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破魔の試練その3

書籍版の関係上、一部キャラの名前が変わっております。


カレン→シャナ  


また、今回も胸糞展開になっておりますので、注意お願いします。


『次なる記憶へ』


 その言葉が聞こえた瞬間に俺は目を覚ます。


「ここは······?」


 見たことが無い豪華な部屋だ。


 少なくともさっきまでいたアーシャ村では無いことは間違いないだろう。


 俺は自分の胸元を確認する。どうやらさっき刺された時の傷はきれいさっぱり無くなっているようだ。


「······さっきのは一体?」


 少なくとも昨日までは友好的に見えていたアーシャ村の皆がいきなり俺に襲いかかってきた。·······母さんや父さんまでもだ。


 しかし、あんな事が起こりうるのだろうか?


「······いや、それこそがナビゲーターとかいう奴が言ってた試練の内容なのかも?」


 考えていても仕方がない。恐らくだが、今俺がここにいるのは試練の続きなのだろう。


 今度こそ気を引き締めないと。


 そう思っていると扉がノックされる。誰か解らないがここで拒んでいると話が進まない。


「······どうぞ」


 俺が許可を出すと、控えめな速度で扉が開く。


 そこから顔を出したのはアオイだった。


「ん······よかった。起きてた」


 そう言うとアオイは俺の元に歩いてきて


「ノエル。起きてたなら支度をして。もう皆待ってる」


「皆?」


 俺の言葉の意味が解らなかったのだろう。アオイが首を傾げる。


「ノエル······寝ぼけてる? 今日は魔王を倒した報酬を王様が用意してくれるって言ってた。ニナとレッカが随分と喜んでいたの······忘れた?」


 成る程、どうやら今回の俺は勇者として魔王を倒したということになっているらしい。アオイの話から察するにここは王城の何処かの部屋なのだろう。


「ごめん。少しボーっとしてた。直ぐに準備するから先に───いや、外で少し待ってて」


 先に行っててと言おうとしたが、何処に行って良いのか解らないことに気がつき、言い直す。


「······手伝う?」


「いっ、いや······大丈夫だ!」


 いきなり発せられたアオイの言葉にビックリして少し声が上ずってしまった。


「······ん、じゃあ待ってる」


 アオイは特にそれをおかしく思わなかったのか、素直に部屋から出ていく。


 ······もしかしてこれが何時もの事なのだろうか?




 

 準備が終わった俺はアオイと共に王様の元へと向かう。


 良く考えれば俺は王様に対しての礼儀とかを全く知らないわけだが、どうやらその辺りはそこまで気にされないらしい。


 というのもこの謁見事態も王様自身が強く望んだため、殆ど無理矢理行われる様な物で、そんな状態で礼儀について強く言いにくいという理由もあるという話を、王様のいる部屋へと行く途中でアオイに説明された。


 その説明が終わった頃に丁度綺麗に装飾された扉の前につく。 


「······皆は中で待ってるはず。行こう」


 そのままアオイに手を引かれて扉をくぐる。


 一番最初に目に入ったのは立派な椅子に座る一人のおじさんだった。


「ふむ、揃ったな······お主たちが魔王を倒した者達か」


「はい、その通りで御座います。陛下」


 まぁ、何となくは予想していたけどこのおじさんが王様のようだ。


「固くなる必要は無い。ワシが呼んだのだからな······ふむ、まだ信じられんのぉ、お主らの様な若者が魔王を倒したとは」


「······それは私たちの言葉をお疑いと言うことでしょうか? 陛下」


 王様の言葉にアオイが静かに答える。


「いや、そうは言ってはおらんよ。お主等が報告に参ってより魔物の数が減少傾向にあるのは確認しておる。これは魔王が倒されたときに起こりうることだ。ワシは倒れた勇者の代わりにお主らが魔王を倒したことを疑ってはおらんよ」


 王様の言葉にホッと息を吐くアオイ。


「良かったな。ノエル、アオイ。どうやらちゃんと交渉していた分の褒美は貰えそうだ。これなら帰って直ぐにでも結婚式を挙げれるぞ。俺とニナ、テツとシャナさん、そしてノエルとアオイの式だ。こりゃあ準備が大変だぞ?」


 その隣でレッカが俺に耳打ちしてくる。その内容に俺は苦笑いしか起きなかった。幾ら小声とは言え王様の目の前でするべき内容では無いだろう。


「ふむ、出来ればそんなお主たちにワシからお願いがあるのじゃが───」


 お願い? 何だろう?


「───死んでその功績をワシの息子にくれてやってくれんか?」


 一瞬その言葉の意味が解らなかった俺達は動き出すのが遅れてしまった。


 矢が飛んできたことにより、意味を理解した俺達だが······


「にゃっ!?」

 

「ニナ!!」


 声のした方を見ると、ニナの胸に矢が刺さっていた。


「ブースト!」


 俺は矢を回避するためにブーストを発動しようとするが───、


「───発動しない!?」


「ククク······この部屋には魔法の発動を阻害する結界が魔武器によってはられておる。この部屋の中では魔法は発動できんぞ?」


 王様の言葉に理由を理解した俺は急ぎ負傷したニナを援護して脱出しようとして───、


「ノエル! 危ない」


 アオイによって突き飛ばされる。


 次の瞬間に俺を突き飛ばしたアオイが、兵士の槍によって貫かれて息絶える。


 ドサリという音が聞こえて周囲を見渡すと、テツが兵士の剣と矢によって針山のようになって倒れていた。


 レッカもニナを庇ったかの様に覆い被さって倒れている。


 沸々と怒りが沸いてくる。


「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

  

 俺は玉座でこちらを見ながらニヤニヤと笑っている男に向かって拳を構えて走り出すが、ブーストすらかけることのできていなかった俺は無数の剣と槍によって串刺しにされるのだった。

次は······日曜日にかけるようにがんばります。

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