『開戦』
戦地の天幕に辿り着き、中に入る。
「おー、マックス、来たか」
相変わらず呑気な声をしてアインがマックスに話しかけた。
「……仕事は?」
「今回はちゃんとした戦だからそんな構えなくてもいいよ」
「お前がいるって事は厄介なんだろ?」
「そうだね。今度の相手は強いという噂だよ」
「ところでなんで魔王軍なんだ?」
マックスは純粋な疑問をぶつけた。
「連合軍を束ねてる王国の王が魔王を名乗ったらしくてね。圧政してるらしい」
「魔王なんて御伽噺じゃあるまいし」
「ははは、確かにな。だが何かしらの魔道具を手に入れたのかもしれないな」
「なるほどな。次の相手はどんな奴らなんだ?」
「この前の奴らとは比較にならない魔法の使い手を囲ってるらしい。前回の戦から、マックスを必ず対策してくるだろう」
「で、俺は何すればいい?」
「このまま進軍すると魔王軍とぶつかる」
「迂回じゃダメなのか?」
「ダメだ。王国の領土がある」
アインは国を守る騎士としての顔を見せた。
その表情を見て、マックスはアインを少し見直した。
「今回は数で不利だから無闇に突撃するなよ」
「ふん」
「死ぬなよ。お前みたいな鉄を扱う兵は他にいないんだ」
鉄の大盾部隊を先頭に正規兵に紛れマックス含めた傭兵たちも進軍を始めた。
◇
しばらく進軍をしていると、伝令から魔王軍を発見したと連絡が入った。
「全員!整列!!」
兵たちは陣形を組み、駆け出した。
「仕事だ」
マックスは鉄剣を抜いた。
地面が響き渡るほどの足音と掛け声と号令が飛び交う。
この世界の戦争は炎魔法や爆裂魔法が主な戦術だったが……
「アイン部隊長!敵の土魔法と水魔法で前線の盾部隊が潰されていってます!」
「あー、普通インフラに使う魔法なのに戦争用に訓練したんだな」
戦場は平原なのに水浸しになっていた。
「詠唱開始!!」
アインの鋭い号令が飛ぶ。
「俺は撹乱してくるぜ」
「頼んだ」
マックスは前線に駆け出した。
「出たぞ!鉄の兵士だ!!土魔法放てー!!」
魔王軍側から石つぶてや岩が飛んでくる。
アインは違和感を感じた。
(土魔法はひとりでに飛ばない……風魔法の奴がいるかもな……しかも、強力な)
マックスの鉄の甲冑にガンガンとつぶてが当たり、甲冑が傷ついていく。
が、岩などの致命傷となる魔法はすべて躱して敵陣に殴り込む。
「オラァァッ!!」
マックスは雄叫びを上げ、敵の大盾部隊を端から潰す。
「棍棒部隊!前へ!鉄の兵士を潰せ!」
巨漢の棍棒部隊がマックスの前へ立ち塞がった。
(剣で受けたら折れるな……)
マックスは棍棒兵に飛びつき、首を掻き切り、後ろから襲ってきた棍棒兵の首を跳ねた。
「土魔法放てー!」
「マックスに気を取られてる間に突っ込めー!炎魔法放てー!!」
王国軍は炎魔法を放ち後列の魔法使いを狙う。
魔王軍の大盾部隊はマックスに気を取られ、何人か火だるまになる。
「爆裂魔法放てー!!」
ズドォォォン!!
マックスが空けた大盾部隊の穴を狙い、一気に吹き飛ばす。
マックスの周りの魔王軍は吹き飛び、血と千切れた手足が舞う。
「俺ごと吹っ飛ばす気かよ」
マックスは舌打ちしながら文句を言った。
「大盾部隊は崩れた!槍部隊!前へ!!」
掛け声と共に石槍部隊は突撃した。
「大盾部隊!前へ!!」
魔王軍は後方から再び大盾部隊が現れる。
王国軍の槍を防ぎ、逆に魔王軍の槍部隊に串刺しにされてしまう。
数では不利だ。
マックスは棍棒部隊の数に苦戦している。




