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なんなんだこいつは……!!
真剣な話をしてるというのに帰れって!! 自由すぎでしょ!!
「……そういえばこの部屋本が多いですねぇ」
とカトレアさんが言う。おっと、シカトする方向かな……?
「おいシカトすんな。……まあな。魔法に関しての資料とか、俺の考察とか、本だけじゃなく紙も多い。ってそうじゃない、帰れって言ってんだよ」
と、そう言うが、カトレアさんは、「ヘェ〜」と言うだけで帰るそぶりは見せない。
「ここにある本全部読んだの?」
「一応目は通したが、自分の興味のないやつは違う部屋に置いてるからもっと読んでるぞ。ってだから、帰れって!」
と言うが、カトレアさんは「すごーい」と言うだけだ。
リュラさんもしつこいけど無視してるカトレアさんもすごいな……。
「まあまあ落ち着きましょうよ」
「落ち着いてるが? 俺は今から魔法の実験をするんだから、とっとと出てって欲しいんだが」
「魔法の実験って?」
とカトレアさんが尋ねる。
また話をそらそうと……
「まだない魔法を編み出したり、現存する魔法の修正、再構築の実験。今はロボットみたいなの作りたいなって。スッゲー難しいけど」
ロボットってすごいな……。ってかちゃんと質問には答えてくれるのか。
「ってそうじゃなくて」
とリュラさんが言いかけた時、ドバッと扉が開く。
うわっ、ビックリした…….
「遅い!!」
ドンっという効果音が聞こえるような堂々としたら仁王立ちで、館長はそう言った。
「ああ、ちょうどよかった、用事は終わったからこいつら外に連れ出して」
リュラさんはそう言い、手をパッパッと払いのける。
「何言ってるんだ。お前も出るんだ」
「……は?」
至極当然のように言った館長に、驚きを隠せないリュラさん。
「ここは俺の部屋で一生出なくていいって言ったろ! そういう約束でここのセキュリティの管理をしてんだよ!」
い、一生って、ご飯は……
「先に破ったのはそっちだろう? なんたって、この図書館に貸し出し本以外の本があったにもかかわらず、それがセキュリティに感知しなかったんだから!!」
ドヤ顔でそう言う館長に、リュラさんは悔しそうに……はせず。こちらを見た。ん?
「ほら、お前、言ってやれ。そんな本はなくて実は勘違いだったってな」
……ああー。
「……」
でもなー、それはちょっと自分勝手だよなー、うんうん。
私魔法をもっと知りたいしなー、うんうん。
乙ゲーは謳歌したいけど、死ぬのはごめんだから身を守りたいしなー、うんうん。
よし、黙秘しよう。
「……おい?」
「……」
私はリュラさんにそう呼ばれるが、聞こえないフリをする。
「おやぁ? 何にも言ってないようだがぁ?」
と、あからさまにリュラさんを煽る館長。
「おい…! ……だぁもう!(聞けや!)」
「(うわっ!)」
急にテレパシー使うなや……。てか、アルナルドのいる前で使うとすぐバレちゃうんだけどなー。
「(なんで言わねえんだよ!)」
「(……だって、あなたの言うこと聞く義務と理由がないし)」
「(は?)」
意味がわからないという声色。まぁね? 理由があればいいってことだよ。
「(そういえば私、魔法が知りたいんですよねぇ)」
「(は?)」
唐突にそう言った私に、またもやそう返すリュラさん。
「(ほら? 私って主人公じゃないですか? あ、イタイ子じゃないですよ、乙女ゲームの主人公に転生したじゃないですか? って意味ですよ? あ、でも自分の人生の主人公はいつだって自分ですからね)」
「(どうでもいいわ、その主人公論! さっさと続き話せ!)」
「(せっかちだなぁ……それで、つまり、私は狙われるわけですよ、命とか体を。その身を守るための魔法が必要だと思いません? 思いますよね? というわけで魔法をいろいろ教えてもらいたいな、なんて)」
「(断る)」
「(なるほど、じゃああったって言いますね。あとそれを隠せって言われたことも…)」
「(わかった! 教えりゃいいんだろ! くっそ……)」
「(よっしゃー!)」
よし、ちょっぱやで弁解してやんよ!
明日でついに一年……なんだかあっという間で、本当に一年たった気がしません(笑)
これからもがんばりたいと思います!!
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