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19 最悪の事態が起こる

 お昼時、寮生だけしかいないはずの食堂でもアーネスは見当たらない。寮室も何度か戻った。居そうな場所は隈なく探した。あいつの魔力を感知出来ない。


 ——アーネス!!


 どこにも居ない。予選を突破した後の第一回戦でぶつかるのは、アーネスとだった。このままアーネスが来なければ、どちらかが不戦敗となる。


 俺の卒業がかかった剣術大会の初戦の相手が、まさかのアーネス。


 同期のやつらからは、当然のように「腰巾着落第」「金魚の糞脱落」「下僕のイン○童貞不戦敗」とか散々陰口が聞こえてくる。これ、普段からアーネスも聞いてるんだから、俺にもっと優しくしてくれても良くない??


 俺は決断しなければならない。俺の姿で闘技場に出るか、アーネスの姿で自分の不戦敗不卒業を確定させるか。


 競技場に姿を現したのは————


 当然、アーネスだった。扮するは俺。美少女の登場に沸き立つ競技場は意味のない大歓声だ。どうやら俺の幻影魔法はこれだけの群衆の中でも通用するらしい。


 アーネスの不戦勝と俺の不戦敗が決定した。俺は剣術学校中退の経歴になる。


 そんな俺自身に感心すると共に、虚しさにま苛まれた。


 ふと、観覧の特別席の方に目を向けると、第一王子マドリアスと目が合った。その顔を見て俺は驚いた。髪と目の色がアーネスと同じで良く似ている。違うのは、輪郭がやや強く背が高く肩が広い男の体格だ。それにしても、満ち溢れる高貴さを放つ美男子だった。


 俺を見て、目を細め優しく微笑んでいる。


 もしかして、しなくても、あれ、アーネスの兄か!? マドリアス王子の下に王女が一人いるとは知っていたが。


 ——すると、あれか、アーネスは……

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