そもそもの始まりは
どうも、Hzです。
初めての連載がこんな話とは……と複雑な気持ちです。
ポケットティッシュをもらう時のような、軽い気持ちで読んでください。
「付き合おっか」
そんなメールで始まったこの関係。
俺、飯田 駿介はいたってフツーの高校生だ。大きな失敗も、また大きな成功もなく生きてきた。
人並みに勉強をし、人並みに受験をし、受かった。そして今も人並みの人生を送っている。
ただひとつ。俺は恋愛というものを一切したことがない。高校に入ると周りは、少なくとも一回は付き合ったことのある奴ばかりで、付き合ったことのない奴は俺ともう一人オタクの男子生徒だけだった。
やばい、そう思った俺は彼女を探し始めた。どんなにブスでもいいし、どんなにバカでもいいし、この際どんなガリガリでもデブでもいい。彼女が欲しい。
ヤケになっている俺の前に現れたのが、同じクラスの住倉 菜保だった。
教室で初めて菜保を見た時、俺はまず綺麗な唇に目がいった。菜保の顔はパッと見地味なのだが、唇だけが粘土で形作ったように整っていた。この唇を写真にとってポストカードにして売れば、大儲けできるかもしれないと一瞬思ってしまうほどだった。
人によって好みの唇は違うし、俺自身唇フェチというワケではないのだが、熟れた苺のように愛らしいその唇に俺は目が釘付けになってしまった。
面と向かって告白するのは恥ずかしいので、メールアドレスを聞いた次の日、さりげなく付き合わないかとメールしてみた。返事はオーケー。俺はガッツポーズをきめた。
今、真剣に考えてみる。
どんなにブスでもいい、どんなにバカでもいい、どんなにガリガリでも、デブでもいい。とにかく俺は彼女が欲しかった。
そして彼女になった菜保は、思わず目をそむけたくなる程ブスでもなければ、イライラしすぎて胃痛を引き起こすほどバカでもない。骸骨かと間違える程ガリガリでもないし養豚場の豚のようにデブでもない。普通の俺にふさわしい普通の彼女だ。
でも俺は見抜けなかった。しょうがない、高校に入学して三週間くらいで付き合ったのだから情報収集ができなかったのだ。しょうがない。しょうがない。
菜保は俺の親父以上に、オヤジだった。
女の子は可愛らしい、おしとやかなイメージを持たれます。私自身、女の子は花のようなものだと思っていました。
でも気づいたんです。
女の子だって、人間なのです。