49 俺も拗らせてた
アーネスに放り投げられた俺は、アーネスのベッドの上に落ちた。
これ、本当なら俺がアーネスをお姫様抱っこしてベッドに運ぶのが正解だったんじゃないか? と、そこまで考えてやっとアーネスの本気に気がつく。
「サイ、逃がさないからな」
逃げられた事なんかない。
アーネスは俺を仰向けにして、両手を押さえつけた。泣き顔をキリッとさせて俺を睨む。跨られて下にされて、アーネスの体重が気持ちいい。
『もしかしたらアーネス、俺の事好き? 』そんな勘違い死んでもしちゃいけないって、呪いみたいな片思いから全力で逃げようとしてた。
アーネスは俺を抑えつけながら、次にどうしたら良いのか悩んで焦っている。アーネス……人の事言えないけど、もしかしなくても恋愛にポンコツ?
「……アーネス、言う事間違えてるよな? 」
アーネスが恥じらう顔を見せると俺を抑えてた両手の力が抜けて、俺はアーネスの腰と背中に手を這わせてアーネスの顔を近寄せた。
「アーネス、言えって」
背中を撫でるだけで敏感に反応するアーネスの目が潤って、俺もどうにかなりそう。
「……サイ、好き」
やっと伝わる言葉が聞けて二人の呪縛が解けた。アーネスとゆっくり唇を重ねる。お互いの唇を確かめながら「俺も好きだ」と言って、キスの密度を重ねていった。
うっとりとするアーネスが堪らない。
それから俺は、堰を切ったようにアーネスに今まで妄想してた事をいっぱいしちゃった……
アーネスの身体が柔らかく撓って、震えながら妄想以上に乱れるから、俺の頭は茹で上がっておかしくなってた。
気がついたら朝が白んで、俺たちは恋人たちみたいに身体を絡ませて眠りについた。
——いや、恋人たちだよ。