第15章 模倣レベル4の代償
訓練場に、
剣の音が響く。
乾いた音。
重たい音。
俺は、
何度も剣を振る。
模倣。
世界が、
切り替わる。
カインになる。
……はずだった。
だが、
完全じゃない。
剣は、
少し遅れる。
魔力の流れが、
乱れる。
「止めろ」
カインの声。
俺は、
膝をつく。
視界が、
ぐらつく。
吐き気が、
込み上げる。
「レベル4は、
ほぼ本人そのもの」
「だが、
器が追いついていない」
カインは、
真剣な顔だ。
「無理に使えば、
壊れる」
壊れる。
その言葉が、
胸に刺さる。
「それでも」
俺は、
立ち上がる。
「必要なら、
使います」
カインは、
黙る。
そして、
短く言った。
「……馬鹿だな」
◆
夜。
部屋で、
一人。
手を見る。
震えている。
怖い。
本当は、
すごく怖い。
でも。
影武者だった頃も、
怖かった。
それでも、
進んだ。
今回も、
同じだ。
俺は、
自分に言い聞かせる。
「勇者になるって、
そういうことだ」
◆
数日後。
王城から、
正式な通達。
「次の大規模戦闘で、
勇者はルートが前に立つ」
ギルドが、
ざわつく。
冒険者たちが、
ざわつく。
「交代だ……」
「本当に、
変わるのか」
カインは、
後方支援に回る。
それが、
合意された。
俺は、
深く息を吸う。
もう、
逃げ場はない。
影武者は、
終わる。
次は――
本物の勇者として、
戦う番だ。




