7−2、マルス side
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7−2、マルス side
「ソウの帰る方法が見つかった」と分かった瞬間、俺は喜んでやらなくてはならないのに「ソウを手放したくない」という感情にとらわれてしまった。
「ソウ……。」
「なに?」
そっけない返事。
(…俺はソウに何を期待しているのだ?)
「急には…、帰らないな?」
「ん、うん。何?真剣な顔して。」
(やはり放したくない…)
視線がソウと絡む。
じーっと俺の目を見続けるソウ。
無意識に手が伸び、ソウの頬を包む。
一瞬、キョトンとしたソウは触れている俺の手に目線を映した。
その後、両手で頬に触れている俺の手を包んでゆっくりと瞼を閉じたソウは、安心しきった顔をして自分の手で包んだ俺の手に首をかしげて体重を少しかけてくる。
甘えられているようで少し嬉しい気持ちで胸が温かくなる。
今、ソウと俺の間には穏やかな空気が流れており、とても心地が良い。
(触れたい…)
ソウの安心しきり、甘える顔を見ているとそんな気持ちがちらつく。
ふとソウの唇に目が行った。
(触れたい……)
吸い寄せられるようにソウの唇に口づけを落とす。
急に真っ赤になったかと思うと頭を抱えて「は?……っへ??」と言い出すソウ。
自然とその様子に俺は笑みがこみ上げる。
(かわいい………)
気がつくとソウを抱きしめていた。
(そうか……、俺は…)
段々とソウを抱きしめる力が強くなる。
それに伴って体を固くしていくソウ。
(俺はソウが好きなのか。)
理由が分かれば、先日からの不自然な胸の痛みも理解できる。
「…ソウ。突然ですまない。」
ソウからの返事はないが、ピクっと肩が跳ねた。
(……話は聞こえている。)
「ソウ。好きだ。」
一拍、おいて腕の中のソウが勢いよくガバっと顔をあげた。
「はぁぁぁ!!?」
(……おい、目と口を開いて言う言葉がそれか!!)
そう思いつつも「ソウのそんな顔も可愛い」と感じている以上もう手遅れだろう。
“人間、自覚すれば強くなる。”
とはよく言ったものだと、苦笑してしまった。
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