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襲撃

0時過ぎての更新申し訳ないです····

 テツが去ってから30分程してようやくテツが戻ってきた。


 三歩程後ろには先程のシャナさんと呼ばれた女の人が着いてきている。


「二人ともすまん。待たせたな」


「全くじゃ。自ら呼んだ客人を待たせるとは何を考えておるのじゃ?」


 テツが離れる要因を作っておきながらこんな事を平気で言い出すお爺さんに、俺もウィンさんも呆れながらもテツに気にするなと手を振る。


「所でテツ。その人は?」


 やけに仲が良さそうな様子だが······いや、何となく予想はついているのだが···


「うむ、紹介しよう。こいつは俺の幼なじみのシャナだ。同時に俺の婚約者でもある。シャナ、お主も挨拶を」


「はい、かしこまりました。初めまして、私テツ様の婚約者をさせて頂いておりますシャナと申します。以後よろしくお願いします」


 テツの言葉にシャナさんが頭を下げて自己紹介をする。それに対して俺とウィンさんも自己紹介をする。


「しかしテツよ。お主は勇者様と共に戦うために再びここから出たのでは無かったのかの? 何時もの癖でからかってしもうたが何故こんなに早く戻ったのじゃ?」


「色々とあってな···気になるのは解るが先に村長に話を通したい」


 先程の軽い雰囲気とはうって変わって真剣身を帯びた視線を向けるお爺さんにテツが答える。


「ふむ···それもそうか······ならばワシが何時までも引き留めておくわけにはいかんのぉ」


 そう言って道を開けてくれるお爺さん。


「うむ、後で話をしに戻る」


 お爺さんに向かって頷き、歩き出すテツとシャナさん。俺もお爺さんに会釈をしてからウィンさんと一緒にテツを追う。


 途中何人かの人に声をかけられるが、皆テツに対して丁寧な言葉を使っている。


「もしかして···テツってそれなりに偉い人だったりするのか?」


「うーん。この様子を見てる限りではそんな感じかしら? シャナさんなんて様付けで呼んでるし」


 それを見た俺が漏らした一人言に律儀に反応してくれるウィンさん。


「気になりますか?」


 そんな俺達の言葉が聞こえていたのか、俺達の少し前を歩いていたシャナさんが俺達へと声をかけてくる。


「ええ、少し。テツ···様はあまり自分の事を話さないのためお···私たちはあまりテツ様の事について詳しくは無いので」


 何時ものようにテツと呼び捨てにしかけて、それは不味いかな? と思い、慌てて様をつける。


 その様子がおかしかったのか口に手を当ててシャナさんが笑う。


「ふふふ。そんなに無理をしなくとも何時も通りで構いませんよ。テツ様は確かにこの一族の中では身分が上の方ですが、外から来られた方にまでそれを押し付けるような真似は致しませんから」


 シャナさんの言葉に俺はホッと肩の力を抜く。


 流石にテツを様つけで呼び続けるのは違和感がありすぎて馴れることは難しかっただろうし、正直助かった。


「そして、テツ様についてなんですが······」


「着いたぞ」


 シャナさんがそこまで言った時に前を歩いていたテツがこちらを見て声をかける。いつの間にか、目の前には今まで見たものよりも大きな家があった。


「ノエルは俺についてきてくれ。ウィン殿はどうされる?」


「んー、私も気になるしついていくわ」


 実を言うとシャナさんの言葉の続きも気になったのだが、テツの言葉を聞いてから口を閉じてしまったので、大人しくテツの方へと向かうことにした。それを確認したテツはシャナさんにも声をかける。


「シャナ。お前はどうする?」


「テツ様次第ですね」


「では追加で二人分の夕食と寝具を用意しておいてくれ。何日かかるかは解らんが、少なくとも今日の分は必要だろう」


「はい。では支度してお待ちしておりますね」


「よろしく頼む」


 二人で通じあっているような会話をした後で、シャナさんがテツに向かって一礼し、歩いていく。


 テツはシャナさんを見送ると目の前の家の扉をノックする。


 しばらくしてパタパタという音が聞こえて、ゆっくりと扉が開けられ、今度はお婆さんが顔を出す。


「おやおや? 誰かと思えばテツ坊かい。······ふむ、何かあったと見える。用件はじっ様にかい? 取りあえず上がっておいき。じっ様は何時もの所におるでな」


 扉を開けたお婆さんはまずテツを見て、その後俺たちを見た後でこちらに話す暇を与えずに奥へと戻って行った。


「···行くぞ」


 そのお婆さんを見送った後、テツがそのまま歩きだしたので、俺たちも後を追う。


 しばらく歩いた先で、テツが唐突に動きを止めて盾を構える。


「······テツ?」


「構えろ! ノエル。来るぞ!」


 テツの言葉を聞いて反射的に魔力循環を発動した俺の視界に、物凄い勢いで迫る物が映る。


 俺は「アポート」と唱えて手元に魔導書を召喚し、何者かの襲撃を防ぐ。


「···えっ!?」


 襲撃者の姿を見て俺は思わず声を出してしまった。


 何故なら、俺たちを襲ってきたのは先程村の入り口で別れたお爺さんだったからだ。

次回更新は、明日···というよりも今日させて頂きます

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