ ここでお別れよ。あなた、ほんとは屋根の高さまで駆け上がれるでしょ?
あなたの身のこなしを見ていればわかるわ!逃げなさい」
ミーフに突然一人で逃げてくれと言われた。
「逃げて。。じゃないと私が、みじめじゃない。私たちずっと一緒だったの、だから何とかなるわ がははは」
何があったのかよくわからない。
手短に説明してもらったが 犬は軍用犬で元のベースが「黒い狼」。
それを 改良したものが一般的な軍用犬らしい。
そして 二人はおそらく臭いを覚えられているのでここでお別れしたいということだった。
草原にいる「黒い狼」は火炎放射という炎を吐くスキルが使えるヤツもいる。
だから 狭い路地で 炎を吐かれたら厄介か・・。
俺は 魔石の入った袋に手をかけた、
そして 二人には少しの間隠れてもらおう。そう言おうとした瞬間。
「こっちだ! こっち!! 上だよ!」
マイクの声がした。
上を見上げると、マイクが、あの非戦闘員のマイクが屋根の上にいる。
そして クモの糸のロープを下に垂らしてくれた。
「待たせたぜ ミーフちゃん!! 」
「マイクぅ~!」
「マイクさん」
ハーパーは うっとしりた顔つきになりマイクを見つめていた、
まさに ヒーローっといった感じでカッコいい。
マイクは やるときはやる男なんだ!
ロープにはハーパーが先に捕まってよじ登り始めていた。
スパイダー糸ってサラサラしてシルクのようだから 少し登りずらいかもしれない。
かと言って 獲物を捕獲するときに使う接着剤のネバネバを着けてしまうと絡まってしまう。
「ワンワンワンワン!!」
さっきよりも 軍用犬が近づいてきた。
ミーフは 飛び上がると建物の窓に足をかけて何度かジャンプすると屋根に駆け上がった。
そして ハーパーの登っているロープを引っ張り始めたが、引っ張られるロープを登のは難しいだろう。
ハーパーは ゆすられている。
「ハーパー確りして!!」
マイク。。 この子、天然だぞ。
「ガルル ワンワン!!」
黒いのが現れたぞ。
草原の狼よりも小さくて大型犬より一回り大きいくらいだ。
「エナジーランス!!」
トシユキは エナジーランスを軍用犬に投げつけた。
軍用犬は気絶した。
トシユキの後ろ側の路地からも軍用犬が飛び出してきた!
「任せろ!」
マイクが クモの糸をうまく使って屋根から飛び降りてきた。
そして クモの糸を軍用犬に放って 身動きを奪っていく。
炎は 吐かないようだ。これなら 何とかなるか。
その後も 何匹も押し寄せてくる軍用犬をやっつけて行った。
しかし マイクはスパイダーとの息がピッタリだ。
ローブに手をかけて、スパイダーショット!!とか言いながら ローブを全開に開く!
すると スパイダーがネットを飛ばすて攻撃するという技だ。
「スパイダーショット!!」
「スパイダーショット!!・・・」
ローブの中にちゃんと服は着ていたと思う。多分大丈夫だ。
俺たちはその後 うまく逃げることが出来た。
スラム街のほうへ行けば行くほど 路地も狭く障害物も増えてくるので
それで、なんとか 逃げられたのだと思う。
日も傾き 夕方になった。
俺たちは 水路と街の雨水を流すトンネルの入り口のところに潜んでいる。
トンネルの中は 点検のための通路が両側に通っていて中を歩くいて進むことが出来そうだ。
「おう 夕飯、買ってきたぜ!」
マイクは 軍用犬に捕まらないので 買い出しに行ってもらった。
俺たちは 今日はこのトンネルに隠れることにした。
洞窟の奥の 狭い部屋のような空間で 焚火をする。
焚火と言っても マグマのような火魔法なのだけど、でも オレンジ色の光が周囲を照らし
気持ちが少し和んだ。
「ジャラン♪ ジャラン♪」
「一曲くらい、いいじゃない」
ハーパーのハープの演奏が始まった。。




