チーム・リラ その漆とレオン側も少々
オリーブ視点
裏通りを抜け大通りに移動した所で、私たちは一度立ち止まる事にしました。
ちなみに、あの襲撃者たちは裏通りに転がしたまま、ほったらかしにしました。私たちとしては、情報を得られれば後はどうでも良いですからね。
「この「天都」を支配する商人の集まり……それが『十天商』と呼ばれている、十人の商人達。先程の襲撃者はその内の一人から依頼されたと言っていましたね。
あの男から得られた情報を、端的に説明してくれたのはローリエです。
「その「十天商」の方達が、私達を襲うように仕向けた」とアリス。
「つまり、その「十天商」には知られると困る何かがある……という事デスネ!」とローズ。
「秘密を守る為とはいえ、拙者達に刺客を送り付けてくるとは……その「十天商」とやらは相当後ろ暗い事があるのでござるな」と椿。
「そうよね~。でも~これからどうするの~? 多分だけど~私達、目を付けられちゃったわよ~?」とエリカ。
「明日以降も襲撃に備えなければ駄目」と鳳華。
「万全を期すなら、旦那様達と合流してからの方がよろしいかと存じます」とマリー。
「だがよ、このまま大人しく引き下がるのか? やられたからにはキッチリと「落とし前」をつけさせねぇとな」とアルメリア。
「……うん……冒険者は……舐められたら……お終い……」とリラ。
「そうねぇ、確かにこのまま何もしないというのはぁ、今後の事を考えるとぉ良くないわよねぇ」とソニア。
「報復に関しては、私も反対しませんが……肝心の「十天商」の居場所が分からないのですよ? そこはどうするのですか?」
最後は私の意見です。それに、「十天商」についても詳しい事が不明なのですから。ここは慎重に行動した方が良いと思います。
「……そういうのは……キキョウが……得意……」
というリラの台詞で、この話し合いは一旦終了する事に。やはり今後は、レオンさん達と合流してからになりそうです。
今日はここで家に帰る事になりました。そして明日は、「天都」には行かず家で過ごす事に。
さて、私はどう過ごしましょうか? 今から考えておかないといけませんね。
レオン視点
「……知らない天井だ」
一度は言ってみたかった台詞だが、中々言う機会が無かったな。遂に言えた……俺はとても満足しているよ。
まあ、そんな事はどうでも良い。ここはシャムフォリア王都にある『高級宿・極楽』という宿屋だ。
何故この宿に泊まっているかというと……それは少し前の話を見返してくれ。そこに詳細が書かれている。
『おはようございます。レオン様。』
うん? ガーベラか? おはよう。君が声を掛けてきた、という事は?
『はい。「上級ダンジョンの踏破」を確認いたしました。よって「召喚権」を一回、付与致します。』
やはりか。これは朝から良い報告を聞けたな。助かるよ。
『いえ。それが本機の役割ですので。』
そう言い残して、ガーベラの声は聞こえなくなった。これは、後で家族会議を開かなくてはな。
そんな事を考えていると、寝ていた妻達が起き始めたな。そして全員が起きる頃に、朝食が運ばれてきた。恐ろしい程にタイミングが良いな……何処かに監視カメラが仕掛けられていないだろうな?
「うん! 美味しいね♡」
提供された朝食を、満面の笑みで頬張るカトレア。確かにここの料理は美味い。流石は高級宿だな。素晴らしいサービスを提供してくれる。この悪趣味な内装さえ無ければなぁ……。
朝食を食べ終わり、宿のチェックアウトを済ませた後、王都ギルド本部へと足を延ばした。
今日ここに来たのは、「上級ダンジョン」攻略の報告をする為だな。昨日ダンジョンを攻略した後に、そこのギルド支部を訪れたのだが、「王都ギルド本部に直接報告してください」と言われてしまったのでな。面倒だが、これも冒険者としての責務だろう。それを疎かにするつもりは無い。
そう思い、意気揚々とギルド本部に乗り込んだ俺達の前に現れたのは……、
「よう来たのう。では、早速お主等の報告を聞こうかの」
「……何故、ここに賢者殿がいるのですか?」
そうなのだ、ギルド本部長であるトーマス、それと学者と思われる人達が居るのは分かる。だが、そこに賢者殿が混ざっているのは納得いかんぞ。
「何故も何も、ギルドやダンジョンの運営は、国の協力があって成り立っておるのだぞ? ダンジョンの事で何か報告があるのならば、ワシ等にもその報告を聞く権利があるのは、自然な事じゃろうて」
ぐっ……何という正論だ。ならば!
「それでしたら、後でギルドから報告を受ければ良い話ではありませんか?」
「何を言う、本人から直接聞いた方が正確な証言が得られるじゃろう? 違うか?」
ぐぬぬ……またしても正論を。
いや……冷静になって考えてみろ。俺は何故、賢者殿と張り合っているのだ?
冷静になれ……冷静になれ俺よ……。
よし! 俺は冷静になった。
「……分かりました。それでは報告を始めたいと思います」




