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第49話

 すみません。いつもより長くなってしまいました。

 空に輝く明るい太陽と同じくハイレンの街でいつも通り明るい笑顔が溢れていた。そして、ルーナは兄であるレイジと一緒にハイレンの街を散策していた。


 ルーナは歩いていると道の溝に足を取られてこけそうになったのをレイジがギリギリ止めた。


「おい。ルーナ危ないぞ」

「えへへ」


 ルーナは体を支えてくれたレイジに向かって、歯を出して笑った。レイジはルーナの顔を見て、


「全く、おとなしくしてるんだぞ」

「はーい」


 レイジはルーナ頭に人差し指を置いた。ルーナはその指を握って、握ってない方の手で手を挙げた。


「レイジ様、あちらで王国と覇国の商人間で問題が起こりました」


 レイジとルーナは二人で楽しく散策しているとひとりの衛兵がレイジ達に少し落ち着きがない状態で話しかけてきた。


「わかった。今、行くよ」

「その、妹君は少し」


 レイジはすぐに承諾すると、衛兵はぎこちなくルーナを見ながら答えた。


「そうか。ルーナここで座って待ってるんだぞ」

「うん」


「あっ、蝶々だ」


 ルーナは空を飛んでいる蝶々を追いかけて、その場を立ち去っていった。


「わぁー。お兄ちゃん。これ綺麗でしょ?」


 ルーナは追いかけていた蝶々が一つの花に止まった。ルーナは蝶々が飛び去ると花を摘んだ。


「あれ? お兄ちゃんは?」


 ルーナは当たりを見回して、レイジがいない事に気がついた。ルーナは一人、人通りの少ない裏路地に迷い込んでしまったのだった。


 そこに一人の野太い声が響いた。


「おいおい。女のガキが一人で出歩くとか俺の国じゃ出来ねぇぞ」


 歩いてきた男は肩幅が広く背中にルーナと同じくらいの大剣を背負っていた。そして、二人の豪華な服を着た男が腰を低くしながら巨漢の隣を歩いていた。


「はい。おっしゃる通りですな」

「そうですよ。そうですよ。我が領地なら奴隷商人に捕まえられるのがオチですよ」


 横にいる男たちは真ん中の男に頭をへこへこさせながら笑っていた。


「ここはどうだ。俺たちがこのガキに外の怖さを教えてやるってのは」


 真ん中の男は胸を張って自信満々に答えた。二人の男は少しナイーブの言葉に驚いたがすぐに明るい顔で賛成した。


「「賛成です。ナイーブ様ぁー」」


 顔を見合わせた後、横にいた二人は声を揃えて真ん中の男の名前を呼んで拍手し始めた。


「おいガキこっちにこいよ」


 二人の反応を見てナイーブは満足そうにうなづくとルーナに向けて、太い腕を伸ばした。


 ルーナは泣きそうになりながら、一歩一歩と後退り、石に躓いてこけてしまった。


 ナイーブはあくどい笑みを浮かべながら近づいて、ルーナの体をつかもうとすると、ナイーブの手に向かって串が投げられた。


「いてぇ!! テメェ誰だ?」


 ナイーブは投げられた方角を見るとこの世界では珍しい真っ黒な髪をした男が串肉を咥えながら、木箱の上に立っていた。


「俺の名はカイン・ヘルトだ。大の大人が寄ってたかって、小さな女の子を狙うとはな。恥を知れ臆病者」


 黒髪の青年が名乗り上げると、すぐに木箱から降りて、ナイーブを罵倒した。


 そのあと、カインは笑顔でルーナに手を差し伸べて、ルーナを立たせた。


「貴様っ! この俺を愚弄する気か! 臆病者だと?」


 ナイーブは顔を赤くして怒り出し、今にも殴りかかりそうだったが、カインを見てナイーブの隣にいた二人の男がナイーブを二人がかりで押さえた。


「流石になりませんナイーブ様」

「そうです。勇者の一族に手を出すと世間でなんと言われるか」


 襲い掛かろうとするナイーブを二人がかりでなんとか止めようとしていた。カインは笑いながらさらにナイーブを挑発した。


「ああ、幼い女性を狙うなんて臆病者がやることだろ」


 カインの顔を見て我慢の限界を超えたナイーブが二人を振り払ってカインに向かって走り始めた。


「許さんぞ貴様っ!!」

「「あっあっ!!」」


 振り払ったナイーブは一直線で向かってくるナイーブを見てカインは驚いた表情をした後に、ルーナの手を握って走り始めた。


「やべっ。逃げるぞ」

「う、うん」


 ルーナは戸惑いながらもカインの手を取った方へと一緒に走り始めた。


「ふん。逃げる気かっ! 貴様の方が臆病者ではないか?」


 カインの行動を見て、ナイーブはカインの事を嘲笑った。


「ばーか。俺はお前と違って守るために逃げるんだ。貴様とは違うんだよ。貴様のような馬鹿を相手してやるほど俺は暇じゃないんだよ」


 カインはナイーブに向かって、吐き捨てながら走っていくと、ナイーブは拳を構えてカインとルーナを追いかけ始めた。


「このガキ! 言わせておけばっ!!!」


 カインはすぐに人の多い場所へと逃げ込み、通り行く人を避けながらナイーブ達を撒くことに成功した。


 二人はナイーブが追っていない事を確認すると、ゆっくりと街を歩き始めた。


「その、どこに向かってるんですか?」


 ルーナはカインが何処に向かっているのかを尋ねていると、カインは少し考えた後、笑ってルーナの方を見た。


「分からん。俺は迷子だからな」

「えっえっ!?」


 カインの衝撃的な宣言にルーナは大きい声を出して驚いた。その後に、ずっとカインと手を握っている事に気がつきすぐに手を離した。


 カインは急に手を離したルーナに首を傾げた後に、手に持っている花を見て花に指を差した。


「その花好きなのか?」

「ううん。たまたま見つけた」


 カインの質問にルーナは首を振って答えた。カインは花とカインを交互に見て頷いた。


「そうか。ちょっと貸して」

「うん」


 カインが手を出すとルーナはすぐにカインに向かって手に持ってた花を渡した。カインは花を持つとルーナの髪の毛に刺した。


「やっぱり似合ってるぞ」

「そ、そう?」


 カインはルーナを見ると笑顔で頷いた。ルーナは少し顔を赤くしながら頭に刺してもらった花を触った。


「ああ。無茶苦茶かわいい」


 カインは満足したように頷いていると、ルーナはさらに顔が赤くなり素早く顔を手で覆った。


「イタッ」


 ルーナが手で覆うと、急に膝が痛くなりその場でしゃがみ込んだ。カインらしゃがみ込んだルーナに近寄ると顔をこわばらせた。


「あー、足擦りむいてたのかしょうがねぇ。抱っこしてやるよ」


 カインはルーナの体に手を回して両腕でルーナを持ち上げた。ルーナはカインの急な行動に驚いた。


「えっ!」

「しょうがねぇだろ。足を怪我してんだから」


 カインは驚いて恥ずかしそうなルーナを見て笑いながらルーナの顔を見た。


「あっ! じいやー」


 ルーナは少し遠くにいる老人に向けて手を振った。老人は驚いた表情をした。


「おっ、お嬢様!」


 カインがルーナを抱っこしているとひとりの老人がルーナの元へと駆け寄った。


「貴方は!?」

「カイン・ヘルトだ。巨漢に襲われていたから助けた」


「なっ、ヘルト家! さすが勇者の一族ですね。ありがとうございます」


 老人はカインに頭を下げて感謝の言葉を述べた。カインは老人の反応に少し照れ臭そうに答えた。


「当たり前のことをしただけだ。じゃあな、また会えたら良いな」

「はい」


 カインが大きく手を振るとルーナは顔を赤らめながら小さく手を振って別れた。


 カインが大きく手を振っていると老人と入れ替わるように青髪の少年がカインの元へと駆け寄ってきた。


「いたいた。はぁー、カインもうすぐで連邦行きの船が出るところだよ」


 レオンはため息をつきながらカインの元へと近寄ってきた。


「ごめんごめんって、でも、見失ったお前も悪いだろ?」


 カインは片手で笑いながら誤って、すぐにレオンへと責任転換をした。


「なに言ってるのさ。勝手に走り出したカインがダメに決まってるだろ」

「それを追うのがお前の役目だろ」


 レオンが正論を返すと、カインは開き直って腕を組んでレオンに向かって言い放った。


「わかった。なら後でウォード将軍に叱ってもらいましょう」


 レオンはカインの態度を見て、すぐに踵を返して来た方向へと歩き始めた。


「あー、悪かったって。俺たち親友だろ。だから内緒にしてくれよ」


 カインは慌ててレオンの肩に腕を回した後、人差し指を口に持って片目を閉じてお願いをした。


「もう、しょうがないな」


 レオンは呆れた顔で笑いながらカインのお願いに応えた。


「ありがとうレオン」


 カインはレオンを見ながら泣きそうな顔でレオンに向かって抱きついた。


 ルーナは老人に担がれながらも、ずっとカインとレオンのやりとりを見ていた。すると、カインがルーナの視線に気がついて再び手を振った。


 今度はルーナは顔を真っ赤にしてすぐに老人の体に隠れた。


「どうしましたかお嬢様。今日は大変でしたでしょう」


 急に体を動かしたルーナに驚いて老人はルーナに悲しい顔を向けながらルーナの頭を撫でた。


 ルーナは首を振って老人の言葉を否定した。


「ううん。楽しかった」

「そうですか。それはよかったですな」


 老人は少しだけ振り返って、カインの事を見た後に、笑いながらルーナの顔を見た。


「うん」


 ルーナは顔を赤くさせながら嬉しそうに頷いた。

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