6−24 蒼月 side
6−24 蒼月 side
「ご、ごめん!間違った。
…っていうか何で私はここに!?そしてマルスがここに!!?何してたわけ!!!?プラムは!!!!?リオウさんは!!!!!?」
私はプラムとリオウさんに勧められるままにおいしいお酒を飲んで、ご飯を食べて……。それから……、えぇ〜っと………………
(…きっ、記憶がない!!)
父さんとマルスを間違ったことは謝りつつ、記憶がないことを思い出して慌てふためく私。
「わぁわぁ」と1人でやっていると隣からマルスが声をかけてきた。
「ここは俺の部屋。
プラムとリオウに酔い潰されたから連れて帰って寝かせた。今頃、プラムたちも自室でもう寝ている。」
笑い混じりのマルス言われ、「安心しろ。暴れたり、吐いたりはしていない。」と付け加えてくれる。
ちょっと後半はありがたくない付け加えである。
「そう、ありがとう。で、マルスはここで何をしていたの?」
「あぁ。今日集めた本を少し読んでいたのだ。それで妙な本を見つけた。」
「妙な本?」
「これだ。」とマルスは装丁が赤い飴色のような革張りの古めかしい本を差し出した。
受け取ってしげしげと眺めると、本に使われている紙は全て皮をなめしたものであり、見かけよりもずっと重い本であった。
「開いて中を見てみろ。」
「?」と思いながらマルスに言われたとおり、本を開く。
そこにあった文字はこの世界にないもの。
「に、日本語ぉ〜!!!」
(え、えぇ!!ちょっと待って!!!なんでここに日本語の本が…!!!?)
ふと目に入った1ページ目の文字。
「え…、“東雲 苑治”?」
(父さん…!?)
「…な、ソウ!その文字が読めるのか!!?」
驚くマルスにコクリと首を縦に振ることで答える。
「……読んで聞かせてくれないか?」
マルスの声は急に低くなって真剣みを帯びる。
「わかった。」と返事をして私は本を音読し始めた。
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