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48 泣かせちゃった

 あのブローチは、ブルクルタ国立剣術学校の卒業試合で準優勝でアイネイアス姫特別賞として受け取ったものだった。特別な箱に入ったそれは、入れ物が豪華過ぎて中身があるとまで思わなかった。


 アーネスに変身した俺がガーグルに勝ち切れずに終わった試合だった。どちらも優勝者では無かったが、なぜ、俺に——


 色々が信じられない俺は、アーネスに問いかけた。


「渡す相手を間違えたんだな……」


 そう俺が小さく言葉を吐くと、アーネスが俺の方をつぶさに見る。アーネスの顔が悲しい顔になった。俺も申し訳なくて苦しくなる。


 手違いでガーグルに渡すはずだったブローチを俺に渡してしまったのか。


「そんな俺にちゃんと話してくれれば、ガーグルに渡せたのにな。ダメだろ、変なプライドでやせ我慢なんかしたら。明日にでも結婚は無効にしてもらえないか話してみよう……」


 慰めるようにアーネスに話すと、アーネスが急に声を大きくして、俺の方に身体を向けた。


「ま、間違えてない! 私はサイに渡したんだ! 」


「アーネス、そんなに嫁に行くのが嫌だったのか……(俺に預けておくなんて)」


 そこまでブラコンを拗らせていたと思って同情しかけたら、アーネスがぽろぽろ涙をこぼして泣き始めた。


「サイは私のことが嫌いか? 」


「そんなわけないだろ」


 ——もう、一生分の恋はしたんだ。遠くからアーネスの幸せを祈りながら生きていけば俺は十分……


 そう思った時には、アーネスが俺を掴み上げてぶん投げた。俺は軽く空を飛んだ。

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