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最終話 創作論を語る作家は行き詰まってそう


清之助「この作品のオチを先にばらしておく」

アレッサ「なぜ!?」

清之助「作者になにかあった時に、永久未完では迷惑この上ない作品だからだ」


ユキタ「まだ少しずつ、思いついたことを思いついた時に書き足すかもしれません」





アレッサ「きわめつきにひどいサブタイトルだな」

清之助「創作活動の不調が深まるほど改善の研究にのめりこむものだ」


アレッサ「不調に陥った者の言葉が役に立つのか?」

清之助「成功者かどうかは関係ない。むしろ、早くから運よく資質や状況がかみ合った者は挫折に弱いだけでなく、持論が浅薄で偏りも大きくなりがちだ」


アレッサ「たしかに、高い技能を持つ者が必ずしも良い指導者ではない」

清之助「特に創作は自分にどう合うかを失敗しつくしたマヌケのほうが他人の適性も広く把握し、適切な指導もわかる傾向がある」


アレッサ「そこまでいくと、創作ではなく指導や批評の道へ進むほうがしあわせだろうに」

清之助「創作エンドルフィンも中毒が末期になると、自覚していようが更生は難しい」

アレッサ「そんな病人みたいな」

清之助「もっとたちが悪い。身内にプロ志望がいたら全力で止めてやれ。プロにこだわる創作ぐるいは結婚相手としても鉄板のハズレ属性だ」


清之助「意地になるほど自分の肝心な失敗は見えなくなる、見ようとしなくなる傾向もあるからな。ククク」



アレッサ「前から思っていたのだが……そういう貴様はどのような小説を書いたのだ?」

清之助「小説? 書いたことなどないぞ?」


アレッサ「な!? これまでの創作論はなんだったのだ!?」

清之助「アホ。俺が今まで語ってきたのは、書かないでもわかるような、ありふれた常識ばかりだ」


アレッサ抜刀「そこになおれ! 成敗してくれる!」

清之助「そんな常識ごときでいちいち感情的になれるのは、貴様がまだ自分の作家性をろくに掘り起こしていない初心者中の初心者ということだ」


清之助「さっさと腕を磨き、こんな作品は退屈なコメディーとして読み流せるようになれ」




(『平石清之助に創作論を聞くのが間違いだ』 おわり)




ユキタ「完読ありがとうございました。読者様のご意見、ご感想、酷評も含め、この作品の作者は全裸で待ちかまえています」


清之助「ただし作者のプライベートに関わる質問などは軽やかに無視される。邪推してニヤつく程度にしておけ」


アレッサ抜刀「そもそものメインタイトルが姑息だ。『間違いだ』と前提に掲げればなにを書いても許されると思うな!!」






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