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Mousse chocolat framboise 〜 おじさんのお話 〜  作者: カフェと吟遊詩人
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魅惑の彼女

彼女は数日前の会社のビルの壁に寄り添っていた時の様に何も話さない


ただ、今日の彼女はあの日よりも短めのスカートから亜紗美よりやや細めの綺麗な脚が伸びている


肌寒い駅のベンチでその脚を少し手で擦りながら綺麗な顔をこちらに向けておじさんが話し出すのを待っている


しかし、その時のおじさんの頭の中は《沙都美はメンヘラ》と言う言葉で埋め尽くされており


『怖い怖い怖い怖い怖い怖い』


本当に失礼な事を考えながら、その時のおじさんが考えは《逃げる事》しか思い浮かばなかった


「えっと、ちょっと用事を思い出した」


と、あからさまに、余りにも大根役者の如く立ち上がろうとすると


沙都美は《ガシッと》腕を組んで来て捕まえる


『怖い怖い怖い怖い怖い怖い』


泣きそうなおじさんは


「ど、どうしてここにいるんだい?」


やっとの事で重要な事を話しかける


「課長が取引先から電話を受けたらしく、私に手伝う様にと」


「そ、そ、そ、それにしてもここにいるのはおかしい、、、早過ぎないか?」


「他の仕事も有るらしいから一緒に話を聞いて来いと、、、」


「そ、そうなのか」


何となく無理矢理に自分の頭に納得させる


後で知った話だが、上司が先方の社長から電話を受けた後に誰に勇輝を手伝わせるか隣の席の沙都美の先輩に相談している所を「私がやります」と、半ば強引に受けたそうだ


更に言うなら「途中からでも話し合いに参加して来ます」と上司と先輩が「次回からで良いんじゃないか?」と軽く止めても「勇輝さんだけじゃ頼りないですからね」と、、、軽くディスられ、、、。


この情報を勇輝にリークしたのは勿論、、、亜紗美だった。


その時の亜紗美の悔しかった事、、、貴則に「早く取引先に行くぞ」と沙都美をやや睨みながら部屋を出るのであった



「話し合いは終わったので、、、次の仕事に行こうと思っているので、、、会社に戻っていいよ」


「露骨に追い返さないで下さい」


「いや、君の仕事も有るだろう。。。ざ、残業する程仕事が有るって言ってたし」


「大丈夫です。死ぬ気でやって出来る限り勇輝さんに時間を使いますから」


『怖い怖い怖い怖い怖い怖い』


「別の営業に行こうと思っているので、、、本当に大丈夫だよ」


「それも含めての勇輝さんのサポート役です」


「そ、そうか」


「じゃあ、、、別の仕事はやめておいて今回の仕事の話をするか。会社に戻るよ」


もともと別の仕事(営業)なんて予定は有るはずも無く


ベンチから立ち上がろうとする


しかし、沙都美はまだ腕を掴んだままだ


「会社に戻るよ」


もう一度、そう言って腕を離して立ち上がる様に促す


この時、華奢な沙都美の胸が当たっている、、、と思う(失礼な話だが沙都美は細いぶん胸も小さい)


二の腕に柔らかさを感じながらその事実をマトモに捉え出したおじさんは段々緊張で身体が固くなってきている


女性とこんなに近付くのは滅多に無い事だ


まして腕を組まれたのは何年振りの事だろう


「お茶でもしながら話しませんか?勇輝さん、黒糖ミルク珈琲好きですよね」


「、、、いや、金欠で」


これはあまりに素直な言葉で、緊張が一気に抜ける


沙都美は一瞬止まったが


「先日のお礼に私が奢りますよ」


さっきまでよりより強く腕を絡めてきて、再びおじさんの身体は固くなり

その力強さは否応無しに合意を求めていた


〜〜〜〜〜〜〜〜


2人で坂の途中に有る上島珈琲に入り


おじさんは沙都美に促されるままに2階に席取りに向かう


資料を広げる為に4人掛けの大きめのテーブルが有るソファー席を確保した



しばらくして飲み物を持って沙都美が席に来た


オジサンの正面の席に座り片方の髪の毛を耳にかける


そんな仕草にドギマギしてしまうのは


踵が高めの靴を履いた沙都美が低めソファーに座ると短いスカートも合間って脚が強調される


太ももの奥を覗いていると思われたく無いおじさんはいつもなら有り得ないくらい沙都美の目をしっかりと見る


それをおそらく見抜いている沙都美は


「私の脚、、、どうですか?少し太いですかね」


多分、絶対、、、自分の脚を太いと思っていない女性ならではの謙遜してるフリだと思うおじさんだが


「いやいやいやいや、細くて綺麗じゃないか」


完全に見ていた事がバレる返答だが、他に答えが見つからなかった


「脚好きと有名な勇輝さんは、亜紗美と私の脚はどちらが好みですか」


「ちょ、有名って、、、女性社員は皆んな知ってるの⁇」


「貴則さんが会社中に言いふらしてますよ」


「た、貴則。帰ったら説教だな」


もちろんそんな事は出来ないのだが


「大丈夫ですよ。貴則さんの胸好きの方が女性社員の中で不人気ですから」


大した慰めにもなって無いが、、、。


「で、亜紗美と私の脚、、、どっちが好みですかね」


「、、、、、」


もはや追い込まれて何も言えない


「私、これでも勇気を出してこの場所に来てますし。勇輝さんのミニスカート好きを知って苦手なミニスカートを履いてますし、、、寒いのに、、、。」


「、、、、、」


「まだ、スカート長いですか?」


そう言ってスカートの裾を持って少し上に上げようとする


完全におじさんは翻弄されている


恐らく沙都美のこの行動は計算されている行動だろう


しかし、そんな計算された行動にまんまと嵌められて行くのがフェチ性の強い男のサガだろう。


そこにBLTサンドが2人分運ばれて来た


「お昼まだですよね。頼んでおきました」


「あ、有難う」


この心遣いがおじさんの心を揺らす


『さっき怖いっていっぱい言ってごめん』


心の中で謝罪する


「食べましょう」


「いただきます」


こんなクダラナイ会話が交わされていたが、沙都美の脚が眩しくて直視出来ない現実はまだ変わっていないのであった

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