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異世界見聞録―黒髪の青年と白銀の少女の物語―  作者: せおはやみ
トラブル・道連れ・世は情け
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海上航路の守護神

 海は広いな大きいな、と歌ったのも懐かしい。

 慶司達は洋上にいた。

 貿易船であるという船を、殆ど貸しきり状態での乗船である。

 寄港するまでの間の飼い葉や、ウラヌス達の食事用の肉などを大量に積み込んだからだ。

 出発までに慶司が一生懸命集めた物である。

 だが、それだけで一杯になる船がこの世界では最大規模なのだ。

 故に、横波などで大いに揺れる。

 材質や構造もあるが、やはり小さいから揺れるのである。

 沖に出れば波はましになるが出られないらしい。

 沖に出ると巨体種が現れるからだ。

 新大陸を目指すために、3倍はあろうかという超巨大船を作った事もあったそうだが沈められている。

 それ以来、このサイズの船を作っては、どの船が沈没させられるかわからない、地獄のような航海をしているという。

 何故に鉄製の船を作らないかとは言わない。

 軍事利用に繋がるからだ。

 しかし航海の難しさも、文化の発展にとってはマイナスなのである。

 都市間をつなぐ大動脈や交易も文化の発展には欠かせない。

 しかし態々本国から離れた土地を手に入れるため、犠牲を払う必要はあるのだろうか。

 慶司は悲惨な航海を聞いた時に素直にそう思った。

 10隻の船がでて辿り着けるのは半数程。

 しかもその大陸はここより強い魔物だらけだという。

 求める物は魔石らしいのだが、犠牲が大きい。

 竜族は新大陸には全く手を出していないから内部へ進めば進むほど危険だと言う。

 人はそこまでして富を得たいのだろうか。

 ブルトンでも未だに貴族が奴隷を買い新大陸へと送っているらしい。

 これはシャーリィの改革に託すしかないようである。




 そして少しは船の揺れにもなれ、慶司は釣りを開始していた。

 考え事をしながらだったが、なかなかいい釣果である。

 鯵のような魚が釣れに釣れたため、今度はこいつを餌に大物を狙う。

 といっても巨体種なんかを釣ったら大事になるのだが。

 餌を生餌に変えて掛かったのは大物の鮪のような魚だった。

 30分は格闘することになって、糸が流石に切れないかと焦ったが、釣り上げる事が出来た。

 これで船の乗組員全員分の刺身が作れる。蜘蛛の糸最強である。

 その日の夕食、鯵っぽいのはタタキにし、鮪は刺身と身を削いで作った丼にした。

 これが好評だったので時折釣る事になった。


 元の世界ではフェリーに乗ったことが無いし、帆船に乗る機会などなかった。

 この風の力で進む船というのは実に優雅な旅だった。

 ウラヌス達のブラッシングをしたり釣りを楽しんだり、全員でカードをしたりと、陸の旅と違って全員が集まって遊ぶ事が出来る。




 そして、この船旅の3日目にやっと慶司の発明がミランダ以外に絶賛されるようになるのである。

 船長からも是非譲って欲しいとまで言わせ、発売予定なのでそちらを宣伝しておいた。


「ふむ、主様の目の付け所が違うのは確かであった」

「毎日してた事が出来ないようになったにゃ、これがなかったら体を拭く事もままならなかったにゃ」

「フフフ、洗濯が楽になり増したわ、早く大型の物をお願いしますね。」

「うむ、この船旅での快適さ、行きと帰りで大違いですな」

「ああ、あの道具は慶司が作ったのか便利だったな」

 と、ここまで意見が変わってくれれば発明の甲斐もあったというもの。


「実は次にこの暖かい風と霧の出る筒を作ったんだが、髪を乾かしたり整えるのにどうだろうか」

「むむ、今度は風の出る筒か」

「アタシは髪が短いからいらないな」

「これを使って濡れた髪を乾かすのですか」

「ええ、それなりの勢いで乾燥した風が吹き出しますから、布で拭くだけより早く髪を乾かせますよ」

「女性必須のアイテムですわ」

「こちらの霧の物はどうするのじゃ」

「それは朝に髪の毛が刎ねたりするだろう、それをその霧で押さえつけるんだ」

「朝のセットが楽になるのですね」

「侍女を全員惚れさせる気ですか慶司様は」

「これも簡単な仕組みで作れるアイテムなんだけどね、じつはミランダさんにお城とかの掃除の方法を聞きたくて」

「はあ、普通に叩きを掛けて、上から順にゴミを落していきまして、箒とちりとりでゴミを集め、装飾品を拭いて、場合によっては水掛けで床を拭いたり、あとは絨毯を定期的に外に干したり洗ったりですわ」

「そこで、こんな筒を用意したんだけど、先端のヘッドはまだなんだ、この先の加工はドレスムントの知り合いにでも頼もうと思ってるんだけど。魔力を込めるとさっきのドライヤーとは逆に風を吸い込むんだ、そしてこの中にある布の袋にゴミがたまる。この逆で庭掃除ように風で吹き飛ばすのも作ってみたんだけどどうだろう」

「慶司様、私を好きにして下さい」

「え、ミランダどうしたの」

「うむ、落ち着け」

「いえ、これは改革ですわ、侍女だけでなく主婦、いえ、全女性の仕事の時間が短縮できます」

「うん、まあ使えるならこの先端の形を変えて送る事にするよ」

「そう言えばゴハンも主様は甲板で作っておったな、あれもまさか」

「うん、こっちはキャンプ用品って感じの道具だよ、鉄に熱を発する魔術を施しただけなんだけどね、さすがに火加減というか、熱加減が難しかった。改良してもこれは魔力量がないとちょっと一般向きではないかな」

「ふむ、炎としてではなく鉄を熱するだけか、魔力量はつかわぬが調整の度に必要なのじゃな」

「うん、途中で魔術式を変更はできないからね」

「おう、それならアタシにだって良さが理解できるぞ」


 そう言ったのは女性用の品に興味を余り示さなかったルージュである。

 こうして、次々と生まれる事になる竜具、最強の戦士である慶司が作り出す生活用品は、この様にして生み出されていった。




 さて、そんな毎日を凄して船旅の予定の3分の2を消化した頃だった、グラームに向かう船は大陸から少しはなれたマルス島へと進路を向ける、実際離れているといっても5時間程の距離で、水深も浅いためにこちらへ進路をとるのは普通の航路なのである。この島に向かわない場合は2日ほど内陸にさらに進んで、エルファスト方面に入り込む内海へと続く入り江を移動する必要がある。その場合はおおよそ4日は遅くなる。そのため島が見えた地点から進路が変わった。

 話を聞けば成る程納得ではあるが、逆にこの航路を取るのは船の常識で、多くの船が此処を通るのである。

 そして案の定そういう航路には海賊が現れる。


「ちぃ、お客さん、海賊だ、一応振り切れるように頑張るがあいつ等の船は小さくて早い、覚悟だけはしておいてくれ」

「むぅ、では風を吹かせればどうじゃ」

「そうだね、船足をそのまま一時的に速めれますけど」

「おぉ、兄ちゃん達は魔術師か、じゃあ頼まあ」

「これはシルフィに頼んだほうがいいのかな」

「うむ、そうじゃろうな」

(シルフィすまないがこの船だけに風を吹かせて)

(はい、ではそれなりの強さで)

(宜しくね)


 こうして風の力で進む貿易船、しかし海賊は諦めないどころか速度を上げてくる。

 小型のガレー船のような作りで潮の流れも把握してるのだろう、少しずつだが近づいてくる。


「のう、主様、あれは悪い奴等じゃろ」

「まあ、海賊だから悪いんじゃないだろうか」

「なら殺ってしまってもいいんじゃないかの」

「うーん、あの船を漕いでる人達まで海賊とは限らないからなぁ、船長、あの海賊船って漕いで近づいてきてるけど全員が海賊かな」

「流石に俺も海賊の知り合いはいねえからなぁ、だが俺等の前に襲われた連中がいたら漕ぎ手に使われてる可能性はあるな」

「ふむ、残念じゃのお、海なら例の使っちゃいけない咆哮の改良版を試してもらえると思うがが」

「あれは、本当にどうにもならない相手でもないと使えないって、しかも海でつかったら余波でこっちまで危ないよ」

「真に残念じゃ」

「じゃあ、ちょっと武器を用意しよう」

「うむ」


 こうして臨戦態勢をとった慶司は船の後方、いつも釣りをしていた所で仁王立ちをして海賊船を待った、

 乗り移られたら厄介である。船に突撃されるとは思わないが、万が一の場合に備えることにした。

 シルフィに風を起こすのを中止させ、船の衝突に備えてもらった。

 海賊船は横並びに進路をとって鉤爪の付いたロープをこちらの船へと投げつけてくる。

 すでに戦う気であるからこのロープはそのまま切らない。


「ォォォォッ、セイッ」


 船の端から端まで走った慶司は槍杖を抱えたまま勢い良く海賊船へと飛んでいった。

 既に身体能力の上昇を済ませている慶司にとって、10m程のジャンプぐらいは軽いものである。

 弓を番えていた海賊も、ロープを掛けていた海賊も一瞬目を疑った、

 人が飛んでくるのだ当然の反応だろう。

 そのまま弓を番えていた海賊は蹴り飛ばされて甲板を転げていった。


「おい、なんだか殴りこみに来たぞ」

「どうなってんだ俺等が殴りこむはずだろうがよ」

「それが1人で飛び込んできやがった」

「おう、集まれぇ、このクソ度胸のいい兄ちゃんを歓迎してやるぞ」

 

 颯爽と1人の女性が現れた。格好や態度からして船長のようだ。


「船長か、このまま大人しく帰ればいいし、帰らないなら全員まとめて始末するよ」

「ハッハッハ、面白れぇアタシはルスカ一派船長のルスカだ、この一帯のゴミのような海賊は俺が全部倒してきたんだ、ルスカ一派(うちら)はそこらの海賊とは違って殺しはしねえ主義だ。あくまで通行料を払ってくれない相手には手荒なマネもするがね。逆にいえばルスカ一派(うちら)がいなきゃこの航路は海賊だらけだってわけだ」


 この話を信じるならば水軍のような物である。

 その昔の瀬戸内では水軍が通行料をとって航海の安全を保障した。


「なるほど、じゃあ海賊が出てないって話は、貴方たちルスカ一派がこのあたりの海域を治めてるからというわけだ」

「そういうことだ」

「人を売ったり買ったりは」

「うち等はそんな外道な事はしない、あたしは虎紋族とのハーフだ、逆に奴隷を扱ってる船から奴隷を仲間に引き受ける事はあっても、自分たちからそんなクソな仕事をするなんてありえないね」

「じゃあ、通行料はどれぐらいなの、それが適正なら払おう」

「積荷に奴隷がいなきゃ通行料は1人につき小銀貨5枚だ」

「…質問なんだが、それで食べていけるのか」

「………」


 あ、これは聞かないほうが良かったか、しかし1人5千円の通行料は高いように見えて安い。

 それだけを稼ぎにできるとは思えないんだが。

 周りの男女も何か哀愁を帯びた表情になってる。


「い、いまは退治した海賊から奪った宝で何とかなってる」

「無くなったとしたら」

「…その日の飯は、自分たちで取ってる」

「一つ言おう、このままじゃ破堤するだけだな」

「「「………」」」

「解ってるが、こうしないと海賊が出て被害がでるんだ、だからアタシが仲間を集めて退治してまわったんだ」

「いま、このルスカ一派は何人いるの」

「アタシを含めて50人だ、この船だけじゃなくてもう一隻が島の北周りの航路を押さえてる。そっちはアタシの妹が船長をしてる」

「飲み食いするのに、じゃあ一日で最低でも30000リュートは要るね、銀貨30枚、それ以外でも薬や船の維持なんかや家族をやしなうとしたら倍はいる」

「そ、そこはなんとか」

「ならないよね」


 ウンウンと周りも納得の話のようだ


「君たちの住んでるところは竜族の支配地域でいいのかな」

「ああ、竜族は見回りに来てくれる、島に住んでるからな」

「アネゴ、住んでる場所は…」

「ハッ」

「ああ、そこまで気にしなくていいよ、聞き出したかったのは竜族の支配地かどうかだから」

「どういうことだ」

「そうだな、この船で一番強い人、もしくは俺を倒す事ができたら通行料として2倍の額をだしていい」

「「「おぉ」」」

「ただし、負けたら俺の言う事を何でも聞いてもらう、これでどうかな」

「ふん、いいだろう、たった一人に全員でかかるような真似はしたくない、アタシ達の流儀じゃないからね、この船で一番強いのはアタシだ、アタシに勝ったらアンタのモノでもなんでもなってやるさ、さっきの蹴りをみてから戦いたかったからね、願ったり叶ったりだよ」

「獲物は」

「こんな楽しい事に刃物は持ち出さないさ、その代わり海に落ちたって知らないよ」

「じゃあ、合図を」


 槍杖を甲板に突き立てて慶司は構えた。

 身体能力を上げてるがそこは勘弁してもらおう。


「はじめっ」


 副長のようなしっかりした風貌の女性の一声で始まった。

 ちなみにしきりに頷いていたのも彼女である。

 船が上下に揺れている。

 貿易船の方でも何が始まるのかと船縁で皆が見守っている。

 ルージュなんて私に戦わせろと騒いでいる。


 ルスカの放ってきたのは、しなやかな右足から放たれる中段から変化する上段への蹴り。

 重さはないけどよくもこの船の上でと思う。

 左腕で勢いが乗る前に当てて蹴りの威力を殺す、

 引いた右足がそのまま中段へと再度蹴りに来る。

 たいしたバランス感覚である。

 流石に勢いの無い蹴りで、捕まえる事ができるのだが、捕まえないでおいた。

 左あしの太ももにものすごい力が溜め込まれていた為だ。


「ふぅん、引っかからないか」

「うん、怖い感じがしたから」

 

 掴んだらそのまま体を捻って反対の足で膝蹴りが跳んできたようだ。


「面白い、じゃあ今度はこれだ」


 距離を開いてからの右のハイキックにみせた蹴りをそのまま下げて体を回転させてくる、

 勢いをつけた左の回し蹴りがくる。

 これは力を【流転】で受け流して足払いをかける。

 蹴りの側面に右手を当てて外に向けて開くように腕を回転させていく、

 同時に体制を崩しているルスカの右足を狙い、体を前方に進めながら右足を掛けて倒す。

 脅威的なのはその倒れた体制から手を突いたルスカが蹴りを放ちながら離れた事だ。

 カポエイラのような動きである。

 徹底した蹴り主体の攻撃で攻めて来る。

 体の重心点が低い攻撃も織り交ざるので体を崩すだけでは勝負が付かない。

 攻撃をしたくない慶司としては投げか関節を極めるぐらいで勝負をしたい。

 すぅ、と慶司は体の力を抜き体を作る。

 そこ隙を見出したルスカが踏み込み、蹴りを放とうとした瞬間、慶司の体が目の前から消えたように居なくなった。そうルスカには思えただろう。

 攻撃を受け流すばかりだった慶司、まさかいきなり踏み込み自分の左足に密着するほどの距離に居るとは思わない、人間の目は斜め下や急激に動いたものを探そうとするとき上下左右を探してしまう。

 ここに来て【縮地】で距離を詰めた慶司。殴りもせずにどう極めるのか。

 女性相手に密着して関節とかそんなのはギャラリー上の問題がある。

 軸足から右足へと力の伝達が始まった瞬間に懐に入り込んだ慶司はその力にさらに自分の力を加えて投げ飛ばしてしまった、予想以上にルスカの蹴りが鋭くてルスカが海へと落ちていく。

 ドボンッと落ちた後が大騒ぎである。

 なんと泳ぎが苦手という定番の特技を持っているというではないか。

 慶司が飛び込んで抱えるのはなあなどと思っていたら次々とルスカ一派が飛び込んでいく。

 1人残らず飛び込んでしまった。

 お前たちどうやって船に上がるつもりだよ…

 呆れた慶司はロープを垂らしてやった。


「わ、アタシの負けだ、煮るなり抱くなり好きにしな」


 これは、演じてる部分もあるが潔のよい事である。だが煮るなり焼くなりだ、間違えてはいけない。


「それじゃぁこれで、これから通行料を徴収するのは禁止」

「そんなことになったら食っていけなくなるよ」

「いや、遅かれ早かれ食っていけなくなるね」


 ウンウンと頷くルスカ一派。副長は一番首を振っている。

 解ってたんなら止めろよとは言わない、この男気に溢れるルスカについて来たのだろう。


「そこでだ、竜族と交渉してこの海域を含めて海賊退治をする警備隊として君たちを推薦する」

「それってどういう事になるんだ」

「つまり海上の警邏隊として働けるように取り計らうから、通行料は取らないで海賊船だけを狙って生活をして欲しいってこと、エル奴隷の乗ってる商船から奴隷を解放するのはありかな」

「そうじゃの、竜族は奴隷は認めておらんからな、奴隷を積んだ船は護衛対象外じゃ、そもそも港に入れぬように法は出来とる」

「と言う事らしいから、費用はそうだね、商人ギルドなんかから負担してもらおう」

「うむ、海上輸送を安全に行えるのであれば商人達も否はあるまい」

「それじゃあこれを当面の活動資金として渡すから」

「海上警備隊として励むのじゃ」


 次々に提案される内容にルスカは目を回している。そして手の中には白金貨が一枚渡されている。


「えっと、どうすりゃいいんだ、抱かれればいいのか」


 などと不明な事を言っている。


「とりあえず経費や給料を定めて報告をしてもらうから、副長さんできるよね」

「は、はひ」

「1人当たりの給与として月に20000リュート、負傷や妻帯者などへの手当ては別途支給、奴隷船拿捕などでの功労については報告を上げてもらって特別給与をつける。船の維持と食料は経費で落す事、宜しくね」

「了解しました」


 敬礼までしてくれた。

 やれやれ、またマリシェルにお願いする事が出来た、独り言を呟きながら慶司は溜息をつく。


 こうしてマルス島近海での海賊騒動は決着をした。

 海上警備隊の活躍範囲はさらに拡大し、竜族の支配地最北のトリスから、最南端のベネアの港までを巡回することとなる。

 同時に多くの奴隷を解放した事でも有名で奴隷商は海上輸送の封鎖という事態で南北を分断される。

 トリスとベネアには海上警備隊の詰め所が置かれ都市の警邏隊とも協力をして港の平和に貢献した。

 その設立は竜族によってなされたといい、海上警備隊の船には常に銀色の翼の旗が翻っている。

 

「いい男だったよな」

「奥さんいたじゃない、ちゃんとした相手を見つけなさい」

「しょうがないじゃないか、わたしに勝てる相手なんていないんだっ」

「駄目よ、ルスカには親友として幸せな結婚をしてもらうからね」

「くぅ、妾じゃだめか」

「駄目です」

「はぁ、結婚できるかな、っていうかお前も結婚はしてないだろうがっ」

「わ、私はいいのよっ」


 などとルスカと一派の一部が慶司に一目惚れしていた事は流石に伝わっていない。


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