チーム・リラ その伍
オリーブ視点
その後も何度か魔物との戦闘をして、目的地である「石碑」のある場所までやってきました。
「石碑まで来ましたが、どうしますか? リラ」
そう口にしたのはローリエです。様子見、という目的は達成しましたが……どうするのでしょうか?
「……もう一つ……先のフロアに……行く……」
流石にここで帰るのは早すぎますね。もう少し進んで感覚を掴んでおきたいです。
反対意見は出なかったので、私達は次のフロアへ向かいました。
次のフロアは「森」でした。少し見通しが悪いですが、進むには問題ありません。
先程の「山」よりは魔物の数は増えましたが、それでも少ないですね。このフロアも道なりに進むだけで「石碑」のある場所まで辿り着いてしまいました。
ここでもやはり「赤」の転移石しか手に入りませんでしたね。
「こんなにも手に入りにくい物なのでしょうか?」
石碑の前で、そんな疑問を呈したのはアリスでした。これは「白」の転移石の事を言っているのでしょう。
「ですが、ギルドで売れるだけの数は確保できているのですよね?」とマリー。
「そう。つまり、売れるだけの数は確保しているという事」と鳳華。
「ああ。そう考えれば、自ずと答えが見えてくるな」とアルメリア。
「誰かは知らんでござるが、「白」の転移石をギルドに持ち込んでいる者がいるでござる」と椿。
「ですが、その情報が広まっていないのは不自然です」とローリエ。
「それはつまり、ギルドがその情報を意図的に隠している、という事デスネ」とローズ。
「多分だけれど~、その冒険者と結託して~、転移石で儲けよう……って事よね~?」とエリカ。
「……オリーブ……どうなの?」
と、リラが私に聞いてきました。これは、元・ギルド職員の私に、情報を意図的に隠すのは問題無いのかを聞きたいのでしょう。
「冒険者が得た知識や情報というのは、その冒険者の資産であり、それをどうするかは自由なのです。ですので、その冒険者が情報を隠して欲しい……そう言われてしまうと、ギルドとしてはそれに従うしかありません。その約束を破れば、ギルドの信用問題になりますから」
この件に関しては、冒険者側にもギルド側にも過失はありません。
「そうよねぇ、普通はそうするわぁ。これに関してはぁ、夫君がおかしいのよねぇ」とソニアが続きます。
そうですね……私達はレオンさんを近くで見ているので勘違いしやすいですが、これが普通の冒険者です。自分が得た情報を、何でもかんでもギルドに提供するレオンさんの方が異常なのです。
「とは言いましても、私達に解決出来る問題ではありませんし、今は無視して良いでしょう」
こればかりは仕方がありませんね。焦っても解決する問題ではありませんし。もう少し情報が集まれば……。
「……じゃあ……帰る……よ?」
この話題はここで一旦お終いにして、「天都」へと帰る事にしました。
ギルドに戻り、今日の成果を売り払う事に。やはり、「白」の転移石の値段には届きませんでした。結構いい線までは行きましたけれどね。
「ここからは情報収集ですね。何処に向かいましょうか?」
「……昨日……行かなかった……所に……行く……」
マリーの質問には、リラが答えました。昨日行かなかった所……ですか?
「……裏路地……とか……」
ああ、成程。確かに昨日は大通りを中心に聞き込みをしましたからね。今日はそこ以外に行こうということですか。
「ですが、そういった所は危険ではありませんか?」
「アリスの言う通り、裏路地などは浮浪者が住み着いたり、犯罪者などが隠れ住んだりする場所です。ですがそういった場所には、表に出てこない情報が潜んでいるものなのですよ」
アリスが治安の悪さを指摘しますが、ローリエがそう言った場所に行く重要性を説きました。
今回は、ローリエのいう事が正しいですね。昨日あれだけ聞き回ったのに、例の商人については一切の情報も得られませんでした。だとすれば、残るは「裏」の情報網に頼るしかありませんね。多少の危険は承知で。
「大丈夫。何かあれば、ワタシが全て薙ぎ払う」
という鳳華の力強い宣言により、私達は裏路地へと向かう事に決めました。




