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10話 報告と準備の買い物

目が覚めると…いつの間にかマルルがベッドに入り込んでいた。


「マルル、なんで一緒に寝てるのかな?」

「やることないから入った。 ダメ?」


マルルはスライムだ。ダメかと言われれば問題はないが、見た目は女の子。心の問題という物がある。


「一緒に寝るときはスライムの姿になってくれるかな?」

「わかった。 これからはそうする」


そんなことより大事なことがあった。


「マルル、馬車の方に異常はないか?」

「うん、問題ない」


こっちは異常は無いようだ。次はギルドになにか変化が無いか聞いてこよう。




~*~*~*~*~*~*~*~




ギルドに到着すると、朝にもかかわらず、かなりの冒険者が待機してた。

いつもの受付のお姉さんになにかあったのか聞いてみることにした。


「あの、なにかあったんです?」

「はい。 先ほど先遣隊が戻ってきて報告がありました。 報告によると、ある箇所にゴブリンの死体が約1500ほどあったらしいです。 しかもそのすべてが干からびている上、切り取られた耳が隣に置いてある事から、明らかに何らかの異常事態が発生してるという判断になったそうです」


忘れてた。そういえばゴブリンの死体の山ができてたな。逆に耳を持ち帰るの忘れてよかったかも。

でも、あの待機してる人たちは何なのだろう。


「あそこで待機してる人たちはなにをしてるんです?」

「実はスライム大量移動の件で一部警備を強化してた半面、東の関所の警備が甘くなってしまってるんです。 そして、昨日その隙をついて密輸と思われる馬車が関所を強行突破してしまって、緊急の対策として冒険者を雇い増員することになったそうです。 彼らはその面接希望者です」


ごめんなさい、それも僕です。


「ですが、増員の応募条件は銅級以上なので、鉄級のランネルさんは面接に参加できません。 それより、ランネルさんは明日銅級昇格試験なので、忘れないでくださいね」

「はい、もちろんです」


完全に忘れてました。今日中に準備しないと間に合わない。

まずマルルと相談しよう。




~*~*~*~*~*~*~*~*~




ただいま部屋に戻って、マルルと相談中。


「今回マルルは参加できるけど、さすがに人間の姿で参加するのはまずい。 あくまでもテイムモンスターしか参加は認められてないからね。 だから今回スライムの姿で参加してくれ」

「うん!」


マルルはスライムの姿でも十分強い。ゴブリンを丸々覆って、養分を吸収して干からびさせることができる。魔物の大きさにもよるが、マルルは戦える。


「次に、ギルド貸し出しの武器が使えない。 だから、武器を買いに行かないといけないんだ」

「マルルも行きたい!」

「え? 街は人がいっぱい居るよ?」

「街行って見たい!」


今までマルルを街に連れて行かなかったのはスライムだからだ。今のように見た目が人間なら問題ない。


「じゃあ一緒に行こうか!」

「うん!」


こうして2人で街に行くことにした。




~*~*~*~*~*~*~*~*~




街でまず行かなければいけないのは装備屋だ。装備屋は武器、防具などの基本的な物から、魔道具などの特別な物まで扱ってる。僕が行くのはその中でも安いことで有名な店だ。


「マルル、着いたぞ」

「なんかこのお店ボロボロ」


…否定したいが事実だ。ぱっと見ボロボロのお店だ。


「とりあえず入るぞ」


店に入ると武器や防具がいっぱいあるが、魔道具はどこにも見当たらない。明かりが無いため薄暗く、壁にはところどころ穴があいてる。

するとマルルが不安そうに聞いてくる。


「こんなところで買うの?」

「お金が無いんだ。 剣を買えるのは多分ここくらいなんだよ」


今回の予算は大銀貨1枚だ。普通は剣だけでも金貨数枚から数十枚はする。正直ここで買うのは気が進まないが、ここしかない。

店を見て回るが、店員などは居ない。ただ装備と値札があるだけだ。かなり無用心だが、こんなボロボロの装備盗む人も居ないのかも知れない。


「安くても大銀貨2枚だな。 それ以上安いのは錆びてたり、刃こぼれがひどい中古品ばっかりだな」


そう思うと、ギルドから貸し出しされてる剣はいくらするんだろう。なくしたら罰金高そうだな。

するとマルルが聞いてくる。


「剣ってこの形で硬ければいいの?」

「まあ、そうだね。 後切れ味とかもあるけど、今はそんなこと気にしてる余裕は無い」

「わかった」


マルルがそう言うと、マルルの手からメタルスライムがにゅるにゅると出てきて、剣の形に変わる。


「これでいい?」

「ちょっと貸してみて」


確認すると、丈夫な上に軽く、切れ味も良さそう。ギルドから貸し出された剣より全然いいかもしれない。


「これ、すごい良いよ。 しかも形が変えられるなら、魔剣と言ってもおかしくないよ!」

「魔剣ってなに?」

「魔法がついてる剣だよ。 火が出たり、切れ味がよくなったりするんだ」


この剣は売れば金貨100枚はすると思う。絶対売らないけどね。


「もしかして鎧にもなれる?」

「うん。 出来ると思う」


そう言ってマルルがにゅるにゅるとメタルスライムを出し、鎧の形を作る。


「できたけど、体がちゃんと動かない」

「ありがとう」


気付いたらマルルの体がふにゃふにゃになってる。やはりメタルが足りないと人型の維持はできないようだ。

鎧を着てみると、これも軽くて動きやすい。だが、マルルが動けないのは困るので、メタルスライムは戻してもらおう。


「マルル、もう戻して良いぞ」

「うん」


マルルが剣と鎧を吸収し、しっかり直立する。


「じゃあ、装備は一応解決したから店を出ようか」

「わかった」


装備屋を出て、大通りへ向かう。次の目的地は書店だ。


すると、後ろから声をかけられる。


「ランネル君!」


振り返るとそこにはソフィスが居た。





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