第39話
「おかしいな。ヘルト軍が一切、動いてこない」
ライターはなかなか攻撃して来ないヘルト軍に疑問を感じていた。
「攻めてくるどころか守りを固めてるとはな。どういうことだ?」
ライターは陣を張っているヘルト軍を眺めていた。
時間が経てばオルドが有利な為、攻めてこないとおかしいのである。
「リードに向かったヘルト軍は7500だったよな」
「はい。その反対にケルドへの侵攻は2500と小規模なようです」
ライターは近くにいる将に侵攻したヘルト軍の詳細について聞くと、聞かれた将は素早く答えた。
「同時進行ではなく数日遅らせての侵攻、兵数が徐々に減る、待機する敵………そうか」
ライターは少し呟いた後に、すっきりした顔で手を打った。ライターの反応を見て、周りは驚きつつも期待の眼差しでライターをじっと見た。そのうちの一人が前に出てきた。
「どうなさいましたか?」
真剣な表情でライターに向かって疑問を投げかけた。ライターはニヤリと笑って応えた。
「いや、ヘルトの狙いとその打開策が思いついた」
ヴァイスはその頃、じっとしていられなくて陣の中を歩き回っていた。
「私はここでこうしてればいいのだろうか。私は作戦会議の時も何もしていないのに、これでは何もしてないようなものではないか」
ヴァイスはて歩いていた。兵糧や装備の準備はすでにしており、やることが無かった。そこで、ヴァイスはレイジとレオンの3人で行った侵略会議の事を蒸し返していた。
「ヴァイス様、オルドが動きました」
「なに? では、守りを固めるぞ」
ヴァイスはようやく侵略会議の事を一旦考えるのをやめて、素早く指示を出し始めた。
「それが、軍の一部をリードに向けて援軍として送りました」
「何?」
ヴァイスでは作戦がバレたとすぐに判断した。それでこの囮軍ではなく本隊であるレイジを攻撃しに行ったのではないかと考えた。
「ウォード将軍に相談する」
ヴァイスは流石に自分の一存では決めることができないと考えてすぐにウォードの場所へと向かった。
「ウォード将軍、敵がリードに向けて援軍を送りました。おそらく作戦を知り、本隊であるレイジ殿の方へ向かったと考えられます。そこで、兵数の減った敵を今すぐ我々で叩き、オルドを占領しましょう」
ヴァイスはウォードに自分の作戦を示した。しかし、ウォードは浮かない顔でヴァイスの方を見た。
「これは揺動の可能性が高い。安易に動くのは良くないひとまず敵の様子を伺うべきだ」
ウォードは揺動であると睨んでおり、ひとまずは落ち着いて敵の出方を見るべきではないかと考えていた。
「ですが、ここで待っていて本当に敵が援軍として到着すればレイジ殿とは言え厳しいはずです。作戦を成功するためにはここで我々が敵を崩して、侵攻の足掛かりを作ります」
ヴァイスが勇み足になっているのをウォードは感じた。
「何を焦っておる。お主らしくないぞ」
ウォードは焦っているヴァイスに注意と落ち着かせようと近づいていくとヴァイスに手で静止させられた。
「いえ、焦っておりません。軍権は私にあります」
「むっ……、ならば、忠告いたします。罠の可能性がございます。どうか、考え直してくださいヴァイス殿」
ウォードは律儀な為、止めるのではなくあくまで忠告としてヴァイスに言った。
「確かにそうかもしれません。なので、敵を倒した後は追撃せず、一旦体勢を整えてから進軍いたします」
ヴァイスがウォードの真剣な表情を見て、冷静でない事をようやく理解した。しかし、この前の会議の分を取り返すためにはここで出るしか無いとも考えていた。
「そうですか。それならば、承諾しましょう」
ウォードはヴァイスが譲歩したことにより、安堵の顔をした。
「それでは攻撃を仕掛ける準備をする」
ヴァイスとウォードは攻撃を仕掛ける準備をした。そして、敵へと進軍を開始した。
そして、オルド軍とヘルト軍が接敵するとヘルト軍は突撃を開始した。ヴァイスの考えた通り、敵軍の数は少なかった。
「おかしい。こんなに劣勢に立たされてなお敵が撤退しないとは本当に援軍へ向かったのか?」
ウォードは突撃した時に敵軍はわざとやられて追撃をしたところを伏兵で倒すものだと考えていた。なので、伏兵があるならばここで耐える意味はほとんどない。
「ウォード将軍、敵は馬鹿で本当に援軍に向かったのですよ」
ヴァイスはウォードに自慢げな表情で胸を張って言った。しかし、ウォードの不安は拭いきれないでいた。
「そうだといいのだが……、取り越し苦労だといいのだが」
ウォードは何とも言えないよう顔で指揮を取っていた。しかし、ウォードの指揮はそれを感じさせないほどでオルド軍は徐々に追い詰められていた。
「ほっ、報告です。リード方向よりものすごい速さで接近している部隊がおります」




