逃亡ー27
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今日は後半部分、昨日の残りです。
少し文章をスリムにしてみました(笑)
フーの知らなかった父と母の事が語られますし、大きな勘違いもです。
それではお楽しいください。
「すまんな、変なことをしているようで」
「私は私達との約束を守ってくださり、感謝しておりますわ」
「早速だが本題に入るが、貴方は何者なんだ。
わしは若いころはベルナーと親しくしていたから分かるが、長女と長男が生まれたと聞いていたからな。
それなのに、貴方は女性ではないか」
話がしたいと言われて、心配していたがやはりそうか。
「はい、これは私くしのスキルの一つですから。
本来の名は、フィリップウェルビーと申しますわ」
「ちょっとフー、ばらして良いの」
「仕方ないだろう、俺の父さんを知っている人に嘘はつけんよ」
「私くしも追われる身ですから、男装の方はご容赦くださいませ」
「そうか、間違いないな」
「わし等は今でこそ疎遠になったが、昔は頻繁に手紙のやり取りをしていたからな。
長男が生まれたことをベルナーは喜び、将来は女を泣かせる美男子になると、俺に自慢したものだよ。
その数年後からは、エルシャー国王が代替わりして、ウェルビー家はエルシャー王国との最前戦の砦となり、次第に手紙のやり取りも少なくなった。
そんななか手紙で長男に女装をさせていると、書いてきたんで、わしはベルナーが断るのは分かっていたが、夫人を多く持てと何人か紹介もしたな。
それに意見もしてやったんだが以来返事は来なかったよ。
女装もベルナーが血を絶やさない苦肉の策で始めたんだろうがな。
同じ辺境を預かる者としてわしは、ベルナーに同情するからな。
知っているか、王国側はウェルビー辺境伯家に戦費も援助を一切していないんだよ」
「はい、その件に付いては、薄々ではありますが」
「やはりな、我が子には知らせなかったんだな。
家を残す、いや血を絶やすまいと彼奴も必死だったのだな」
「それは一体どう言うことでしょうか」
「それはな。。。
まぁ良い機会だから話そう。
ウェルビー家がベルナーの代に変わり社交界に初めてやって来たベルナーは、若気の至りか周囲から浮く位の野心家だった。
国王の勧めで何処だったかの家の長男と縁談が進んでいた、宮廷魔術師団副団長シエル・パレンバーグを強引に嫁にしてしまったし、近衛第一師団の有望株デレク・ジョーンズを勝手に引き抜き社交界の期間中に帰った。
社交界始まって以来の暴挙で、面子を潰された国王の心証が一気に悪くなり、そこへオルブライト公爵への配慮という名の政治力が働いたのだろうな。
何時の間にか、ウェルビー辺境伯領の後ろに広大なオルブライト公爵領が出来ていたからな。
当時は国王も酷いことをすると長い間社交界では大いに噂になっていたよ。
当人はあれ以来社交界には現れることはなかったが、もしかして王国側から出禁にされたのか。
有能なシエルパレンバークとデレクジョーンズを持って行かれたから、出禁も納得できるがな」
「ところで母の実家はどうなったのでしょうか」
「面白い話ではないぞ、良いのか」
「はい、是非聞いておかねばなりませんから」
「パレンバーク伯爵家は王宮から追い出されてしまったよ。
わしの所にも王命が来て、その内容は、パレンバーク伯爵を配下にするとを禁ずるとな。
無視して配下にすると税率7割を申し付けると。
当時のパ連バーク当主は高齢だったから、今の事は知らないな」
「そうですか、良く分かりました」
「思い出したぞ、シエルの婚約者はオルブライト公爵家派閥の家だったな」
「まぁ、良いです。
我が家と同じようにオルブライト家も滅んだのでしょうから」
「いや、違うな。
イヴァン・オルブライト公爵は今も王宮にいるぞ。
オルブライト領は配下に任せていたからな」
「。。。。。。」
「おいどうした」
「あっ、いえ何でもありません。
何となくですが、私が考えていたことが当たったように感じますから。
同じ身分でもウェルビー家とカルフーン家の違いを戦のせいと思っていましたが、やはり裏があったのですね」
「私の隣のアマンダはデレク、わが家の筆頭騎士の娘ですよ。
親子ともとっても強いです。
成人の時の儀式で教会で知らされる職業で司祭が、勇者に匹敵すると加護と宣言しましたから。
ついでに私のは良く分からないとね」
「今度は私の話を聞いていただけますか」
俺は了解もなしに一方的に話し始めた。
「あの戦の後に分かったことですが、ガス帝国が勝手に召喚した勇者の事です。
召喚儀式はスカンク皇女が独断で行ったそうで、剣の勇者が傲慢なスカンク皇女に怒ったのです。
私は剣の勇者は粗暴な性格と感じましたが、後で本人からの話で納得できました。
槍の勇者がスカンク皇女を槍で突き、その突き加減が絶妙で、結果裸にして痛めつけ最後は串刺しにしたそうです。
同時に、剣の勇者は召喚儀式に従事した若い女魔法使いを裸にして胸をそぎ落とし輪切りにしたそうです。
魔法使いの勇者は、儀式に使った召喚魔法陣を焼き払い、彼方側には帰れなくなったそうです。
これらは、フランソワと逃げる途中で、エルシャー王国兵から聞きました。
その元はガス帝国兵です。
私とアマンダは舘の地下室で、剣の勇者が私を求めて今回の戦にガス帝国を引き連れてきたと、これは勇者当人が話していました。
同行した魔法の勇者が舘の仕掛けを作動させ二人は死にました。
先ほども申しましたように、変装して王都に逃げ延びて隠れていました。
ところが王都でも多くのガス帝国の冒険者を度々見かけるようになり、セイントフォーの皆と相談して、マンブール市へ逃げてきたのです。
セイントフォーと私は別々に逃げましたから、途中スコット領内でエルシャー兵と思われる兵士に襲われるフランソワを助けたのです。
そこでも、エルシャー兵から知ったことは、オルブライト公爵軍は囮のエルシャー王国兵に誘き出され槍の勇者、ほぼ一人によって全滅したそうです。
その話の中で、ベルステン王国側が、ガス帝国と言うか勇者と密約を交わしていると、私は推察しています。
何故なら、フランソワの家には弓の勇者の使いが来たそうですし、モニカレイは槍の勇者から逃げて来たと話しました。
その様な情報を勇者やガス帝国は何処で知ったのでしょうね。
私はベルステン王国側が漏らしているとしか思えません。
美人の次に狙われるのは恐らくセイントフォーと思い、マンブール市へ来たのです。
私の推察は如何でしょうか」
「。。。。。。」
「辺境伯にお聞きしますが、王族にも美人は居ないのでしょうか。
居るなら、その人たちはどうなったのかを知りたいですね」
「これはわしの個人的意見で多少の好みも含まれるが、居ないと思うな。
それなりの人数は居る事は居るが見栄えが良いとは言えないからな
ハッキリ言ってしまえば、皆ワイン樽、デブだ」
「そうですか、今閃いたのですがもしかして王宮は勇者の分断を考えているとか。
美女で勇者を釣って、王都に常駐させ何れは何処かで仕掛ける戦に従軍させるとか」
「そなたはデレクの娘なのか。
そうかそうか。
デレクからは何も聞いていないのか」
「はい、お前はフィリップ様の頼られる騎士になれとしか」
「そうか。
今もだがコネが幅を利かす近衛だが、当時実力だけで近衛騎士第一師団に入った男だ。
一代騎士爵を賜ったことが王都では大きな騒ぎになり、多くの若者がデレクに続けと頑張った。
ところがウェルビー家に引き抜かれた事が王都で大騒ぎだったな。
わしが知るのはそれ位だな」
「ありがとございます、ジレット様」
「もう一つ、こちらは大変言い難いのですが、お願いがございます。
私にモニカレイお嬢様を頂くことは出来ませんか。
恐らくは我が家の血を残すことは出来ないと思いますが、決してお嬢様を泣かせるような事はしないと今此処で誓います」
「一体どういう事だ。
娘をくれ、しかし子は作らんとか、わしはその様な戯言を聞く気はないぞ」
「其方でもうんとは言わんだろう?」
「ははぁ、娘の持つ金に欲が出たか」
「ちょっと、おじさん、あまり調子に乗らないでよ。
フーはそんな人じゃないから。
だから私等は信頼しているのよ。
皆そうでしょう」と、スーが言った。
「本当にそうですよ、少々の金位私達で何不自由が無いほどに稼ぎますから。
フーさんにお金で不自由はさせませんから」
おいアリス、今のは駄目だ。
「僕もアリスに同感だな。
フーはこれまでお金をくれた事は多くあるが、金を要求してきたことは一度も無いからね。
何なら僕が稼ぐ分は全部フーにあげたいくらいだ」
あぁ~メイ、お前もか。。。
「皆が言うように、私たちは金に困ってはいませんね。
この家を借りる時も1年分を即金で払ったでしょう。
買っても良かったが私たちは冒険者だから、それに今は一所に落ち着けない状況ですから。
私には専属騎士以外にもう一つの仕事があります。
それは、フーのためのハーレムを作る、その要員探しを私は任されていますから」
アマンダよ、それを今言っちゃダメだろうに、俺は諦めた。
「アマンダが話しましたが、そうです。
私のハーレムにお嬢さんを迎えたいと思っています。
代わりに差し出せるものは今のところお金位しか無いのですが、何なら私がカルフーン家の仕事をしましょうか。
但し一回だけですが」
「おい、わしを見縊るなうなよ。
わしは男を抱く趣味はないぞ」
皆が笑い出した、大爆笑だ。
「貴様等何がおかしい」
「フーさんもおじさんに体は許しませんよ」
「僕もそう思うよ、おじさんは勘違いしているよ」
「フーが言うのは、カルフーン家の邪魔者を始末するという事ですよ」と、アマンダがなおも笑いながら言う。
「はい、キーンさんよりも遥かに役立つかと思いますから」
「本当に出来るのか」
「はい、簡単ですね。
だから私は金に困りませんのよ」
「良いだろう、大口を叩くなら腕を見せてもらおうか。
相手はわしの館に押し入った勇者だ、これも可能なんだな」と、嫌味たっぷりに微笑んだ。
「はい、勿論です。
本当にそれで良いのですね。
もう少し、人選に気を配っても良いと私は思いますけど」と、負けじと微笑んで見せた。
「いや、槍の勇者だ」
「良いでしょう、猶予を二週間いただけますか」
「それ位は構わんよ、出来るのならな」
「では、これでモニカレイの件は解決だな」
「それはどうかな、槍の勇者が死ねばだがな」
「此処にモニカレイが居ないので丁度良かったです。
約束を違と今度はあなたが死にますよ、それも確実にね。
脅しと取っ手てもらって構いませんし、実際今は脅していますからね。
私はセイントフォーに人殺しはさせません、私がこれまで通りします。
宜しいですね」
「あぁ、それで良い」
「では、二週間後に私と一緒にウェルビー辺境伯領に行ってもらいます。
次にエルシャー王国に入り情報を入手しますから。
その時はセイントフォーが同行して警護しますから」
「良いだろう」
如何でしたか、お楽しみいただけたなら作者冥利に尽きます。
明日はアリスの過去が語られます。
明日もいつもの時間においで下さい。




