最終話・偽りの終焉
***
冬「……………ん。」
目覚めてみれば、そこは自宅の机の上だった。
どうやら、いつの間にか寝ていたらしい。
ふと、頭の中に、ある少女の顔が浮かぶ。
冬「…………そうだっ。」
眠気は一気に消え失せ、あの異様な出来事が全て蘇る。
時間を確認する。
3時31分53秒
多少進んではいるが、学校内で確認した時間と大差変わらない。
嘘では無いらしい。
蒼麻に連絡を入れようと、携帯に手を伸ばしかけ、止める。
冬(あいつの時間は俺より遅かった筈だ。となると………)
と、考え始めたところで携帯に着信が入る。
ディスプレイを見ると、ちょうど今、頭の中に思い浮かんだ人物だった。
火『もしもし、冬木?』
少し落ち着きない様子の、火野さんの声が聞こえてくる。
冬「ああ、無事だったみたいだな。」
火『……そっちも無事そうで何よりだ。』
俺の声を聞いて安堵するため息を吐く火野さん。
冬「火野さん、上山は?」
火『部室にいるよ、ピンピンしてる。』
冬「そうなると、後は蒼麻と先輩、菫さんか……。」
火『いや、蓮ちゃんもいる。蒼麻と菫ちゃんだけだ。』
時間の確認なんてしなかったから解らなかったが、どうやら、蓮先輩は俺達より早かったらしい。
冬「先輩も無事か………。分かった、準備して部室に行く。」
火『そうしてくれ。』
冬「ああ、すぐに行く。それと…………。」
火『………?』
冬「日記の用意を頼む。」
***
火野さんとの連絡を終え、支度して部室に着く頃には4時を回っていた。
上「冬木、無事で良かったよ!」
冬「流石に、今回ばかりは、お前もな、と言っとくわ。」
見たところ、無事な上山を見て安心する。
秋「……………。」
冬「先輩、どっかいてぇ所は?」
秋「え?う、うん…。私は平気……。」
少し疲れ気味らしいが、蓮先輩も無事だ。
一番最初にいなくなったもんだから、無事を確認出来たのは嬉しい限りだ。
火「お前、あの後大丈夫だったのか?」
冬「ああ、あの女にも会ったが、何も無かった。」
火「………っ。」
冬「詳しい話は、後の2人が来てからだ。頼んでおいたのは?」
火「………そこにある。」
火野さんが指差した場所には、あの不思議な学校内で探し回っていた一冊の日記が置かれていた。
冬「……………。」
何に躊躇う事もなく、日記を手に取り、パラパラとめくっていき、最後のページを見る。
女「…ばき君、さ………ら……」
かすれて読めなくなってしまった最後の日記。
彼女は、何を想い、これを書いたのだろう。
背後で扉の開く音がする。
夏「宗治、良かった……!」
冬「お前もな………。」
親友の無事を見て安堵し………
菫「宗君、良かった………。」
冬「菫さん、呼び方………。」
姉みたいな人に照れ隠しをする。
これだけあれば、何時もは満足出来る筈なのに………
何故、俺は………
もう、会うであろう事ない少女の事ばかりが頭の中にあるのであろう……。
女「………あなたも、違う。」
全てが閉ざされた校舎にただ1人、誰かを待つ、あの少女の事ばかり………




