第1章 ーー『英雄の最期』
皆さんこんにちは、私は新米の作家です。
そしてこれが第1巻です ―「星海への再誕」です。なぜなら、すでに「はい」をよくまとめているからです。
第1巻 ー「星海への再誕」
エヴァンドリアの空は、黄金のオレンジ色に染まっていた。
ドラコ山脈の彼方に沈む夕陽が、戦場跡を赤く照らしている。
かつて緑豊かだった草原は、今や埃と武器の破片で覆われていた。闇の軍勢の最後の砦からは、まだかすかな煙が立ち上っている。空気には鉄の匂いと、戦闘の残滓である魔力の気配が混ざっていた。
志堂凪彦は、小さな丘の上に立っていた。
白い外套は埃と血にまみれている。それは彼自身の血ではなかった。手にした長剣は、刃の表面にまだかすかな魔力の残光を宿していた。
彼の前では、闇の軍勢は壊滅していた。彼の背後では、エヴァンドリアの都市たちが無事だった。
これは良い結末だ、と彼は思った。
少なくとも、そうあるべきだった。
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「志堂殿!」
後ろから声がした。柔らかく、心配に満ちた声だ。
凪彦が振り返ると、五つの影が焼け焦げた草原を駆けてくるのが見えた。
最初に飛び出してきたのは、銀の長髪を持つエルフの女性だった。その瞳は溶けたサファイアのように輝いている。アエリンドリア・ヴェイル=タス――《永遠の聖森》の大魔術師だ。銀色がかった青のローブが風に揺れ、その手にはまだ魔力の残光を放つ水晶の杖が握られている。
「怪我をしてるわ!」彼女は叫び、その視線はすぐに凪彦の外套の下に隠れた腕の傷を捉えた。
「大したことない」凪彦は落ち着いた声で答えた。「かすり傷だ」
「高位悪魔の剣によるかすり傷なんて、普通のかすり傷じゃないのよ!」アエリンドリアはすでに手を差し伸べ、その掌に治癒の光が灯り始めていた。
しかし、その魔法が凪彦に触れる前に、別の影が彼の隣に立っていた。
セラフィナ・ルクシア――《光の教会》の聖騎士だ。銀の鎧は夕陽の下でも輝きを失わず、彼女をまるで現世に降り立った天使のように見せていた。長い金髪は後ろで一つに結われ、背負った大剣からはまだ敵の血が滴っている。
「私に任せて、アエリンドリア。あなたは都市の防衛結界で魔力を使いすぎたわ」セラフィナの声は厳しくも優しかった。鉄の手甲をはめた手が、慎重に凪彦の肩に触れた。
「本当に大丈夫だ」凪彦はもう一度言ったが、唇の端にわずかな笑みが浮かんだ。五年間、彼らと共に戦ってきて、彼らは今も変わらない――いつも心配しすぎだ。
「もちろん、あなたはそう言うわね」
今度は声が上から降ってきた。曲がった角と大きなコウモリのような翼を持った女性が、優雅に舞い降りて彼らの隣に立った。リリス・フォン・アビスウォーカー――魔王の娘でありながら、父の引き起こした混沌を止めるために人間側に味方した女悪魔だ。漆黒の髪が風になびき、燃えるような赤い瞳が凪彦を見つめていた。その目に隠しきれない心配の色がある。
「最後の砦を突破した後、あなたは体を休めることすらしなかったわね」リリスは続けた。「背中に魔力の傷がある。私が見逃すと思った?」
「よく見てるんだな」凪彦が茶化すように言った。
「あなたの冗談、面白くないわよ、志堂」
四人目の影が、音もなく近づいてきた。ミラ・ソレン――王族直属の暗殺者一族出身の影の戦士だ。灰色の短髪と、常に警戒を怠らない瞳。彼女は影のように彼らの間に溶け込む。その手には二本の短剣が握られ、まだ鈍く光っていた。
「このエリアの敵はすべて片付けた」ミラは平坦な口調で報告した。「掃討部隊が残りを処理する。城に戻れるぞ」
「待ってくれ」凪彦が手を上げた。「もう一度、夕日を見ていたいんだ」
五人の女性たちは顔を見合わせた。彼らはよく知っていた――志堂凪彦が理由もなくそんなことを言う男ではないことを。
五番目の、最も小柄な者がついに口を開いた。エララ・ティアハート――尖った耳とふわふわした尾を持つ、ハーフエルフにしてハーフビーストマンの少女だ。最年少でありながら、エヴァンドリアが誇る最も才能ある治癒師だった。蜂蜜色の大きな瞳には、他の誰よりも明瞭な心配が浮かんでいた。
「志堂兄ちゃん……あなた……もうどこにも行かないよね?」か細い声が震えていた。
凪彦はうつむき、小さな少女を見た。手を伸ばし、優しく彼女の頭を撫でた。
「どこにも行かないよ、エララ。少なくとも……今夜はな」
少女は彼の外套の裾をぎゅっと握りしめた。まるで風が吹けば彼が消えてしまいそうだとでも思うかのように。
五人の女性たち。
五人の、彼と共に戦った少女たち。
五人の、彼が愛した人々――それぞれの方法で。
そして彼らは皆、感謝と愛に満ちた目で彼を見つめていた。彼らは戦争に勝った。腐敗した魔王を倒した。世界を救った。
これがハッピーエンドのはずだった。
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凪彦はゆっくりと丘の頂上へ歩いていった。五人の少女たちが後に続く。そこからは戦場全体が見渡せた――治療用のテント、休息する兵士たち、そして遠くには、夜を迎えるために灯りがともり始めた都市たち。
「本当にやったのね」セラフィナが隣で呟いた。「七年間続いた戦争が……今日、終わった」
「私たちがやったんだ」リリスが珍しく誇らしげな口調で付け加えた。「あなたがいたからだ、志堂。あなたなしでは、私たちの誰も今日まで生き残れなかった」
凪彦はただ小さく微笑んだ。
彼は思い出していた――この世界に目覚めた最初の日を。地球から次元の狭間に吸い込まれた異世界の魔術師として。最初はただ生き延びることだけを考えていた。それからアエリンドリアと出会い、魔物の襲撃から救われた。セラフィナに出会い、真の正義を学んだ。リリスに出会い、善悪に関する固定観念を覆された。ミラに出会い、暗殺者にも心があることを教わった。そしてエララ――守るべきものがあることを思い出させてくれた少女。
彼は地球で一度死んだ。
エヴァンドリアで、彼は生きる理由を見つけた。
「志堂殿」アエリンドリアが彼の手を取った。「あなたに伝えたいことがあるの。今がその時かもしれない――」
「私もよ」セラフィナが素早く割り込んだ。「私……もう十分待ったわ。すべてが終わった今、私は――」
「私が先よ」リリスが決然とした表情で一歩前に出た。「魔王の娘として、私は負けるのが嫌いなの――」
「私も負けないわ」普段は寡黙なミラでさえ、決意に満ちた声で口を開いた。「少なくとも今回は……」
「私も!」エララが手を挙げた。「私も置いて行かないで!」
凪彦は小さく笑った。その笑い声が静かな丘にこだました。長い戦いの疲れの中で、この瞬間はひどく軽やかに感じられた――まるで彼らの前に広がる未来のように、可能性に満ちていた。
「なあ」彼は静かに言った。「まさかこの世界で家族を見つけられるなんて思ってもみなかった」
全員が沈黙した。
「地球では、俺には誰もいなかった。それで死んだんだ。そしてエヴァンドリアで目覚めた――魔法も、戦争も、この世界の何もかも知らないよそ者として。でもお前たちは……俺を受け入れてくれた。教えてくれた。守ってくれた。俺が英雄たちの中で一番役立たずだった時でさえな」
「あなたは一度も役立たずなんかじゃなかった」セラフィナが鋭く否定した。「あなたは思っている以上に、私たちを救ってきた」
凪彦は微笑んだ。
「感謝している。お前たちと過ごした日々の一つ一つに」
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遠くから、重い足音が近づいてきた。
ミラが即座に防御態勢をとり、短剣が一瞬で彼女の手に現れた。セラフィナは剣の柄に手を置いた。リリスは掌に火球を創り出した。
「落ち着け」凪彦が言った。「ゼルだ」
巨大な悪魔の角と、戦傷で覆われた顔を持つ男が丘の陰から現れた。ゼル・ヴァルドリス――リリスの腹心であり、彼らに味方した悪魔軍の指揮官の一人だ。角の片方は折れ、左腕は吊り帯で固定されていた。
「邪魔してすまない」彼は掠れた声で言った。「報告すべきことがある」
リリスが眉をひそめた。「今?戦争は終わったのよ。まだ何か報告があるっていうの?」
ゼルは彼らから数メートルのところで立ち止まった。彼の目――いつもは敬意に満ちている――が今は違って見えた。何かがおかしい。
「キャンプに……予期せぬ客が来ている」彼は言った。「彼らはポータルを通って来た――見たこともない装備を持った戦士たちだ。南から来たと名乗っている」
「南?」アエリンドリアが困惑した。「南に大きな王国なんてないわ。ただ――」
「影の王国の戦士たちだ」ゼルが遮った。「彼らは……英雄殺しからの伝言を携えていると言っている」
凪彦は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
それは彼の知る名前だった。二十年前に消えたと信じられている、賞金稼ぎの暗殺者集団の呼び名だ。かつてエヴァンドリアの英雄を殺害した責任があるとされる組織。
「なぜ今になって彼らがここに?」セラフィナが問いかけ、剣はすでに半ば抜き放たれていた。
ゼルは肩をすくめた。「分からない。だが彼らは、志堂凪彦と直接会いたいと言っている。他の者には話せない問題だ、と」
リリスが前に出た。「明らかに罠よ。私たちが許すわけには――」
「行く」
すべての視線が凪彦に集中した。
「志堂殿!」アエリンドリアが彼の腕を掴んだ。「本気じゃないわよね――」
「本気だ」凪彦の声は落ち着いていた。「もし彼らが本当に影の王国の者なら、これは俺が一人で解決すべき問題だ。俺は長年お前たちを率いてきた。今回は俺にやらせてくれ」
「イヤ!」エララが彼の腰にしがみついた。「志堂兄ちゃんを一人で行かせたりしない!」
凪彦はうつむき、小さな少女が涙で潤んだ目で自分を見上げているのを眺めた。胸が痛んだ――しかし彼はこれが正しいことだと分かっていた。
「信じてくれ」彼は優しく言った。「戻ってくる。いつものように」
彼はエララの腕を優しく解き、ゼルの後について丘を下りていった。
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勝利のキャンプは丘の下の谷間にあった。至る所でかがり火が燃え、エルフ、人間、悪魔、ドワーフ、ビーストマン――様々な種族の兵士たちが勝利を祝って集まっていた。しかしキャンプの片隅に、一つの暗いテントがあった。火も灯っていない。
ゼルは彼を漆黒の布でできた大きなテントへと導いた。その前には、黒いローブを纏った二人の衛兵が、奇妙な武器を手に立っていた。異様な魔力のオーラを放つ武器だ。
「ここだ」ゼルが言った。「中で待っている」
凪彦は頷いた。彼はゼルの肩を軽く叩いた。「案内してくれてありがとう」
ゼルは微笑んだ――奇妙な微笑みだ。その目が笑っていなかった。
凪彦はテントのカーテンを押しのけて中に入った。
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テントの中は暗かった。
光は一つだけ――部屋の中央に置かれた水晶球が、かすかな青白い光を放っている。
そしてその水晶球の向こう側に、一人の男が高い椅子に座っていた。
「ようやく……会えたな、英雄」
その声は聞き覚えがあった。ひどく聞き覚えがあった。
凪彦は固まった。
男が顔を上げた。彼の顔は半分仮面で覆われていたが、凪彦にはその目が分かった――彼が知っている目だ。何年もの間、彼が味方だと思っていた男の目だ。
「ゼル……?」
男は仮面を外した。
そして凪彦は、ついさっきまで自分をここへ案内したのと同じ顔を見た。しかし目の前の男は両腕が無傷だった。
「混乱しないでくれ」ゼルが微笑みながら言った。「外で会ったのは私の部下だ。なかなかの代役だろう?私はこの機会をずっと待っていたんだ」
凪彦は体内の魔力が急激に流れ始めるのを感じた。身構えた。
「どういう意味だ、ゼル?お前はリリスの最も信頼された腹心じゃなかったのか。なぜ――」
「リリスの最も信頼された腹心?」ゼルが笑った――そこには一切のユーモアがない笑いだった。「その通りだ。私はリリス様に忠誠を誓っている。彼女に仕えている。だがお前は……」彼の目が細められた。「お前がすべてを台無しにした」
「何?」
「お前が来る前までは、私はリリス様の最も近しい存在だった。彼女の右腕だった。彼女の父が腐敗した時、彼女の側にいたのは私だ。彼女が迷った時、彼女に力を与えたのは私だ。私は……彼女を愛していたんだ」ゼルの声は抑えられた怒りで震えていた。「だがお前が来た。異世界の英雄が。そして一瞬のうちに、お前は私のものであるはずの場所を奪い去った。リリス様はお前を見た。全員がお前を見た。私は無になった」
凪彦は沈黙した。何と言えばいいのか分からなかった。
「しかしこの戦争が私に機会を与えた」ゼルは続けた。「私は待った。完璧な時を。全員が疲れ果てた時。お前が最も油断した時」彼は手を上げた。その背後から、黒いローブを纏った十数人の影が現れた。「影の王国だ。私は昨年から彼らと接触していた。彼らは一つだけ条件を付けて私を助けることに同意した――お前が死ぬことだ」
凪彦は体内の魔力が急上昇するのを感じた。手にした剣が明るく輝いた。
「お前が俺を倒せると思っているのか?」彼の声は冷たかった。
「もちろん直接は無理だ」ゼルが微笑んだ。「しかしな、何年もの間、お前が気づかなかったことが一つあるんだ」
凪彦は動こうとした。
しかし体が応答しなかった。
魔力が激しく流れている――しかし突然、何かがおかしいと感じた。まるで魔力の流れに栓がされているかのように。
ゼルが小さな鎖をポケットから取り出した。鎖の先には、暗い光を放つ黒い宝石がついている。
「魔力制御のアミュレットだ」ゼルが静かに言った。「お前が戦っている間に、お前の外套に仕込んでいた。負傷した腕のちょうど下だ。戦いに夢中で、疲れ果てて、気づく余裕などなかっただろう。このアミュレットは日々、お前の魔力を徐々に吸収していた。今では……」彼が指を鳴らすと、凪彦はほとんど空っぽだった。
凪彦は膝をついた。剣が手から滑り落ち、その輝きを失った。
「彼は……」
「ああ」ゼルが囁いた。「そしてお前はただ見ていることしかできない」
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五分後、凪彦はテントから引きずり出された。
彼はほとんど目を開けていられなかった。体が空っぽだった――エヴァンドリアに来てから一度も感じたことのない虚無感だった。何年もの間、体内を無限に流れていた魔力が、今はほとんど尽き果てていた。
ゼルが彼の前を歩いていた。今は偽の角を頭に付け、黒いローブを纏い、まるで影の王国の指導者のように見える。
そして彼らの目の前に……五人の少女たちが立っていた。
彼女たちは武装した兵士に囲まれていた。その顔――凪彦はぼやけた視界でもはっきりと見えた――は恐怖と困惑に満ちていた。
「志堂殿……!」アエリンドリアが叫び、彼に手を伸ばそうとしたが、二人の兵士が彼女を抑えた。
「彼を放せ!」セラフィナが剣を振り回したが、彼女の手は震えていた――疲労からかもしれない、恐怖からかもしれない。
リリスが前に出て、手のひらに炎を燃やしたが、ゼルが手を上げて命じた。
「その偽りの英雄を殺せ」彼は冷たい声で言った。「彼こそがすべての黒幕だ。彼が我々を裏切った。彼が影の王国をエヴァンドリアに招き入れたのだ」
「違う!」エララが叫んだ。「志堂兄ちゃんがそんなこと――」
「彼を見ろ」ゼルが遮った。「なぜ彼は自分を弁護しない?彼が有罪だからだ」
凪彦は笑いたくなった。しかし笑うことさえ、彼には力が残っていなかった。
ゼル……お前は本当に完璧にすべてを計画したんだな。
二人の兵士が彼をキャンプの前に突如現れた木製の舞台へと引きずり上げた。祝賀の最中だった兵士たちが集まり始めた。困惑し、恐怖していた。
「エヴァンドリアの兵士たちよ!」ゼルが叫んだ。「この戦争は終わった!しかし我々の中に、最後の敵が一人残っている!志堂凪彦――英雄を自称する男――が我々全員を裏切ったのだ!」
群衆から困惑した叫び声が上がった。
「証拠は!」誰かが叫んだ。「簡単に信じられるものか!」
ゼルは一連の書類を取り出した――もちろん偽造だ――凪彦と影の王国の間の通信を示している。それは十分に説得力があった。戦争後の混乱の中で、困惑と疲労の中で、人々は簡単に信じ込んでしまった。
「志堂!」セラフィナが叫んだ。その目は涙で輝いていた。「何か言って!全部否定して!」
凪彦は口を開いた。しかし出てきたのはかすかな囁きだけだった。
「俺は……」
「俺はお前たちを裏切ったりしていない」
彼の言葉は群衆に届くにはあまりに小さかった。しかし五人の少女たちには聞こえた。
リリスが前に出た。「ゼル。彼を放せ。魔王の娘として命じる――」
「すみません、リリス様」ゼルが言った。そして初めて、彼の声からすべての敬意が消え去った。「しかし、あなたはもう私の主ではありません」
リリスの目が見開かれた。
ゼルが手を上げると、群衆の中から、彼に忠誠を誓う二十数名の悪魔兵士が現れ、リリスたちに武器を向けた。
「さあ」ゼルが言った。「裏切り者の処刑を始めろ」
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剣が掲げられた。
凪彦は星明かりの下で輝く刃先を見た。
彼は振り返った――一度だけ、最後に――そして五人の少女たちを見た。
アエリンドリア。その手からは治癒の魔力が溢れ出ているが、二人の兵士に抑えられて使えない。セラフィナ。その剣は手元にあるが、顔は涙で濡れている。リリス。その目は怒りと悲しみの炎を宿している。ミラ。その場に凍りつき、顔は青ざめている。そしてエララ……小さな少女が彼の名前を叫ぶ。その声は、凪彦が命の終わりまでずっと耳に残るだろう。
全部、俺のせいだ。
もし俺がエヴァンドリアに来ていなければ……
もし俺が英雄になっていなければ……
きっと彼女たちはもっと幸せだっただろう。
しかし違う。凪彦にはそれが間違いだと分かっていた。彼らは共に戦った。彼らは愛し合った。それは現実だった。すべて現実だった。
彼はただ願っていた……いつか……彼女たちが自分を許してくれることを。
「ごめん……」彼は囁いた。その声はほとんど聞こえなかった。「また……会えるといいな……次の人生で……」
剣が振り下ろされた。
そして世界は闇に包まれた。
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次回 第2章 ーー『名を持たぬ船と少女』
次回予告:
凪彦は見知らぬ医療室で目を覚ます。周囲を取り巻くのは、彼が想像もしたことのないテクノロジーだ。窓の外では、見覚えのない星々が輝いている。優しい女性の声が彼を呼ぶ――まだ名前を持たない、宇宙船のAIだ。凪彦は、正体不明の船に乗っていることに気づく。そして三度目の人生で、自分が何者であるかを決断しなければならない。
次章に続く。




