プロローグ
連れられて、みんなでお芝居を見に来ていた。
封神戦争の終幕。
何度も演じられている有名な演目だ。
結構迫力があって、演者が客席に降りて近くまで来ると、大丈夫だと思ってても縮こまってしまう。
「人間、一人で私に敵うものか」
「私は一人ではない、証明してやろう!」
物語も終盤、おどろおどろしい演奏と、歌い手の低い声が響き、暗い舞台の中で主人公と悪役が明るく浮かび上がる。
「無駄なことだ」
「我が名はヴァーミリオン!神々の祝福と人々の祈り、身をもって知れ!燃え尽きろ!覇王極炎斬!」
うわあっつ……すご……
本物の炎が舞台を染め、熱気が肌に伝わってくる。
「お前がいなくとも、人は正しくあるだろう。安心して消滅するがいい!」
「そうはいかん、のろってやる、のろってやるぞおおお!」
悪神は炎にのまれるように消えた。
演奏と歌、舞台も明るいものに変わって、語りと共に背景が次々と切り替わっていく。
——こうしてニコは倒れ、死の間際、残した呪いによって神々も死に絶えました。
封神戦争の最後は、誰も喜ぶような結果にはなりませんでした。
大地は荒れ、人同士の争いも止まず、ケモノたちの進化は加速し、人々は住む場所を失っていきました。
ですが、神々は人類に希望を残したのです。
一点が照らされて、キレイな女性が堂々と正面を向いて立っている。
「これが、神器……」
——神器、神々の遺した初めの四つに、人々は寄り集まり、街となりました。
そのうちのひとつ、探求の神器を継承した者……
「私の名はミケウリリア!ここに集い、育め!私が守ろう!」
女性が杖を掲げ強く大きく叫ぶと、背景が照らされミケウの街並みが現れた。
——そうして今もなお、人々はミケウリリア様の下で力を合わせ、ミケウの街は歴史を刻んでいるのです。
パチパチパチパチ……
お芝居自体は派手で面白かったけど、私にとって後味は悪くて、拍手に力が入らなかった。
そうなんだ。守られるのは街なんだ。
継承者様は、街の外を守ってはくれない。
外で自分を守れなければ、そこで終わってしまうんだ。
それなら、やっぱり私は身を守る術を身につけて、きっといつか。
なんて、無理だよね……




