1章1節
2幕―合宿編―の開始です。
―お知らせ―
8月5日(水)から「外伝・朱炎のアカネ 〜氷星〜」を連載開始します。
朝。ギルドに行くと、数人の見知らぬ冒険者たちがいた。
「アカネさん。こちらに来てください」
フィラに呼ばれ、緋音はその冒険者たちの元へ行った。
「これで、ストリから出発する合宿参加者がそろいました。馬車が来るまでお待ちください」
それから少し待っていると、ベルキアがやって来た。
「よぉ、アカネ。今日が出発なんだな」
「皆さん、おはようございます。今、馬車を待っているところです」
エリカに話しかけられ、緋音はそれに応える。
隣にいるケイも声をかけてきた。
「またストリに来てくれ」
「いつでも待ってるよ」
「また一緒に依頼を受けましょう」
続けて、レニアとロカも言った。
「はいっ!」
ベルキアのその言葉に、緋音はにっこりと笑って大きく頷く。
ギルドの建物の外で、ガラガラと音がする。
「参加者の皆さ〜ん。馬車が来ました!」
フィラが冒険者たちに呼びかける。
「どうやら、時間のようだな」
緋音は馬車に乗り込む。
「元気でな!」
「皆さんも、お元気で!」
馬車がゆっくりと動き出す。
緋音は馬車から顔を出し、ベルキアやフィラたちの姿が見えなくなるまで手を振った。
ギルドの3階からは、銀髪の女性が顔をのぞかせていた。
◇◇◇◇
馬車はやがて街を出て、草原を走る。
馬車に乗っている王立学院の教師だという男性が、冒険者たちを見回す。
「さて、合宿参加者たちよ。『ティオの森』まで数時間ほどかかるが、それまでの護衛は任せるぞ! ……まぁ、安全な道を通るのだがな!」
男性はそう言って、大きな声で笑った。
その言葉どおり、道中何事も無く馬車は進む。
それからしばらくすると、森が見えてきた。
「もうすぐ着くぞ!」
馬車はそのまま森へと入り、開けた場所で止まった。
辺りには、すでに着いていたらしい馬車がいくつかあった。
「向こうに受付があるから、そっちに行ってくれ」
人だかりができているところが受付だろう。
緋音はそこへ行く。
「参加者ですね。名前を教えてください」
「アカネ・トウワタです」
「はい、分かりました。合宿中は、こちらを腕に着けていてください」
受付にいた女性は、緋音に魔法陣が刻まれた腕輪を渡した。
緋音がそれを左腕に着けると、輪が縮んだ。
(わっ!? 勝手にサイズが合った!?)
その緋音の驚いた表情に、女性は微笑みながら言う。
「それは魔法具です。使用者に合わせて、大きさが変わるんですよ。向こうで、もう少し待っていてくださいね」
女性の指した方へ、緋音は行く。
待っていると、人がぞくぞくと集まってきた。
しばらくすると、置かれていた台にひとりの橙髪の男性が乗って、話し始めた。
「よぉし、全員集まったみたいだな。俺は王立学院教師のベクル・アスターだ。今回の合宿では、総責任者を務める」
ベクルは参加者全員を見渡して、話を続ける。
「まずは、今着けている腕輪に魔力を流してくれ」
緋音が腕輪に魔力を流すと、光の筋が一本現れた。
「合宿では、前衛職と後衛職でペアを組んでもらう。その腕輪は魔法具で、光を辿った先にペアがいる」
緋音は光が指す方向へ歩いていく。
やがて、緋音から出ていた光と繋がっている魔法具を着けた紫髪の少女が現れた。
「全員組めたみたいだな。その相手が、今日から5日間一緒に過ごす相手だ、仲良くしろよ。まず今日の予定だが、合宿創設者のリベア様により、初日は親睦を深める日と決められている。よって、自由に過ごして良いぞ。でも、だからって森からは出るなよ」
それだけ言うと、ベクルは台を下りた。
緋音が先ほどの少女の方を向くと、彼女が話しかけてきた。
「やぁ、ボクは王立学院1年生のコリウス・ボタンだよ。コルって呼んでね。よろしく」
「私は冒険者のアカネ・トウワタです。よろしくお願いします」
緋音はコリウスに小さく頭を下げる。
「ねぇねぇ、ボクたちって、そんなに年離れてないよね。今何歳?」
「17歳です」
「ボクは18。だからさ、敬語なんてやめてタメ口で話そうよ。……あ、嫌だったら、変えなくて良いよ?」
「全然嫌じゃないよ!」
緋音は首を横に振りながら、否定する。
「良かった。じゃあ、改めてよろしくね。アカネ」
「よろしく、コル」
コリウスが手を差し出し、緋音もそれを握り返した。
「それで、今日は何する? 学院の先輩が言ってたんだけどね、初日は本当に先生たちから何の指示もないみたいだよ」
「う〜ん……とりあえず、森の中歩いてみる?」
「そうだね」
森の中では、他の参加者たちも同じように歩いていた。
お読みいただきありがとうございます。
次回更新は8月1日(土)です。
よろしければ、ブクマと評価お願いします。




