王都への帰還
―フルトリア聖教会神殿―
聖衣を着た女性は目を閉じたまま語りかけている。
その身につけている衣服だけでも相当な地位である事が窺える。
そして司教が跪いていることからも見て取れる。
「それで例の薬も渡したのですね」
「はい、勿論でございます」
「所詮は正しき神の教えを解さぬ国で利権の為だけに聖教会を利用する輩ですからね、神薬で少しは私達の役に立ってもらわねば…」
「では神殿騎士団を動かしますか」
「そう簡単には行かぬだろう、ゆっくりと時間と策をかけて邪悪なる教えを信ずる国を打ち倒さないといけません、東にエミリア王国があるのです、西に今注力出来るだけの余裕は無い。だからこそ哀れなる者共を互いに争わせるのです、それに神薬の猛威に対処するのに竜族《トカゲ共》が動くでしょう、それを利用しなさい」
「ハッ、御心のままに」
聖女、そう呼ばれる彼女は冷たく感情など最初から存在しないのかと思わせる声音で告げた。
全ては神の為に…
―黒狼フルトリア支部―
「それで、さらに人数が必要だから我等フルトリア支部の者を使いたいというのね」
「ああ、何故失敗したのかも派遣した諜報員まで倒されて帰ってきてないからな…この仕事は次の国王を狙おうって奴の仕事なんだ、上手くやればブルトンを裏で牛耳れる」
「馬鹿な男ね…欲に目がくらんで冷静な判断も出来ないなんてね」
「何だとっ」
「たかがブルトン一国を操る為にお前が何をどれだけ失ったのか、それも判らない奴は馬鹿だと言ったんだがそれすら解らない阿保には喋る言葉もないわ」
「キ、貴様ぁ此方が助力を申し出に来てるからと言ってその態度は何様の心算だ」
「助力ですって、フフフ、貴方に頭目を名乗る資格なんてないわ、片付けなさい」
「まて、待ってくれ、本当にブルトンをっ、グハッ」
「耳障りな声だったわ、他の支部へも連絡をしなさい、屑を一匹片付けたとね八狼衆の長老にもブルトンの状況を連絡しておいて、まったく私たちが何故仕事を請け負うのか、その理念を忘れた馬鹿がっ」
「畏まりました」
「ああ、それと、可能な限りで構わないわ、その護衛について調べておいて、いいこと手出しは無用よ、調べるだけになさい、後はさっきみたいな馬鹿はこの支部に居ないとは思うけど徹底しなさい黒狼の理念と目的を、いいわね」
「心得ております」
ブルトン支部頭目を始末した女性は消えるように姿を消した。
あの子ももう少し可愛げがあればいいのに…
黒狼フルトリア支部頭目のクレアは部下のイデアの態度が完璧すぎると呟いた。
黒狼の理念と誇りを汚した馬鹿のことはもう頭には無かった。
―ケルン城砦都市への街道―
ケルン砦まで急ぎの移動で三日は掛かる。
移動を開始する前に前線の様子は確かめに行ったがフルトリア側に動きは無かった。
今は二日目の晩ご飯を終えた後である。
「やっぱりウラヌスの方がふっかふかー」
シャーリィは鎧も脱いで移動も慶司達の荷車に移っていた。
相当無理をしていたのか開放感で浮かれているのか解らないが今はウラヌスに抱きついて離れない。
ウラヌスもシャーリィとは仲が良いので好きにさせているようである。
ほっと落ち着ける気分になってもらおうと今日の夕食には鍋を用意した。
水炊きのような薄いスープは存在したがタレをつけて食べるという料理は無かった。
唯一つけて食べるといえばチーズをつけて食べるフォンデュのようなものがあったが超高級料理になっていた。チーズの消費量を考えれば納得なのだがあれではチーズを食べるのかよくわからないので今回は水炊きだった、肉の出汁とスープの素Kが野菜に染み込みゴマと塩、醤油、みりん、酒で作ったタレをつけて食べたので体も温まった。
「にゅふ、ふか…ふか……スゥ」
「フフフ、寝てしまわれましたわ」
「そのまま暫くウラヌスに抱きついて起きなければ寝床に運ぼう」
「そうですね、やっと日頃のシャーリィ様に戻ってきました」
「仕方が無いさ、戦争にでるなんて流石に初めてでしょ」
「そうですわね」
「まぁ主様の料理を食べれば元気になってしまうのじゃ」
「うん、さっきの料理は美味しかったなっ、皆で鍋を突くのもたのしかったぜ」
「冷ましやすかったから食べやすかったにゃ」
「空調符を切って食べたほうが美味しいといった意味が解ったのじゃ」
「うん、体の芯がぽかぽかになったにゃ」
「それがリラックスすることに繋がったのでしょうね」
「次のケルン砦に着けばまた問題が待ってるから…せめて今だけでもね」
「他にも解決してない事があるだろ」
「トカゲの出所は今ヘンドリックさんに任せてる。デブルの使った薬も調べては貰ってるけど、まさかあんな物を使う人間がいるだなんて思わなかったから失敗したよ」
「そりゃ主様じゃなくてもわからぬよ」
「ただ、慶司殿が調べている現象に似ていることが気になりますわ」
「それと黒狼の事かな、あれから襲撃はなくなったし、雇い主も居ないからね安全になったと思うんだけど」
「その件は私の伝手を使って調べております、侍女隊に命じていますからそのうち判明しますわ」
「それならミランダさんにお任せしますね」
「はい、承りました」
ケルン城砦都市に到着した慶司達はそのまま砦へ向かい国軍の指揮官に会った。
目の前の男性をみて既知感を覚えた。
「初めまして、ラドリックと申します」
「どうも、慶司です」
「慶司様、ラドリック殿はヘンドリック殿の息子さんです」
「なるほどそれで知ってるような気がしたのか」
「父を御存知ですか」
「はい、一緒に旅をしましたので」
慶司達は互いに挨拶を済ませると、これまでの出来事を話し、今後の対策を打ち合わせする事になった。
ラドリックのミランダさんに対して話し方がどうも丁寧である。
何気なくラドリックに問いかけてしまったのだが…
年齢もラドリックが30歳と年上で地位的にも国軍指揮官であるにも関わらず、ミランダさんに頭が上がらない原因が、修行で散々に打ちのめされたからだと聞いて全員が笑ってしまった。
これは悪い事を聞いたと思いつつ、本当に城内で兵士とどんな戦闘訓練を行ってるのか知りたくなったが、君子は危険に近づかない事を旨とした。試しますかなどと笑顔で言われるに決まっている。
ラドリックは30歳で防衛の指揮官に任じられるだけあって冷静に敵を分析していた。
「敵の総数は2万3千人ほどですが、内2万人は近隣から集めた者達と見ています、装備といえる物を余りにも持たず威嚇行為として訪れているのは明白です」
「撤収を呼びかけたいが可能だと思うか」
「此方の兵力は騎士を中心とした騎兵5千、重騎士5千、弓兵1万、歩兵2万、槍兵1万となっています。敵軍と対峙すれば即座に退かせるぐらいは問題は無い規模ですが、本格的な戦争の火種となる恐れもあり防備に徹しておりましただけのこと。万が一にでも此方の勧告を無視するならば防衛は確実です」
「よし、使者を使わせて内乱に乗じた進行は不可能であり、撤収しないならば迎撃も已む無しであると告げよう」
そして一呼吸いれたシャーリィは広間に集まった騎士達と共にテラスへと出た。
眼下の広場には国軍が集められていた。
「国軍の兵士達よ、聞きなさい。
我等ブルトン王国はこれより新たな道を進まねばならない。
奴隷撤廃、差別廃止を国法とする。
そして竜族との交流を基礎とした新たな国作りである。
これを受諾せぬ国もあろう、だが我等は断じて歩みは止めない。
よってこの国に聖教会の威光は必要ない事を通達する。
これを持って竜族との関係正常化を計り、
受け入れられないものは国外退去を命ずる。
私はこのケルンの問題を解決し、その後、王都へと戻り女王に即位し先の宣言を行う。
皆、私について来い国を変えるぞ」
最初はシャーリィの登場に出撃かと騒めいていた兵士達だったが、シャーリィの言葉を聞き漏らすまいと次第に静かになり、聞き終えた兵士達に歓喜の叫びが沸き起こった。
「馬鹿な聖教会の教えなんてクソ喰らえだぜ」
「これからは大手を振って友達と過ごせる」
「俺達の国は変わる」
「シャーリィ様が変えていく」
「ブルトンに繁栄を」
「シャーリィ殿下が女王様だ」
「我等の新たな女王の誕生だ」
「シャーリィ女王陛下万歳」
「ブルトン王国万歳」
「「「シャーリィ女王陛下万歳、ブルトン王国万歳、弥栄っ」」」
国民を纏め竜族との仲を取り持った【叡智の女王】と言われる事になるシャーリィが、初めて国民に向けて国の改革を告げた日として後世に伝わっていく。
そんな歴史的な観点から見なくても、この場にいた慶司達は自分達がまさに変革の中に居ると実感できた。
国からの使者として騎士が赴く事になり慶司達は騎士の帰りを待っていた。
今回は儀礼的な意味も含め国の人間が赴く必要もあり、さらには書簡を渡すだけで危険は少ないと判断したのだ。
その間に慶司はこの砦を見て回った。
流石に城砦都市と言われるだけあって規模が大きいのだが山人の数も居ないため砦本体だけが石造りで防壁に関してはお世辞にも優れたものではなかった。
土塁と石の混合のような城壁で都市が囲われている。
砦があったところが貿易の要所となり次第に規模が大きくなり、今現在も拡大しているのだろう。
5万の兵がいるので消費もそれなりに見込めるのだ。
そのせいで街の規模が大きくなりすぎて、守りきれないという本末転倒とも言える状態である。
周囲は森に囲まれていて木の柵なら直に作れるのだが防御力としては皆無に等しい。
一撃必殺に近い魔法が使用される可能性があるのだ。
慶司は防衛陣地の構築と、城壁の作成を進めさせる為に会議室へと戻った。
提案したのはコンクリートで作る城壁。
しかしながら材料がなかった。
土中を探せば存在するだろうが時間が無い。解決方法としては材料をグラームから輸入する事だが時間とお金の両方を失う悪手だ。
結局、現状で使えるとしたら後はレンガぐらいである。
しかしレンガを作るには大量の木を失う事になるので却下となる。
そこで慶司は考え方を変えることにした。
材料がない物はどうにもならない、実際竜族に頼めばなんとでもなるが負んぶに抱っこでは文化的にも成長はしないし、国として成り立たない。
だがこの国にはここだけで5万人の兵士がいるのである。
これはメリットと言える。
常時訓練が中心の彼らを工兵として城壁作成に使う事にしたのだ。
勿論最初のコンクリートにしろ使う心算ではあったが使い方を変える。
早速慶司はレンガ職人に燃焼時間などを聞きだし、おおよその作成行程を理解した。
先ず赤土の採取から捏ねるまで、そして成型と日干し、其処から素焼きである。
ポイントは急激に高温にせず焼くことだと言われた。
慶司はその日から通常のレンガよりも大きな型を作り試作を始めたのである。
エルとエイミーはこの間編み物をしていたし、護衛で張り付く必要がなくなったルージュは兵士たちと特訓の三昧だったという。
その特訓の際、ミランダを見て悲鳴が上がったというのは後日聞いた話である。
翌日、使者が帰還したので、まずは相手の返答を待つ事となった。
陣地の近辺まで赴いた騎士からみても虚兵であり戦力としては数えられない者ばかりとの事だった。
そして返答の使者が来たのが二日後だった、書状には『現在の我々は演習中であり侵略を目的とした物ではない、攻め込んでいない事からも理解して頂ける事と思う、貴国の主張される内容については国王に上奏し返答がされるのでお待ちいただきたい。撤退に関しては使者が帰還次第速やかに開始する』と書かれてあった。飽くまで白を切る心算である。だが軍を退くのであれば当面の目的は達成されたと見ていい。
聖教会が言葉通りに国王に奏上するかどうかは不明な為、別に使者を立てるので奏上は不要であると告げて使者を帰した。
警護の必要があるのでシャーリィと共に王都へと帰還する必要があるのでその前に試作を終わらせたかったのだが無理だった。
その代わりにラドリックには城砦の位置の変更と街の拡張計画について話をした。
交易都市であろうと防衛拠点になるのだから軍部主導で町は発展させるべきなのだ。
後日改めて連絡をすると約束して慶司は王都へと帰還することになった。
移動中に慶司が唸りながら「これが、いやあれが」と試行錯誤を繰り返していた。
割と日常風景なので良く知る人間は驚かなかったが、侍女隊などは美食料理人なら料理で悩んでるのだろう思っていたらしい。
解決しなくてはならない事が二つ在った。
消費魔力を抑える魔術式
魔術道具の作成である。
炉を作るとなれば規模が大きくなり内部で高熱を発生させる為の魔素の消費量とコントロールに無理が出る。
慶司でなんとかなるレベルでは話にならないのだ。
元々が土に関係する魔法に関してはグルテン任せだったが、今回に関しては余り関係ないと言っていい。
しかし研究していなかっただけに悩みも大きい。
もしかしたら土の成型魔法も利用出来るのでははないのかと思うのだ。
半分正解で半分不正解だったのだが未だ慶司は気付けない。
もう少しで王都に入るところでやっと慶司の悩みの一つは解決した。
いや多分これで消費魔力を抑える問題は解決するはずという答えが出た。
しかし同時に魔術道具の作成に負担を掛ける事になる発想だった。
一つの煉瓦を作るのに複数人の魔力を消費してやると考えたのだが作成できる物の数が少なく大量に魔術道具が必要となってしまう。
力が抜けると人間良い案が浮かぶというが、まさに今の慶司の状態は落ち込みある意味放心した事で力が抜けた。
煉瓦自体を熱操作で温度をあげる事を諦めてしまえばどうなるのか。
必要なのは高温の炉を維持、しかも段階的に温度を上げる炉である。
王都につくと山人の職人に頼んで鋼の筒を作ってもらった、5ネルの長さで作った物に魔術を施して実験をして成功を確認した慶司は同じ物を10本つくって吐き出す炎の量を10段階に分けた。
魔石が埋められてそれぞれ一時間炎を出す仕組みになっている。
炎と風の付与がされていて筒から炎を燃焼させる。
制御する為に一番消費の少ない物で一本750人分、高い物で7500人分程の魔力が必要だが下手に
魔素を消費するのはどうかと思い人海戦術になったが5万人いれば扱える品物である。
保管庫にあった魔石を大量に消費したがそこは目をつぶってもらう。
慶司は出来上がった物を仕様書とともに送りつけて城壁の構築を進めさせた。
エルとエイミーの編み物はその間も続いていたし、護衛のルージュも格闘訓練に励む姿は変わらなかったが、ミランダさんはシャーリィーの即位式に大忙しだった。
シャーリィは王宮に戻ると巡察から帰ってきた父親にも即位する事を告げた。
まだ若い娘であるシャーリィの即位に父親は最初は難色を示したらしいが決意の固さと妻である女王にまで説得されて折れることになった。
そしてさらに打ち出す法案を聞いて仰天し、気の弱さから二日程寝込んだ。
デブル公爵領の問題を解決して戻った軍はそのまま暫く維持される事になり王都駐留と決まった。
これは万が一の貴族のさらなる反発と奴隷商人や奴隷によって商売をしている者への威圧の為だ。
有力貴族だけでなく即位の儀に参加する者を全て集める為、即位式典は二週間後と決められ布告がなされた。
慶司が鋼製の筒で実験をしていた頃である。
即位と同時に発表される国法の改善案が出され検討される事になった。
シャーリィが断固として譲らなかったのは奴隷撤廃令、差別の廃止、聖教会の禁止令である。
奴隷撤廃に関しては国外へと送ろうとするのも、国外退去になる者が連れ出す事も禁止とした。
差別問題は意識改革を進めると同時に、国として差別する者に罰則を与えるとした。獣人や獣人とのハーフが利用できない施設の廃止など理不尽な法や習慣の撤廃を目指すとした、一方で保護する事は逆に差別を広める可能性があるとし法としての差別禁止ではなく意識改革による差別問題の解決を図るとした。
雇用に関する問題も発生する可能性を見越し、開拓兵として率先して元奴隷や獣人雇い入れる事と、傭兵組合の廃止にも踏み切った。さらに貴族の私兵を禁止するとされた。宣言には侵略行為の一切の禁止も含まれることになったのである。
これ以上改革を進めるのは一年では厳しいですと周りからも懇願されて、長期計画にするとしたシャーリィは、まだまだやりたい事があるようで不満そうにしていた。
国法が検討されていたこの頃に、敵対した貴族への処罰なども検討されている。
通常ならば一族郎党が死罪となって普通の時代である。
だが今回は聖教会禁止令と共に領土と貨幣のみの没収が言い渡され国外退去処分となった。
甘いのではないか、他の貴族の増長を招かないかという声に対して「お母様の統治時代の処罰ですから見逃すだけです、もし私に逆らい聖教会を信奉するのなら滅ぼすまでです。一度だけ信じる物を選ぶ権利を与えるに過ぎません」こうシャーリィは答えた。
またシャーリィは貴族全員に都市で子息達を国教会に設立する騎士神学校に入学するように勧めた。
これは慶司の勧めたもので王制である国を補佐する機関設立の足がかりにするためであった。
慶司は旅の中で絶対優れた正しい政治形態など世の中に存在しない事を語っていた。
王制の長所と欠点、竜族の統治形式の長所と欠点を話していたのである。
一人の優れた王が支配する国の国民は幸せだが、次の王も必ずしも優秀ではない可能性がある事。
竜族のように多少の口出しはしても完全統治をしない場合に都市で起こる問題がある事などを知らされどうしたらいいのかを聞いていたのである。
第一段階、女王を頂点とした組織の設立。
第二段階、世襲貴族制度の廃止と一代貴族を王が任命し議会設立。領土を貴族が勝手に統治をする形式から王が任命した人物が代官として赴任する方式への転換。
第三段階、優れた人物を国中から集める制度と教育機関の解放。
最終的に立憲君主制になるんじゃないかと慶司は思っているがそこまでは口にださずシャーリィの思う制度への助言に止めた。それこそ正解のない問題なのである。
シャーリィから頼まれ事をされたのは慶司が試作品を送って一息ついたそんな頃だった。
時折様子を見に来ては相談に乗っていたのだがお願いをされたのはこれが最初だった。
「お願いがあるんですが」
「とりあえず話してみてよ、それから判断するから」
「うむ、先程主様は例の弄くっていた道具を完成させて暇になったからの」
「はい、これはエルウィン様と慶司様へのお願いというより竜族へのお願いになるのですが、今度の式典に竜族の方をご招待できないかと」
「ふむ、女王即位に竜族を招くか…さて今までの歴史ではなかったことよの、それとエルウィン様は堅苦しいわ、エルでよい」
「それじゃ俺も呼び捨ての方が楽なんだけど」
「ではエルさん、慶司さんで…それで如何でしょうか、竜族とこれから国交を深める為に知らしめる事ができないかと考えていたのですが良い機会にならないかなと思いまして」
「うーむ、ある意味既に妾が来てる時点で異例じゃからな」
「でも公表してないし、出来ないからね。そういう意味で正式な使節を迎えるのは悪くないと思う」
「確かにな、今まで王国といえばブルトンを除いて全てが竜族の支配を拒み敵対関係という態度に近かったからの、竜族が相手にせぬだけで他の国は領土を広げたいと思っておるじゃろう」
「やはり難しいですか」
「さすがに妾が納得しておっても他の竜族にも確認せねばなるまいよ」
「そうだね、一度マリシェルに相談してみるとして、国教会の教えは結局どうなる事になったの」
「現在司祭と教義について検討中です」
「なるほどね、それも今後の関係に関わると思うからとりあえず会いにいってみよう」
「ちょうど午後から会議ですのでそこで宜しいですか」
「どのようになるか妾も興味があるのじゃ」
「じゃあお昼からの会議に出席するよ」
慶司とエルは会議に出席する事になった。
今後の竜族とブルトンの関係だけでなく他の国にも影響がある事になる。
宗教と竜族の新たな関係がどうなるのか、慶司は神様が居ないこの世界の宗教を知る事になる。




