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【Web版】従弟の尻拭いをさせられる羽目になった  作者: 紫音
第三部

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閑話 レンティアースの思惑

主人公以外の視点が続いてしまいごめんなさい( ;∀;)



 翌日、エリナは応接室に通された。今回はハーバラの同席はない。レンティアースから個人的な話を含むので、同席は遠慮してほしいという申し出があったためだ。護衛の同席は許可されているので、今回もフィラリータ一人を同席させる。その間、ハーバラは市場の視察をしてくるということだった。


「改めてお時間を取っていただき、ありがとうございます」

「いいえ、こちらこそお招きいただきありがとうございます」


 紅茶と色とりどりのお菓子が用意され、テーブルだけを見ればお茶会のようだ。だがその中に置いて、エリナは緊張していた。どんな話があるのか。それがアルヴィスに関係することなのか。女神ルシオラに関することなのか。ルベリア王国にどういう関わりがあるのか。気にかかることが有り過ぎて、身構えずにはいられない。

 そんなエリナの様子を知ってか、レンティアースは優雅に微笑む。白銀の髪が僅かに揺らしながら、ティーカップへと手を伸ばした。


「どうかそのように緊張なさらないでください。私はただお伝えしなければならないことを伝えるというだけです」


 それが何かがわからないからエリナは身構えている。だが、確かに今から身構えていては疲れてしまうだけだ。社交界と同じだと思えばいい。相手が他国の次期女王という相手であっても、エリナの在り方がかわるわけではない。エリナはルベリア王国の王妃、アルヴィスの妃としてこの場にいるのだから。少しだけ息を吸ってはそれを吐き出す。もう大丈夫だ。覚悟はある。


「失礼いたしました。もう大丈夫です」

「そうですか。宜しければ、是非こちらもお手に取ってください。お口に合うといいのですが?」

「ありがとうございます。いただきます」


 チラリとフィラリータへ視線を向ければ、心得たとエリナの近くまでやってくる。


「失礼かとは思いますが……」

「構いません。他国での食事ではそうすることが必要なのは承知していますから。どうぞお召し上がりください」


 フィラリータが近くに来たのは毒味のためだ。相手が信用できるか否かは問題ではない。万が一のことが起きた場合に備えるためのもの。最悪を避けるためのことではあるけれど、フィラリータたち騎士を守る意味もある。万が一のことが起きた場合、エリナだけの証言ではなく、職務を全うしたという証言がレンティアース側からも貰えるからだ。第三者がいるというのはそれだけ重要視される。それをエリナも、レンティアースもよくわかっていた。


「問題ありません」

「騎士様のお口には合いましたか?」


 レンティアースからそう尋ねられたフィラリータは笑みを浮かべながら頷く。そうして頭を下げてから一歩下がった。続いてエリナがお菓子を手に取る。クッキーに似た食感だけれど、それよりも軽いような感じがした。程よい甘さがちょうどいい。


「美味しゅうございます」

「良かったです。実はこれは私が作ったものなのです」

「料理をなさるのですか?」

「はい。ここで育った子たちは皆がそうやって教育を受けますから。一人でも生きていけるようにと」


 料理だけではなく、洗濯や掃除などといった日常に必要なことはすべて一人で行えるようになるのだという。もちろん、きちんとした料理人も城にはいる。レンティアースのように次期という立場に置かれれば、自炊する必要はない。それでもやり方を忘れないようにと、時折調理場に立たせてもらっているらしい。


「羨ましいです。私は料理の腕がからきしなので」

「エリナ様がですか?」

「はい」


 どうしても料理だけはうまくいかない。何度かアルヴィスのために簡単なお菓子を作ったこともあるけれど、それだっで皆の協力があってこそだった。一人では絶対に無理だっただろう。形が不格好でもアルヴィスは喜んでくれたけれど、もしできるのであれば綺麗なものを作って手渡したかった。


「誰にでも不得手なものはあるものです。それに王妃であるエリナ様にはさほど必要な技術ではありませんでしょう」

「そうですね。でも慕う殿方に何かして差し上げたいと思うのは、女性であれば誰しもが想像すると思うのです。そこに身分や立場は関係ありませんから」


 王妃であっても貴族であっても、誰かを想う気持ちは変わらない。誰かに何かをしてあげたいと望む気持ちも。そう伝えればレンティアースは目を細めた。


「そういえば、ルシオラもあまり料理が得意ではありませんでした。いつも奇怪な食べ物をゼリウムに渡していたものです。あの時ばかりはルシオラを褒めたたえるバレリアンを滑稽だと思ったものですが」

「え……?」


 何を突然話し始めたのか。あまりにも何でもない風に始まった語りに、エリナは一瞬反応が遅れてしまう。ルシオラ、バレリアン、そしてゼリウム。知らぬ者などいない名前の数々。それをまるで友人のことを話すような口調で紡ぐレンティアース。言葉を失い、目を丸くするエリナにレンティアースが微笑む。


「最初にお伝えしておきましょう。おそらくアルヴィス陛下は気が付いておいでだとは思いますけれど」

「そ、れは……レンティアース様が女神様たちの関係者であること、でしょうか?」

「いいえ。私が現代では創世記、その時代に()()()()()()()と魂を同じくする者であるということです」


エリナの料理が苦手という話は短編集の方で描いている番外編ですので

もしまだ未読の方はそちらの方も一緒に読んでいただけると(;^ω^)


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