緊急事態発生?
ハンナ視点
「さて、今日も一日頑張りますか」
私はいつものように実家の手伝いを終えて、ギルドの受付の仕事を始める。まだ朝も早いという事で冒険者の姿もまばらだ。集まり始めるのはこれからだろう。
それから少し時間が経った時の事。突如、ギルドの扉が乱暴な音と共に開け放たれた。
「はぁ……はぁ……はぁ……た、大変だ!」
そして現れたのは冒険者の男性が一人。たしか……Dランクパーティの人だったかな?
「何があったのですか?」
ただ事ではない雰囲気を感じ、男性の元へ素早く駆けつける。
「だ……だ……だ……」
……だ?
「ダンジョンの……新しいダンジョンの入り口を見つけたんだっ!」
「ええーーっ⁉」
男性の言葉でギルド内は騒然となりました。この国で新しいダンジョンの発見はいつぶりだろう? いやいや、それよりもギルド長に知らせなきゃ!
レオン視点
「……それで、俺達に声が掛かったわけですか」
ダンジョンに向かう支度をしていた所、突如我が家のドアが激しく叩かれた。一体誰だとドアを開け出迎えると、そこには息を切らしたハンナが立っていた。
「申し訳ありませんが急ぎギルドまでお越しください!」
彼女の態度からただ事ではないと察し、すぐさまギルドへと向かった。俺一人でも良かったが念の為にと桔梗も帯同する。
ギルドに到着すると、そのままの勢いで支部長室へ通された。そこで支部長のライアンから事の経緯を説明される。
「成程……で、俺達が呼ばれた詳しい理由は何ですか?」
「うん。君達『悠久の約束』に新しく発見されたダンジョンの調査をお願いしたいのだよ。これは国とギルド本部からの正式な依頼という事になるね」
「その様な重大な依頼を俺達に任せて頂けると?」
「というよりも、君達にしか頼めないと言うのが正直な所だ。新たに発見されたダンジョンは、魔物の強さもトラップの有無も分からない状態での探索になる。生半可な実力では命を落とす危険がある。情けない話だが、国内でその実力が見込めるのは君達しかいないんだ」
まあ、そこはこの国の課題だったからな。王国もギルドも何かしらの対策は考えているだろうさ。
「分かりました。それではすぐに向かいます」
「ああ頼むよ。それとギルドからも人を同行させてもらうけどいいかな? 記録員という形でね」
「それは構いませんが……その記録員を守りながら戦う余裕があるかどうか……」
遠回しに足手まといは困ると告げる。
「それについては心配無用さ。君達の迷惑にはならない程度には「デキる」人材を派遣するつもりだよ」
それなら大丈夫か。ライアンの事は信頼している。
「では家に戻って準備をしてきます」
「うん。準備が終わったらギルドの前に集合してくれ」
「わかりました。では、一旦失礼します」
ライアンに挨拶し支部長室を後にする。
「新しいダンジョンか~。楽しみだね、だーりん♪」
家に帰る道すがら桔梗がそう声を掛けて来た。
「ああ。それにダンジョンの難易度と報酬次第だが……この町が発展するチャンスに恵まれた」
この世界でダンジョンとは資源の宝庫、鉱脈と同じ認識だ。当然、そこには人が集まり、活気に溢れる町が出来上がる。
「この町が大都市になる日も近いかな?」
「全てはダンジョン次第さ。さあ、急いで家に戻るぞ」
「は~い♪」
万全の準備を整え、ギルドの前にやって来た。そこには支部長のライアンが俺達を出迎えた。それも装備を整えた状態で。これはまさか?
「それで、記録員の方はどちらに?」
「うむ、既に君達の目の前に居るが?」
やはり……そういうことか。
「支部長が記録員ですか?」
「その通りだよ。たまには健康の為に運動しなければね。はっはっは」
ライアンの装備は、大剣にプレートアーマーと如何にも戦士といった出で立ちだ。元冒険者だと聞いているし無茶はしないだろうが……まあいい、誰が一緒でもやる事は変わらんさ。
「では行くとしよう。私が現地まで案内するよ」
ライアンを先頭に目的のダンジョンまでの道を歩いていく。歩いて移動するのも久しぶりだな。そう思うと最近は転移魔法に頼り切りになってしまっているな。もう少し徒歩や馬車を使った方が良いかもな。まあ、今回は近場だから関係ない話だ。




