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ダメカワピンク救世主伝説/  作者: 人藤 左
28/35

vsウロコイヌ/フェンリルハント

 ボクが駆け出すと同時、ウロコイヌが脅威的な跳躍を見せる。


「だ、め、です!」


 10メートルはあろう全高の三倍跳んだところで、その巨体は何かに絡め取られ硬直した。アンナちゃんの『アリアドネの蜘蛛の糸』は、繊細かつ強靭な糸をある程度自由に生み出し、操ることができるのだ。


 ジャンプに失敗したウロコイヌは、しかし宙返りして着地。


「Urrrrrr!!!!」

 聞いたことのないような唸り声……!


「アンナちゃん、離して!」

「は、はいっ!」


 糸を高周波を伴った声で揺らし、衝撃を伝える対応。拘束を解き、さらにアンナちゃんへの反撃となるものだったが、すんでのところで糸を切って難を逃れる。


「(パルマさん、どうしましょう……)」

 アンナちゃんの左耳から伸びた赤い糸電話が、ボクの右耳に繋がれた。


「(糸で触るのは一瞬だけだね。アレちゃんと食らうと、アンナちゃん爆発するかも)」

「(ええー⁉︎)」


 『ラプラスの魔』から電子レンジ? なる言葉が提示されたけど、よくわからなかった。


「おい、なんだあれ!」「ウロコイヌなのか?」「あ、あいつ! あいつだよ! あいつが何かしてこの辺を無茶苦茶に……」


 騒ぎを聞きつけ、逃げてた人たちが戻ってきた。


「こっち来るな野次馬! 死ぬぞ!」

 警告虚しく、まばらに集まっていた人たちの一角が前足に払われて、力なく吹き飛んだ。


「っ……アンナちゃん、人払いお願い!」

「はい!」

 一際力強く答えて、アンナちゃんは蜘蛛の巣状のドームを作り出した。


「(これであとは、ボクが上手いこと地竜みたいにやるから――)」

「(はい、合わせます!)」

「(よろしく!)」


 作戦会議を終え、ボクはアンナちゃんとウロコイヌを挟むとこまで走った。


「やぁワンちゃん、【ボクが相手だぜ】」

 『統一言語論』による挑発。ウロコイヌの敵意はボクにだけ向く。


「うわうわうわ、マジできた!」

 そこそこあったはずの距離を三歩で詰められ、存外ビビったけど、それだけだ。


 バカげた速力を逆手にとり、アンナちゃんのワイヤートラップで切り傷を作る。そこにボクが触れれば、東部統轄地区の地竜のように爆破できる! というわけだ。


 びぃん、と弦の張る音。


「よっしやるぞー!」


「アンナさん、すみませーん‼︎」

「!」

 とっさに『ラプラスの魔』を発動させる。


「しまっ……」


 サイズはどうあれ、これはウロコイヌだ。俊敏さと堅牢さを併せ持つその形態……例えば、アンナちゃんの切断攻撃などものともしないほどの防御力を持っていたとしても、不思議ではなかった。


 そう。突然変異種は――傷つかない。


「その『レコード』、回収させていただく」

 どこからともなく、あらゆる物陰から、ケイムの声が聞こえた。


「パルマさん!」

 鋭い牙が並んだ大口が開かれ、ボクは食べられてしまった。それはもう、頭から爪先まで丸呑みだっただろう。


「パルマさぁああああん‼︎」




「計算通ォり!」


 全然違うけど。

 嬉しい誤算だけど。


 食べたものは血肉となる。捕食者は被食者と同化する。

 つまり!


 巨大ウロコイヌは、ボクを呑み込んだ瞬間、大爆発した。

 チーム戦やるピンク髪ちゃんが書きたくて書きました

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