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六月のプライド  作者: 転生新語


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4/4

エピローグ

 そこからの数曲(すうきょく)は、どれも素晴(すば)らしかった。アップテンポな曲(きょく)があり、バラードもありで。最後(さいご)はラブソングで、大(おお)きな愛(あい)が歌(うた)われていた。歌詞(かし)は私と彼女(かのじょ)のことを具体的(ぐたいてき)に歌(うた)ったわけじゃないけど、そんなことはどうでもいい。ステージから私だけのために、彼女(かのじょ)は歌(うた)ってくれたのだ。置(お)いてけぼりのカップル客(きゃく)は気(き)の毒(どく)だったけど、おかげで私は気持(きも)ちよく帰宅(きたく)することができたのだった。




 ところで後日談(ごじつだん)なのだけど。ライブから何日(なんにち)か経(た)ったころ、私と彼女(かのじょ)は、あのときに放置(ほうち)されていた一組(ひとくみ)の男女(だんじょ)客(きゃく)と焼肉屋(やきにくや)で話(はな)すことになった。そんなにお金(かね)がない私と彼女(かのじょ)が奢(おご)られる形(かたち)で、あのときの二人(ふたり)はカップルではなく、ライブを視察(しさつ)に来(き)ていたレコード会社(がいしゃ)の人(ひと)だそうだ。


「いいじゃないですか、同性(どうせい)のカップルって。音楽(おんがく)業界(ぎょうかい)の怖(こわ)い人(ひと)が貴女(あなた)たちを別(わか)れさせる? 今(いま)どき、そんな暴力団(ぼうりょくだん)みたいな人(ひと)、いませんって。少(すく)なくとも私どもの会社(かいしゃ)は、貴女(あなた)たちの仲(なか)を応援(おうえん)します。一緒(いっしょ)に住(す)む場所(ばしょ)を探(さが)してるなら、そちらも手伝(てつだ)いますよ」


「エモいわぁ、貴女(あなた)たちの関係(かんけい)。エモかったわぁ、あのライブハウスの光景(こうけい)。期待(きたい)してるわよ、これからプロになる新人(しんじん)さん」


「ええ、任(まか)せてください。十年(じゅうねん)後(ご)と二十(にじゅう)年(ねん)後(ご)には、ドーム球場(きゅうじょう)でメモリアルライブをしてみせるんで。彼女(かのじょ)のことも可愛(かわい)がりながら、頑張(がんば)ります」


 わいのわいのと話(はなし)が弾(はず)む。私はなにもできないんだけど、彼女(かのじょ)が私を必要(ひつよう)としてくれているなら、付(つ)いていく所存(しょぞん)だ。それにしても、お肉(にく)が美味(おい)しい。私はひたすら静(しず)かな人(ひと)となって、大(おお)いに食事(しょくじ)を楽(たの)しませてもらった。




 じきに六月(ろくがつ)が終(お)わる。私と彼女(かのじょ)の、熱(あつ)くて輝(かがや)かしい夏(なつ)は、きっと何度(なんど)も訪(おとず)れる。

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