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52 眺めが最高

 ガーグルが案内してくれたレストランは、さっきの広場が一望できるルーフバルコニーがあった。俺たちのために貸切になっていた。


 王城からの高さほどではないが、城下の街の賑やかな息遣いを感じられる最高の眺めだった。


 バルコニーには南国の樹木の植木鉢が置かれて、そよぐ風に大きな葉が揺れるととても清々しい。床はモザイクのタイル、テーブルは青と白を基調にしたテーブルクラスが鮮やかだ。


 俺とクリクは、先ず、びしょ濡れになった服を着替えた。ガーグルが買ってきてくれた。ガーグル、特別任務が多いけど騎士団の特別顧問に籍を置いてるらしい。特別任務が俺とクリクの監視なんて気楽だな。


「ガーグルは、一体誰が上司になってるわけ? 」


 クリクが聞く。ガーグルは、最初はアーネスだったが今となると誰が優先なのか分からないという。


「王位問題の板挟みで大変じゃないのか? 」


 と、俺が聞くと「そうでもない」とガーグルは言う。


 竜王の牙の件は、そもそもマドリアスが提案し陛下がそれに乗ったのだとか。そうとは知らず、ググランデを推してるゲオルドとザリアデラがまんまと自滅してくれた。幽閉されていた腹心たちも助ける事が出来た。サイホーンのお陰で思ったよりも早く事が済んだのは想定外だったとか。


 マドリアス王子とアイネイアス姫がどちらが王位を継承するのは……贅沢な話、正直どちらでもいいらしい。国民の関心事が集まって選択肢がある事で盛り上がれば国家安定に御の字らしい。


 第二王妃を迎えて、私生児だったググランデがいい面の皮なのが可哀想じゃないかと思う。


 ググランデは、帝都に学徒として旅立った。表向きは母親である第二王妃と軟禁されている事になっているが、新しい身分を与えられ自由になったと聞いて俺はホッとした。


 マールクは、俺たちの後輩として国立剣術学校に入る予定という。マールクはアーネスとガーグルに懐いて、同じ学校を出たいらしい。


 籐を編んだチェアに深く座り、ガーグルの話を「へぇ〜」と聞き続けてた俺に話が振られる。


「お前、自分の事は気にならないのか? 」


「えっ? 俺? 何も聞いてないぞ」


 自分の話となるといちいち慌てる俺にガーグルは頭が痛いを超えるらしい。


「サイ、貴族の身分と称号を与えられるって、聞いてないのか? 」


「いやいやいや、全く聞いてないけど!! それ、どれも要らない……!! 」


「強いて言えば、陛下とアーネスが揉めてるのはそれだな。アーネスは要らないと突っぱねているが、陛下が王女に相応しい身分の者でないととゴネている」


 はぁ……


「陛下にお前の身分と称号と王位継承を天秤にかけられているぞ」


「はぁ!? 」


 いや、話おかしいから。女王だと身分差ありなの意味が分からない。


「どっちにしろ、がんばって巻き込まれろ」


 と、ガーグルは言い捨てた。

 いや、全然、応援してないよな、それ。

 俺の意思どこ!?

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