試練の洞窟その7
お待たせいたしました。
皆さんが気になっている(?)鏡の能力の解説回です
再び距離を取った未来のアオイに対して、アオイは魔法を放つ。
しかし、先程までと同じ様に未来のアオイに当たる前に魔法は消滅してしまう。
反撃とばかりに未来のアオイが魔法を放ってくるが、さっきまでと違ってアオイはかわさず、そのまま被弾する。
「アオイ!?」
それを見た未来のアオイは畳み掛けるように魔法を放ってきた。
しかし、アオイは尚も自らに降り注ぐ魔法を見つめたまま動かない。
このままじゃまずい! と思った俺はアオイの元へと走ったが、その途中でアオイを襲う魔法は全て消し飛ばされる。
「へ?」
「······出来た」
笑みを浮かべるアオイを見て、俺はようやくアオイが何をしようとしていたのかを理解した。
先程の未来のアオイの話にあった、同じ形質の魔力の魔法を操作することで消滅させるという事を本当にできるかどうか試していたのだ。
『······一応やり方は同じとは言えたった二回で成功させるなんて······』
未来のアオイも驚いていたが、アオイはそのまま魔法を放って反撃する。
『その反撃は良いけど、私の攻撃は私には通用しない』
アオイの魔法が再び消し飛ばされるのを横目に、俺はアオイにマナヒールをかける。
それを確認した未来のアオイも鏡を再び構えた。
その鏡に写されているのは俺の姿······ってそう言えばさっきもこんな事が······
俺はもう一度アオイに向かって比較的弱めのヒールをかけようとしたがやはりヒールはアオイに届く前に消し飛ばされる。
「アオイ! 今だ!」
俺の声に反応してアオイが魔法を放つが、勿論この声は未来のアオイにも届いているため、未来のアオイも反応する。
俺から鏡を離すと、そのままアオイの魔法を消し飛ばしたのだ。
その隙をついて、そろそろ効果時間が切れるであろうブーストと、マナヒールをアオイにかける。
今度はきちんと成功したようだ。
······この結果と先程までの未来のアオイの言葉を信じるなら、この鏡の能力は。
「成る程、この鏡は写した人間の魔力形質を自分と同じに······いや、それならさっきノエルから鏡を離す必要は無かった。逆に持ち主の魔力形質を写した相手と同じにする能力?」
どうやらアオイも俺と同じ結論に至ったらしい。
「それが正しいならこうすればいい」
アオイは俺に鏡を向けてから魔法を放つ。
『正解。だけど、私もこうすればいいだけ』
未来のアオイも俺に鏡を向けてアオイの放った魔法を消し飛ばす。
「くっ······」
魔法を防がれたアオイが苦しげな声をあげるが、俺はその途中にアオイの後ろに回り込んでいた。
「アオイ! 後ろだ!」
「──っ! そっか!」
俺の言葉で何が言いたいのか察してくれたアオイは鏡を持った左手を後ろに回し、半身の状態で右手から魔法を放つ。
『······くっ!』
未来のアオイも回避しようとするが、あまりの多さにダメージを受ける。
そのまま当たった所から凍りついていくが、凍りつく端から未来のアオイの魔法で溶かされていくので、特に氷の影響はないようだ。
しかし、魔法に集中しなくてはいけない分、回避が疎かになり、被弾数は増えていく。
ちなみにアオイもかなり魔力を消耗しているので、俺はその度にアオイにマナヒールをかけていく。
『やっぱり······考えも無しに魔力を使えるのって······反則』
しばらくして、魔力が尽きたのか遂に氷漬けにされた未来のアオイが呟く。
『まぁ、こんな状態じゃかっこもつけられないけど、試練突破おめでとう······私』
「ありがとう」
その言葉と共に未来のアオイの体が崩れ始める。
『まぁ、見ての通りもう魔力も無くて消えちゃうんだけど、最後に鏡の名前だけ教えておく。魔武器『ヤタガラス』それがこの武器の名前。それと······いや、これは言っちゃダメ。取り敢えず頑張って』
最後に物凄く気になる言葉を残して未来のアオイは青い欠片となって消えていった。
次回からアオイ編の最終決戦ですかね。ちなみにこの鏡の能力を前提とした技の伏線(?)を敷いていたのですが······読者の皆様はお気づきでしたでしょうか?
まぁ、その内出す予定です。
これからも応援よろしくお願いいたします!