『新しい剣と鎧』
鼻血が止まったのでミルに支えられながら酒場へ向かった。
中では族長を交え楽しそうに談笑しているドワーフたち
マックスはため息を吐きながら、その輪に加わった。
「小娘!美味いじゃねぇか!」
「ありがとうございます!契約してくれれば定期的に持ってきますよ!」
「値段は……うーん、高ぇな」
「マックスさんの仕事受ければお金手に入ってお酒も買えて一石二鳥じゃないですか?」
「なるほど!小娘、頭いいな!」
なんか流れで鎧を作ってくれそうなのでマックスは黙って見ていた。
「野郎ども!久々の依頼だ!気合い入れて行くぞ!」
ドワーフたちは歓声を上げた。
「それにしても30着か、大型注文だな」
「全員でやればすぐ終わるさ。それと俺の分も頼むよ」
「マックスの鎧を参考にそれぞれ作るか。マックスはその間何やるんだ?」
「俺は剣を納得いくまで叩くよ」
◇
次の日から工程を分け流れ作業で鎧を作り始めた。
数日が経ち、
記念すべき1着目。
マックスは鎧を試着した。
「ここ可動域狭いから広げて、逆にここは広げ過ぎ、これじゃ狙われちゃうよ。あとここはカバーを付けよう。以前矢が刺さって苦労したから」
と、フィードバックしながら改良に改良を加え、以前よりも強固で動きやすい甲冑が出来上がった。
敢えて可動域を拡げ、着脱可能なカバーを付けることで、ある程度体格にバラつきがあっても大丈夫なように改良を加えた。
マックスの剣を親父の鉄槌を持ち、剣を打つ。
が、なかなか納得出来る仕上がりにならない。
「族長、この小刀の打ち方知ってるか?」
マックスは盗賊のボスの戦利品の小刀を見せた。
「ほう、東洋の伝統的な手法だな」
「知ってるなら教えろよ」
マックスは族長に打ち方を教わった。
熱した鉄を叩いて広げ何層にも重ねることで以前よりも強さとしなやかさを兼ね備えた剣に仕上がる。
矢尻や槍、剣、盾も何本も作られ
マックスの注文が入った。
「全身鉄甲冑は重いから非力な者も扱える鎧も作ってくれ。何かの役に立つ」
これはマックスが思い付いたことだった。弓兵などは魔法をあまり使わない事を戦で学んでいた。
ドワーフ達は頭を悩ませたが、試行錯誤し、鉄の胸当てや鉄のメットなども作られた。
数週間経ち
次々と装備が出来上がった。
とりあえず20着の鎧と胸当てと槍と剣、盾、矢尻に至るまで様々なものを積み込み、王国に向かう事にした。
「まだ必要になるかも知れないからまだ作っててくれ」
マックスは族長に言った。
「随分と大掛かりだな」
「鉄の時代が必ず来ると思ってる」
大量生産はしたが、ドワーフ達は馬車を持ってないので何回か往復がする必要があった。
「族長、次の戦は大きな転換点になると思うから助っ人出せよ」
「いや、俺らは行かねぇよ。代わりに魔王軍の討伐の依頼をくれるんなら、俺らだけで攻めに行くよ。今回の主役は鉄鋼兵団だ」
「そうかい、久々に楽しかったよ。じゃあな」
◇
ミルが荷馬車の中でくつろいでるマックスに話しかけた。
「マックスさん」
「なんだ?」
「マックスさんって、故郷だと子供っぽくなるんですね」
クスクスとからかうように言ったが
「……ああ、故郷はいいものだ」
マックスは素直に答えた。
「うるせーって言われるかと思いました!」
「うるせぇ」
そう言いながらもどこか嬉しそうだった。




