オイそこ、授業中スルメを食べるな
授業中スルメ食べてると先生にバレそうで、チキンな私にはできないです。
先生、斜め前から異臭がします。
入学式から一カ月たってみんなそれなりに打ち解けてきた。メールアドレスもクラス全員分のを手に入れたし、休み時間に絡む仲間もできた。
友達を作るのが得意な俺にとって、みんなと仲良くなるのはさほど難しいことではなかった。
そして、彼女を作るという目標も難なくクリアした。
…………まぁ、その彼女が。
「ねぇ菜保、スルメ臭いよ。先生にバレるかもしれないからやめとけば?」
「だいじょーぶだいじょーぶ、あの先生花粉症だから、鼻きかないよ」
あぁそんな幸せそうな顔でスルメを食むな。そしてくちゃくちゃ音を立てながらスルメを周りの奴に差し出すな。
揺れるポニーテール、長い睫毛……そして芸術的な唇。
入学して数週間はおとなしかった彼女も、一か月たてば御覧の通り。
「あ、駿介も食べるー? 美味しいよこのスルメ」
「なぁ菜保、今授業中だぞ。ノートとらなくていいのか?」
「歴史なんてノートとらなくても大丈夫だよ、聞いとくだけで頭ん中入ってくるし」
こう見えても菜保は頭がいい。テストでは必ず平均点以上をとるし、記憶力もバツグンだ。
毎日必ず一時間勉強してる俺でも、テストはたまに平均点以下をとってしまうし、記憶力もそんなにいいとは言えない。なのでそれ以上説得するのは不可能だった。
ただな、いいか。
高校一年生の春真っ盛りの女子生徒がスルメをくちゃくちゃ噛むのはどうかと思うぞ。
「あのな菜保、お前は女の子なんだ。自覚しろ」
「えーいいじゃん。女の子だってたまにはオヤジになりたいんですーっ」
「たまにじゃないだろ、いつもいつもだろーが」
どうしたら、こうなった。
まるでオヤジが留年しているみたいじゃないか。
「ハイそこー、ズビズビ。しゃべらないでー……ズビズビ、くださいズビズビ」
歴史担当の先生は花粉症が酷いらしくしょっちゅう鼻をすすっている。おかげで注意も注意に聞こえない。
……それにしてもこのスルメの匂いに気付かないって、すごいよな。
「匂いひどいから、片づけろ。な?」
「んー……わかった。さすがに飽きてきたし」
真剣に説得したら菜保も分かってくれたようだ。しぶしぶスルメを袋に戻し、鞄に直した。
そして暑いからと言って許可をもらい、窓も空けた。これで換気もできる。
そして数分後。
「ねぇ菜保、カルパス臭いよー。先生にバレるかもしれないからやめとけば?」
「んー……コレにコーラあったら最高なんだけどなー。カルパスおつまみにしてコーラ飲むと、ほんとーにおいしいんだ」
先生、席替え希望していいですか。
昔カルパスが大好物で近所の駄菓子屋に行ってはよく買っていました。
公園で友達とカルパスパーティー……懐かしいです。




