表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
342/400

342 光の差し込むところ わたしときみが出会ったところ

 光の差し込むところ


 わたしときみが出会ったところ


 ある日、タタはいつものように影のお城の中庭の屋根のあるところから、一年中雪の降り続いている影の世界の空をときどき見ながら、カカと一緒にのんびりと過ごしていた。

 白くて丸いテーブルの上には本が置いてある。

 あれから、タタはよく本を読むようになった。

 にこはタタに本を読むことのおもしろさを教えてくれた。(偶然だったけど)

 カカはタタのそばで、タタのことを守るようにして、うずくまったままで、気持ちよさそうに眠っている。(カカはにこのことが大好きだから、もしかしたらにこの夢を見ているのかもしれない)

 タタはそっと本を閉じる。

 奇跡。

 にことの出会いはそう。

 わたしたちにおこった奇跡だったのだ。

 わたしとカカにお友達ができる、神さまのくれた奇跡。

 にこ。

 こんなわたしとお友達になってくれてありがとう。

 カカとお友達になってくれて、ありがとう。

 とタタは笑顔の素敵な、太陽みたいな生きているあったかい人間の女の子、にこのことを思い出して、雪の降る影の世界の空を、にこの落ちてきた、あの日の(とってもおどろいた)空を見て、にっこりとにこみたいな顔で笑った。

 タタはまた本を開ける。

 本を読みながら、ときどきふっと思い出したようにタタは空を見る。

 どこかで、またあのおっちょこちょいの元気な人間の女の子が間違って、お母さんとはぐれてしまって、影の世界に落っこちてこないか、なんだか心配になって、つい空を見てしまうのだった。

 そこには影の国に迷い込んでくる人間の女の子はどこにもいなかった。

 しんしんと、真っ白な雪が、ゆっくりと降っているだけだった。

 そんないつもとかわらない影の世界の薄暗い雪の降る空を見て、「よかった」とふふっと笑って、タタは言った。


 お母さん。大好き。


 はずかしがりやの影の世界の王女 リトルプリンセス タタ 終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ