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「たたちゃん大好き」にこはでれでれしながら言った。

 タタはにこにぎゅっと抱きしめられて、恥ずかしそうにそのお人形のような美しい顔を赤くして黙り込んでいる。

「たたちゃん。にこのこと好き?」とにこが聞くと、こくんとタタは小さく顔を動かした。

 するとにこはとっても幸せそうな顔をした。

「かかのことももちろん大好きだよ」とにこはカカを見てそう言ってにっこりと、まるでひまわりの花みたいに笑った。

 にこはカカともすぐに仲のいいお友達になった。(カカもすごく嬉しそうだった)

「たたちゃん。遊ぼうよ」と言ったり、「かか。一緒にかけっこしよう」と言ったりして、元気なにこはタタの手をひっぱって、カカの背中に乗ったりして、はじめてみる広い影のお城の中でいっぱい遊びたがった。

 そんなにこと一緒に遊ぶことは、タタもカカも、とっても楽しかった。心が温かくなるような、不思議な感じがした。タタにとって、それは初めての経験だった。

 タタはにことたくさんお話をした。

 にこは白い厚手のセーターに、デニムのオーバーホールの洋服を着ていて、足元は白いスニーカーだった。首のところには、ふかふかの白いマフラーを巻いている。白い手袋に、白いふわふわの帽子もかぶっていた。(洋服の名前とか、着かたとか、そんなことをタタはにこから教えてもらった)

 にこの年齢は十歳で、思っていたみたいに、タタと同い年の生きている人間の女の子だった。

 そのことをにこにいうと、にこは「たたちゃん。わたしと同い年なんだ。おそろいだね」と言って、目を大きくして、とっても喜んでくれた。(タタも嬉しかった)

 にこは初めて会う影の王女であるタタや怖い影の獣の姿をしているカカのことを全然怖がったりしなかった。

 にこはみんなを愛していた。(そして、いつも明るくて、元気で、タタやカカを笑顔にしてくれた)

 そんなにこを見て、タタはまるでにこはこの影の世界には永遠に存在しない、お話でしか聞いたことがない、あの空の高いところで、光り輝いているという本物の太陽のような女の子だと思った。

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