35 サイホーンの本懐
竜王の体内の光る隕石の輪郭がハッキリと見えてくると、俺はさらに興奮した。
竜王が金色の目を細めて俺を見ると、再び顎を開けて飲み込んだ隕石を空中に吐き出した。
竜王の魔力で俺の目の前に高温を帯びた隕石が輝く。光源になるそれが吐き出されると、竜王の身体の光は優しくなり、隕石の光に照らされて美しい。
「望みのものが手に入ったぞ」
竜王が俺にそれをくれると言う。
「ありがとう、竜王……」
俺は心から感謝を述べた。
アーネスがそれを見届けると、ググランデの兵たちに向けて精霊の泉まで撤退せよと命じた。降り止まぬ大流星群に足元を照らされながら、兵士たちとググランデを連れたガーグル達が精霊の泉まで戻って行く。
竜王の元に残った俺たちは、サイホーンの目的を叶える時間を迎えた。
一体となった俺とサイホーンは、隕石——純度の高い隕鉄という素材の前に立つと、サイホーンに残された魔力と精霊たちの霊力で——聖剣を造り出す。
サイホーンは精霊たちの霊力を最大限に呼び覚ます大流星群の降る日、竜王が千年に一度再生するこの日に聖剣を造り出したかった。
俺は、サイホーンの強い執念に驚かされていた。