表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/66

47. 告白とその先

 周りはまだ明るいのに、建物の影になっているその扉の付近は、まるで夕方のように暗くなっていた。

 人に見られるのは困るので、本当は全く人のいない時間がよかったが、祭りが行われる今ではいつの時間も大して変わらないだろう。

 むしろ、夜遅くまで活動していた人々は朝起きてはこないので、今の時間はちょうどよかった。


 それでも――特にスイなどには見られたくなかったので、周りを確認しつつ二人は扉の前に立つ。


 ティアーネはやはりトラウマがよみがえるようで、握った手は震えていた。


「失敗したら、許しませんからね」


 怖がっているのを隠すように、ティアーネはエドを睨んだ。

 今となっては、それすらも愛おしい。

 自らの心臓の音が早くなっていくのを感じながら、エドはティアーネの前で膝をついた。


 ……大丈夫だ。決意も想いも、決して揺らいではいない。


 二人の視線が重なる。ティアーネは、目をそらしたくなるのを堪えてエドのことを見つめていた。

 短く、息を吸う。


「――――ティア」


「……はい」


 風が、二人を優しく包んでいた。ティアーネの髪が、わずかな光を反射してきらめく。

 そしてエドは、ずっと心の中に抱き続けてきたことを吐き出した。


「俺は、君のことを愛している。君の何もかもが大好きだ。俺は、君のことを守りたい――この命に代えてでも」


 ティアーネの頬が、赤く染まっていく。

 我ながら月並みで、聞けば恥ずかしくなってしまうような言葉だった。たった三日前のエドでさえ、自分がこんなことを言うなど想像もしてなかった。


 刹那、急に体から力が抜けていく。呪いが発動したのだ。

 視界が暗闇に閉ざされる直前、ティアーネが恥ずかし気に笑う顔が見えた。

 自分のしたことは間違いではなかったと、その顔を見て確信して――――エドは、意識を失った。



「エドさんっ!」


 倒れていくエドを、ティアーネはなんとか抱きしめる。

 まだわずかに息のあるエドの首筋には、はっきりと黒のいばらの文様が刻まれていた。


 前に呪いが発動したときのことを思い出してパニックになりそうになるが、どうにか深呼吸をして自分の心を落ち着けた。

 

「――本当に、これでよかったんですよね」


 思わず、そう呟いてしまった。本当はものすごく不安だった。今にも恐怖で逃げ出してしまいそうだった。

 けれど、エドに『信じてる』と言われてしまったから。


(ずる)いですよ、エドさん。あなたがそんな人だなんて、全然知りませんでした」


 そんな風に、もう意識のないエドを責める。

 それ、あんたが言うか? なんて反論するエドを想像すると、少し気が楽になった。


 それと同時に、それまで暗かったはずのこの場所が、何故か少し明るくなっていることに気づく。

 横を見れば、隣に鎮座していた扉の一部が光っている。


 ティアーネはエドをできる限り優しく横たえ、扉の方へ近づいていく。


 光っている場所には、古代文字で文字が書かれていた。

 これが信託の言っていた”答え”だとしても、ティアーネには読むことができない。


 こんなところでも、(つまづ)いてしまうのか。

 そう思いながらも文字を指でなぞると、ふいに、頭の中に言葉が浮かび上がった。

 

『神に会う覚悟があるのなら、捧げ物をもって扉を開け』


 それがこの文字列の意味だということも、不思議と理解できた。

 驚いて手を放し、文字列を凝視しようとするが、ほどなくして光は消えてしまった。

 呆然としていたティアーネだったが、すぐに我に返る。


「……と、とりあえずエドさんを連れて帰りましょう」


 あまり長居して人に見られでもしたら困る。そう思い、ティアーネは魔法の力も借りながらエドをアステの店にまで運んだ。


 店では、何も知らされないまま信託が達成されたことだけを知ったナビスが、ティアーネを見るなり焦った様子で走ってきた。


「姫様っ! なんで信託が……え、エドさん? どう、したんですか」


 全く状況を飲み込めないナビスを、ティアーネはとりあえず落ち着かせ、一緒にエドを二階に運ぶよう頼んだ。

 エドを二階へ運び、ベッドに横たえると、ティアーネはこれまで起こったことを一から説明した。



「そんなことがあったんですね。……僕だって……いえ、何でもありません……」


 何も知らなかったことに不満を抱くのも無理はないが、ナビスはその理由をきちんと理解しているようだった。


「何も伝えていなくてごめんなさい。でも、せっかくエドさんが体を張ってくださったのですから、ここでやめるわけにもいきません。……まだ、一緒に呪いを解いてくれますか?」

「っ、もちろんです!」


 即答してくれたナビスに、ティアーネはありがとうと微笑む。


「……では、とりあえず母に報告に行きましょうか」

「そうですね」


 ナビスと一緒に居れば、まだティアーネは気丈に振る舞える。

 本当は、不安な心を落ち着けるための時間が欲しかったが、今は前に進むしかない。

 そう心の中で自分を奮い立たせると、ティアーネは部屋の扉を開けた。

ようやく主人公殺せたわ!!() ホントは先週にここまで到達したかったけど

評価・ブクマ登録していただけると作者が明々後日までに小説を完成させるためにゲームお休みしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ