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51 ガーグルに捕まる

 公示人が集めた群衆を背に俺はクリクを引っ張り猛ダッシュで広場を離れた。


 噴水の水を強かに浴びまくって、クリクも俺もずぶ濡れになって通りに入ると、脇道から長く逞しい腕が伸びてきて俺のはらを捕らえた。


 ぐうっ!!


 そのまま脇道に向きを変えられた。誰かと言わず、ガーグルだ。


「な、ガーグルどうしてここに!? 」


 俺はクリクを離して、切らした息を整える。こんな事ぐらいじゃ息を切らすわけ無いんだけど、あれは心臓に悪かった。


「ばーか、お前が城下に降りて遊ぶって言うから、監視しとけって言われてるんだよ」


「そ、そうなの……それ、誰、どっち」


 監視かぁ……そ、そうだよな。護衛が必要なほどヤワじゃないつもりだけど、俺は監視されてるのかぁ〜〜。


「アーネスに、マドリアス王子に、国王陛下だな」


「ひ、一人増えてる……なんだよ、監視とか言うなら、普通にガーグルもいっしょにいればいいじゃないか。こっそり見てたのかよ」


「面白い事になりそうだから、こっそり見てた」


 悪びれずに長身から俺を見下ろすガーグル。いや、もう、いつ見てもカッコいいな。俺はそっちじゃないけど。


「ひどくない? 」


「そのぐらいいいだろ? 」


 二人に通じる話に、クリクも頷いて察する。クリクはあどけない少年に見えて耳年増なんだよな。見た目と中身のおっさんぶりのギャップがずるい。


「とりあえず、そのずぶ濡れはどうかと思うから着替えろ。この先に見晴らしのいいレストランを用意してるから、今日はそれで我慢しろ」


「「やった——っ」」


 普通に俺とクリクは両手を上げてガーグルに大感謝した。


 ガーグルが呆れてるけど、この際良い。

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