『野盗と行商の親子』
北の陣地では北の部隊長に伝令が様子を伝えに来ていた。
「全身鉄の甲冑?何それ、縁起悪い」
「でも恐ろしいほど強いんですよ」
「魔法は使わないのか?」
「ええ、剣だけです。しかも全部鉄製」
「げー、でもまあ、わかった。来たら雇うよ。ここのところ連合軍軍備強化してるしね」
◇
その頃マックスは、北に向け歩いていた。
そこに野盗達が行商の親子を襲っていた。
荷馬車は倒れ、行商の親子は叫んで助けを呼んでいる。
「きゃあああ!助けて!」
「そこの君!助けてくれ!」
マックスは知らぬ存ぜぬという感じで通り過ぎようとした。
「おい、兄ちゃん。その袋は金貨か?置いてきな」
「……。」
無視をして歩き去ろうとしたところ。
「聞いてんのか?!おい!」
と肩に手をかけた。
その瞬間、光が奔ったと思ったら野盗の手首が地面に落ちた。
「ぎゃああああ!!」
「どうした?!てめぇ!」
野盗は棍棒や木剣を取り出し、マックスに襲いかかった。
鉄の全身甲冑は動きづらい。そうタカを括った。
しかし、全身甲冑のマックスは思っていたよりも何倍も速かった。
「魔法を!」
「ダメだ!鉄には効かねぇ!」
攻撃は全て躱し、ひとりひとり首を跳ねる。
そして野盗達は全員首なし死体となった。
返り血を浴びたマックスに少し怯えながら駆け寄った
「あ、ありがとうございます」
「邪魔だ」
マックスは駆け寄って来た娘を手で押しのけ北へ向かう。
「ま、待ってください!何かお礼を!お酒とか!」
お酒と聞くとマックスは足を止めた。
「あるのか?」
「え、えぇ!あります!街に売りに行くところだったんです」
「本当に助かりました」
親子は丁寧にお礼を言った。
マックスは岩に腰掛け酒を楽しむ。
「なかなか美味いな」
「ありがとうございます!私が作ったんですよ」
「この子は酒造りの天才でして、街でも評判なんですよ」
父親は荷馬車を起こしながら言った。
「いい仕事してるな」
娘は珍しいのか色々話しかけてきた。
「剣士さんは傭兵ですか?」
「それが?」
「いえ、鉄の全身甲冑って珍しくて。魔法は普段使わないんですか?」
興味深そうに甲冑や剣を眺める。
「使えねぇんだよ」
「え?」
「魔法は使えねえ」
「珍しいですね。今は人間でもみんな使うのに。生まれつきですか?」
「悪いか?」
「い、いえ!とんでもない!」
「まぁ、不便だがな」
「あ、ところで、私ミルって言います。剣士さんは?」
「マックス。お前、エルフか?」
「ええ、そうです」
「エルフの癖に鉄に興味あるのか?」
「い、いえ、ちょっと苦手です。匂いが血みたいじゃないですか?」
「俺は落ち着くね」
「そ、そうなんですね」
マックスは酒を飲み終わり立ち上がると、
「この通りは野盗が多い。次から道を変えるんだな」
「いつもの道だと日が暮れちゃうので近道しようと思ったんです」
「その結果がこのザマだ。時間帯を考えて別の日にするとかあるだろ」
「そ、そうですな。ご忠告ありがとうございます」
「す、すみません」
「この酒、ひとつもらうぞ」
「え、ええ!是非持ってってください」
「ほらよ」
金貨を1枚ミルに投げてよこした。
「いえいえ!お金は受け取れないですよ!て、金貨じゃないですか!」
「じゃあな」
そう言って歩いて行った。
「あの、ありがとうございます!」




