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 それは地面に落ちると弾けて消えた。弾けるときに涙は、とても鮮明な音を出してぱあん、と弾けた。ぼくは涙が弾けた音で、初めて自分が泣いていることに気がついた。……心臓が、すごくどきどきしていた。

 ぼくは涙を手のひらでぐいっと拭った。それから頭を振って、気持ちを強く持って、あまり言うことを聞かない足を無理やりにでも前に動かして、……再び孤独な旅を続けた。……ぼくは、星を探そうと思った。

 ぼくはそれだけを思い、冷たい冬の風にちらつく白い桜の花びらのような雪の中で、どこかの『天上に輝いているはずの、一つの星の光』だけを探し求めた。……とにかく限界まで歩こう。最後まであきらめずに歩こう。それでもし、力尽きて敗れることがあったとしても、(倒れてしまったとしても)それでもきっと胸を張って古代魚に会いに行けるくらいには、睡蓮さんにきちんと自分を誇れるくらいには、それくらいは、しっかりと歩こう。……凍てつく寒さと極度の疲労の中で、ぼくは(白い息を吐きながら)そう決意した。

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