敗戦?
20話 敗戦?
そばにいた。巫女音朋がしゃがみリュックから、ぼろ布を出した。ソレは異世界に行った時の。
ソレを下にしくと。ナニやらブツブツと言い、そして布をめくった。そこに四角いドアが現れた。
あたしの視線に気づいたのか。朋はあたしを見て。
「ここから!」
あたしからドアを開け、下の階段を降りた。
最後の鹿嶋世泉が、残った結界縄を引っ張ると一匹コウモリグモが。
鹿嶋世泉が懐から紙を出し包んでまるめ、ドアを開け投げた。
「悪い子ね」
この狭い階段の下にもドアがあった。
一番はじめに降りたあたしはドアを開けると。
そこは、四畳半くらいの部屋だった。ベッドがあったからもっと狭く感じる。
部屋の片隅にはイーゼルや画板と使い切ってない絵の具のチューブの山。それに反対側は本がぎっしり入った棚。
この部屋窓がない。
「ココに出るつもりじゃなかった」
朋がつぶやく。
「朋ちゃん、ココ何処?」
マナが靴をぬいでベッドの上に。
朋はベッドに座った。あたしはその隣に。
でも大人の男が四人、久能太郎もまぜて。
大きな奥さんに最後に入った鹿嶋世泉。
狭っ!
「ゴメン、あわてて出たから。ココわたしの部屋」
と、朋は立ち上がり天井のドアを開けた。
「皆、あの部屋から出た。ここから出よう」
朋が先頭に天井の階段を登ると上にドアが。
「なんだ。いつ帰ったんだね朋」
ドアから出たら、ソコは狭く細長いカウンター内だった。そこに老人が。
「ココはお客さんを入れるとこじゃないよ朋」
朋の部屋から出たら居た人だから朋の身内の人だろう。
最後に出てきたマナが頭を下げ。
「突然、おじゃまします。わたしたち朋さんのお友達でして」
「珍しい。朋が友達連れて来るなんて、それにバラエティーとんだお友達だな。こっちは狭いのであちらへ。まあよかったらテーブルに着いて。お茶を出しますから」
ここはカフェのようだ。確か朋の住所は大学の最寄りの駅の近くと。
皆が客席に着いた。
木造でカフェと呼ぶより喫茶店と呼びたい。年期の入った古い店だ。
朋の部屋は、この店の地下。
だから窓がないのか。
マスターは歳からして朋のおじいちゃんか?
白髪に白いまゆげに白い口ヒゲ。丸いメガネで小柄な感じは童話とかに出てくるおじいちゃんみたいだ。エプロンの下のベストが似合う。
あたしはそのおじいちゃんと話してみたくてカウンター席に。マナが隣に座った。
朋は、また自分の部屋に戻った。
なにかやることでもあったのか?
「あんたがクロエさんかな?」
えっ。朋があたしのコトを?
「ハイ。朋さんが?」
「あれが人の話しをするのはマレだからな。なんとなくわかったよ。美人のハーフだと」
朋が、そんなことを。
近くでよく見ると、おじいちゃんも目が碧い。
「あの、朋さんもお爺さんも純粋な日本人じゃないですよね」
「あ、わかるかい。純粋どころかわしは日本人じゃない。朋もだ。ちなみにわしは朋と血縁関係はない。保護者とでも言っとこう」
やっぱり日本人では。保護者? どういう関係なんだろう。
「クロちゃん、アレ」
マナが指さす方に見慣れたぬいぐるみが。
「はじめまして。クロちゃんと同じマンションに住む椎名真奈といいます。朋さんとは、昨日会ったばかりだけど仲良くなりました」
「そうかい。これは、はじめまして。わしはゼッツド・リーといいます」
おじいちゃんは日本名じゃないのか。しかしゼッド・リーってどこかで聞いたような名だ。
「あのアレは朋さんが持っている」
カウンターの隅にさりげなく置いてある黒いぬいぐるみは朋が抱いているのよりひと周り小さい。が、同型だ。アレはなんだろうか。
「アレはね。わしが描いた絵本の中に登場するキャラクターなんだよ。それを気に入ったお客さんが居て何体か作ったうちの一つを一番大きいのを朋が持っている」
「絵本作家なんですか。おじいちゃん」
「そこの棚にあるのがそうだ。自費出版だよ。自己満足だ。おお朋、いいとこに来た、コーヒーを皆さんに」
「あ、わたしも手伝います」
マナは席を立った。
あたしはカウンター横にある絵本をとった。タイトルは知らない文字だ。
中は絵だけで文字はない。
はじめに女の子の人形が船から海に投げられてる。海を漂う人形。
そこへ魚の形をした船がやってきて乗っていた男が人形を拾った。
「クロエ。コレからどうするのかと、アジフさんが」
あ、落ち着いてしまった。
あたしたち、さっきまで悪魔と戦ってたのよね。
おじいちゃんは悪魔のコトを知ってるのかしら。
「コトは進んでないけど、お茶飲んで次のこと考えよ。ロバート。ママーネさんにケータイつながる?」
「ハイ」
「ママーネ。ママーネ・マーベル・アルヌールのことかな?」
「ママーネさん知ってるんですか」
「彼女がぬいぐるみを作った客だよ」
つづく




