『名前』
とある領家で男の子が産声を上げた。
「旦那様、跡取りです!男の子ですよ!」
「それはまことか!でかしたぞ!ソフィア!」
「あなた……頑張りました……!」
「名をつけないとな。うーむ。」
「アドルフと名付けようと思います」
「良い名だ!今日からお前はアドルフだ」
男の子はアドルフと名付けられ誕生した。その3年後にはハンスと言う弟も誕生し、幸せな日々を送っていた。
両親は跡取りに期待を込め、様々なものを英才教育した。
アドルフは頭が良く、飲み込みも早い、特に剣術や格闘術の才能があった。
しかし、魔法は全く使えなかった。
この国には10歳になると魔法の素質を検査される。その素質から医療ならば医療、水や土ならインフラ整備など将来を占う意味もあった。
「さぁ、アドルフ。ここに手を置きなさい」
「は、はい」
検査と言っても特別な魔道具に手を置き、その色で見分けると言う単純な物だった。
アドルフは緊張しながら手を置いた。
だが、魔道具は反応しない。
「?どうした?」
父親は困惑した。世界には小動物や虫ですら魔法の素質があるのに、
「なんと言う事だ……」
「ち、父上!」
絶望した父親に触れようとした。
その手は払われた。
父親はそのまま屋敷に帰ってしまった。
アドルフはわけも分からず、その場で泣いていたが、泣いていても意味がないと理解し、道はわからなかったが、屋敷に帰った。
屋敷に戻ると門が閉められており、門番に
「アドルフ様、いえ、アドルフ。あなたに帰る家はありません」
と告げられた。
魔法を使えない者は間引くと言う風習がこの国にはあった。
アドルフは両親と弟の名を何度も叫んだが、やがて門番に街の外に追い出された。
追い出されたアドルフは街道をトボトボと歩いていたら、赤ら顔のドワーフが話し掛けて来た
「……坊主、親は?」
「……。」
もう泣いてはいなかった。服の裾を握りしめ我慢していた。
「そうか。名は?」
「アドルフ」
「へっ、スカした名をしてるな」
「……。」
「今日からお前は俺の子だ」
「え?」
「お前は今日からマックスと名乗れ」
「……マックス」
「帰るぞ、マックス」




