第14章 勇者交代の噂
王都は、
ざわついていた。
酒場。
市場。
宿屋。
どこでも、
同じ話題が出る。
「勇者が、
二人いたらしい」
「見たぞ、
城門前で並んでた」
「動きが、
同じだったって」
噂は、
尾ひれをつけて
広がる。
「分身だ」
「兄弟だ」
「実は偽物がいる」
真実は、
どれも違う。
だが。
ギルドと王城は、
事実を知っている。
◆
王城地下会議室。
重厚な扉の奥で、
極秘会議。
王。
宰相。
ギルド長。
騎士団長。
沈黙の中、
ギルド長が口を開く。
「影武者です」
短く、
断言。
宰相が眉をひそめる。
「そんな存在を、
誰が管理していた」
ギルド長は、
カインを見る。
カインは、
頷く。
「俺の判断だ」
「戦いに、
疲れた」
「それでも、
世界は救われなければ
ならない」
王は、
しばらく黙る。
「影武者は、
どこだ」
カインは、
答える。
「ここに来ています」
扉が、
開く。
俺は、
中へ入った。
膝が、
少し震える。
視線が、
突き刺さる。
「名は」
王が問う。
「ルートです」
「年齢」
「十六」
「勇者として、
立つ覚悟はあるか」
言葉が、
胸に刺さる。
影武者としてなら、
何度も立った。
だが。
勇者として。
俺は、
一歩前に出る。
「はい」
声は、
震えない。
◆
会議後。
王城の廊下。
カインが、
隣を歩く。
「噂は、
止められない」
「いずれ、
交代は公表される」
俺は、
前を見る。
「その時までに、
もっと強くなります」
カインは、
少し笑う。
「もう、
十分だ」
だが。
俺は、
知っている。
レベル4は、
不安定。
完全には、
使えない。
だから――
次の壁が、
待っている。




