1章
門をくぐるとすぐに視界が開けた。
後ろを見ても門は無く、木々が生い茂った森があるだけだった。
葉の間からは陽光が降り注いでいる。
太陽が真上にあるから、今は昼ごろだろう。
緋音は聞いた話を整理するために、近くにあった大きな木の幹にもたれて座った。
「まず、この世界の名前は『ガーデニア』で、ステータスや魔法があって、魔物もいる。私は魔法使いになったけど、それ以外にも色んな『職業』がある、か」
緋音は片手を前へ出す。
「ステータスオープン」
「やっぱり、これはしないとね」
そう言うと、緋音の前に半透明のステータスウィンドウが現れた。
「わぁ、透けてる!」
―――――――――――――――――――――
[名前] 藤綿 緋音
[年齢] 17
[レベル] 1
[職業] 魔法使い
[HP] 50/50
[MP] 50/50
[属性] 火
[スキル] 燭光 鑑定 身体強化 火球
[状態] 通常
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燭光、鑑定、身体強化の3つのスキルは『基本スキル』と呼ばれ、職業に関係なく使うことが出来て魔力消費量が少ない。
それ以外のスキルは、職業ごとに習得することができる。
「火球……めっちゃファンタジーだ! どこかで試せないかな」
しばらく歩くと、遠くの方に小型のイノシシのような魔物を見つけた。
緋音はそっと近づき、掌を魔物に向ける。
「火球」
そう言うと、一瞬魔法陣のようなものが現れ、掌ほどの火の球が出てきて魔物の方に飛んでいった。
ぶつかると爆発し、魔物は倒れ動かなくなった。
「す、凄い! 火が出てきた!」
緋音は魔物に近寄ると落ちていた木の枝でつつく。
「もう、動かないよね……?」
その後も辺りを歩いたが、他にはいなかった。
太陽が傾き、辺りが薄暗くなってきていることに気が付くと、休む場所を探すために少し歩いた。
下の方に枝が少ない大木を見つけると登リ、太い枝に寝転がった。そして、ステータスを確認した。
―――――――――――――――――――――
[名前] 藤綿 緋音
[年齢] 17
[レベル] 1
[職業] 魔法使い
[HP] 50/50
[MP] 40/50
[属性] 火
[スキル] 燭光 鑑定 身体強化 火球
[状態] 通常
―――――――――――――――――――――
「火球1発でMPがマイナス10。だったら、MPが満たんでも火球は5発が限界かな。それにしても、今日は疲れた〜」
そう言うと、一日の疲れがどっと押し寄せてきて、緋音はいつの間にか寝ていた。
◇◇◇◇
翌朝。
空が明るくなってしばらくすると、緋音は目を覚ました。
「夢じゃなかったんだ」
緋音は辺りを見渡してから、木をおりた。
「街に行きたいけど……どこに向かって行けば良いの!?」
早速迷子になった。
「いや、適当に歩いてたら誰かと会うかも。さぁ、元気にしゅっぱ~っギャー!!」
後ろでガサガサと音がなったと思ったら、話し声が聞こえた。
振り向くと、剣や弓矢を持った、いかにも異世界人という装備の4人の若い男女がいた。
しかし、びっくりしたのは相手も同じだったようで桃髪の女性も悲鳴をあげていた。
他の3人は悲鳴はあげていないが驚いた表情をしていた。
最初に立ち直った紺髪の男性がたずねてきた。
「ここで何をしてるんだ?」
「…………」
(異世界から来たばかりで、どこに行けば良いか分からないなんて言えるわけないし)
その沈黙を相手の正体が分からず怪しんでいる様に見えた為か、剣を持った紺髪の男性は自己紹介をした。
「俺はケイ・セデベリア。冒険者パーティ、ベルキアのリーダーをやってる」
弓矢を持った翠髪の男性が続けて言う。
「僕はレニア・クレス」
短い杖を持った紅髪の女性が言った。
「あたしはエリカ・ヴァイオレットだ」
「わたしはロカ・リリスです」
最後に大きな杖を持った桃髪の女性が言った。
彼女はまだ、先ほどの驚きが残っているようで、杖を強く握っている。
緋音も彼等にならい名前を言う。
「私はアカネ・トウワタです」
緋音は本来の目的を果たす。
「私、街に行きたいんですけど、行き方って分かりますか」
「それなら、俺たちと一緒に来るか?」
「いいんですか!」
「あぁ、もちろんだ」
他の3人も同意する様に頷いた。
そうして、緋音は彼らと一緒に街に行くことになった。
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次回更新は4月4日(土)です。
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