8−3、蒼月 side
8−3、蒼月 side
見覚えのないリオウさんのような青銀の長い髪に赤い瞳の美形男性。
「おいおい、俺を忘れちまったのかよ〜。」
おどけて笑う男性。
(この声、忘れたくても忘れられない声よね……、ん?ま、まさか!!!)
「……もしや、モーブ??」
「あったりぃwよくわかったね〜、前は鏡から出てなかったのにww」
凄くうれしそうに笑う。
「声でわかったわよ!なに!!!なんでココにいるの!!!!!」
(モーブって鏡に取り付いてたんじゃ??)
マルスの腕の中からモーブに抗議する私。
「モーブ。お前なぁ、人間の形も取れることぐらい教えとけよ。」
「まぁ、そう言うなってエンジww俺も百何十年ぶりにこの形になったんだからさ♪」
(……ほんっとぉぉに、なんでもアリな世界だな、あっちって(汗))
現実逃避に走りかける意識は、やわららかな声に引き戻された。
「ソウちゃん?マルス君と結婚するの?」
「………うん。母さん。」
(ここまでマルスにされちゃ、受け入れなくちゃね……)
ヒートアップして言い合いをするモーブと父をよそに、母・辰砂が話しかけてくる。
「…そう。父さんも母さんも反対はしないわ。
けど、ソウちゃんの赤目・赤髪はどうするの?マルス君の世界ではちょっと厄介でしょ??」
「うっぐっ。その通りです。」
赤目・赤髪の女性はマルスの世界では“世界に危険が迫った時だけ赤目・赤髪の女性が現れる”とされているのだ。
赤目・赤髪の私がマルスの世界に行くと混乱の元になる。
(…ど、どうしよう(焦))
慌てる私を見た父さんと舌戦中のモーブが暢気そうに「あ、それは大丈夫。」という。
「大丈夫って??」
「あのね、今の王様ってチョロイの。」
「どういうことよ、モーブ?」
(いや、仮にも王様がチョロイってどういう事?)
疑問だ……
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