破魔の試練その4
今回メチャクチャ短いです。申し訳ないです。
『目を覚まして』
その言葉が響くと同時に目が覚める。
「ここは······?」
さっきまで俺は王城にいたはずだ。しかし、今いる場所は何と言うか······真っ暗?
昨日までいた筈のアーシャ村とも、さっきまでいた王城とも違う。少なくともルイスにこんな場所は無いと断言できる。
そんな場所だった。
『おはよう。気分はどうだい?』
いきなり声をかけられて振り返る。
「あなたは?」
そこにいたのは一人の青年だった。
『僕かい? 君も薄々気がついてるんだろ?』
青年の言葉に俺は頷く。
「試練のナビゲーター······だろ? 声が同じだ」
『ピーンポーン! 正解だ! では続きまして問題です。僕はなぜ出てきたでしょう』
なぜ出てきたか······か。あんまり考えたくは無いが予想は出来ている。
「試練の合否を伝えに来たんだろ? ······まぁ、何となく予想は出来てるが」
アーシャ村では皆に良いように殺されて、王城でも良いように騙されて死んだのだ。恐らく結果は失敗だろう。
『ブッブー! ハッズレー。第一あんなのを試練にしてたら合格者なんて出てくるわけ無いじゃないか』
「へ?」
俺は予想外の言葉にナビゲーターの顔を見つめ返す。
『あれは試練でも何でも無い物だ。勿論試練に全く関係が無いとは言えないけどね』
「じゃあ試練ってなんなんだ?」
『試練は簡単だ。僕のこれからする話を聞いてから勇者の力を受け取るか、拒否するかを選んで貰うだけ。勿論受け取るを選んだのに勇者の力を渡さずに閉じ込めるなんて事はしないから安心してもいい』
ナビゲーターの言葉に俺は首を傾げる。サオンさんは試練に挑んだ人の半分が帰って来なかったと言っていた。今回の俺に対する内容が特別簡単だったのだろうか? それに話を聞かなくてもそのまま勇者の力を下さいって言えばすべて終わるんじゃ?
『ちなみに言っておくけど、今から話を聞かずに力だけ頂戴ってのは無理だからね? この話を聞くという行為自態も試練の内だ』
どうやら無理なようだ。まぁ、そんな馬の良い話はないだろう。
『それにこの話は聞いておいた方が良い。これから話すのはさっき見せた二つの世界についての説明と、もし君が勇者の力を受けとるという選択肢を選んだ場合に戦うことになる魔王についての話だからね』
そう言ってナビゲーターさんはニッコリと微笑んだ。
次回は火曜日に投稿予定です!