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初恋の終わり 3

 私、静かに生徒会室へもどった。

 勉強会はいつものように、おしゃべりタイムに移行していて、部屋の中は騒々しかった。

「あ、つかさちゃん、おかえり、どこ行ってたの?」

「ちょっと、外の空気、吸いに」

 そ、とかなんとか、つぶやいたけど、ひかりん、何か探るように私を見ている。

「ん? なに?」

「え? ああ、いえ、なにも・・・・・・」

 ひかりん、なんだかもじもじしちゃって、ヘンなの。

「ええーと、その、なんか、つかさちゃん、今日は綺麗だなって思って」

 私、うすく笑みを浮かべて、ひかりんを見る。

 たちまち、ひかりん、ドギマギした様子で、

「あ、いや、その。つかさちゃんはいつも綺麗だけど、なんていうか、その、今日は一段と綺麗だなって、その・・・・・・」

「ありがと、ひかりん」

「ええっと・・・・・・ ど、どういたしまして」

 気の毒なぐらい、赤くなっちゃった。

 その後、私、会長に近づいていく。

「会長、お話が・・・・・・」

 何かの書類に視線を落としていた会長、顔を上げて、私を見た。

「ん? ああ、なに?」

「あの――――――」


 帰り道、今日は学君と一緒。

 昨日は空手部の用事とかで、学君が一緒じゃなかったけど、そんなときに限って、あんな事件が起こった。

 大事なときに、一緒にいなかった学君。

 今日は一日、犯人たちを捕まえるのに貢献したありさちゃんを誇らしく思っていた反面、実は、すごく凹んじゃっていた。

「つかさ、わるいな、昨日は、一緒に帰ってあげられなくて」

「ううん。大丈夫、気にしなくてもいいよ」

「そ、相手は結構弱かったし。どうってことなかったよ」

「そそ、ありさちゃんがいたから、あの最中でも、全然心配じゃなかったよ。むしろ、あんたがあそこにいたら、かえって、危険になってたかもね。あんたのことだから、腰抜かして、お漏らししてたかも」

「なにっ! だれが腰抜かして、小便垂らすって!」

「あんたよ! あんた以外にだれがいるのよ! このヘンタイ・ストーカー男!」

「なにを! お前の方こそ、変態女のくせに、なに言いやがる!」

 相変わらず、学君とひかりんは、寄ると触ると口論がはじまっちゃうんだから・・・・・・

 とにかく、フンッてお互いにそっぽを向き合って、学君とありさちゃんが私たちの前を並んで歩き始めた。

「昨日は、ホント、悪かったな」

「ううん、いいの。気にしないで」

「俺がいたら、あんな危険な目にあわせずに済んだかも知れなかったのに・・・・・・」

「ありがとう、でも、大丈夫だったから」

「お前を守るのは俺だって決めてたのに。ごめんな、肝心なときに、いてあげられなくて」

「学・・・・・・」

 見詰め合うふたり、いつの間にか手をしっかりと握り合い、どんどん顔が近づいていく。

 って、お二人さん、私たちがすぐ後ろを歩いているのを忘れていませんか?

 ひかりん、わざと大きな音を立てて、コホンなんて、咳をして見せてるし。

 あらら、二人とも、慌てて跳び離れた。

「あら、私、悪いことをしたかしら」

 ちっとも、申し訳なさそうな顔もせずに、しらっとそう言う女が私の隣に一人。

 ちょっと心の中で拍手したりして。


 昨日の交差点。

 今日は警察官が一人立って、周囲を厳しい視線でにらみまわし、警戒している。

「あ、ご苦労様です」

「見回りご苦労様です」

「すみませんけど、私たちの安全のために、しっかり働いてね」

「地域の安全のために、よろしくお願いします」

 なんて、私たち口々に声をかけていった。

 ついでに、いつものエンジェルスマイルつき。

 とたんに、警官さん、日に焼けた顔をどす黒く染めて、私をじっと凝視してくれる。

 どう見ても、私にだけ敬礼して、

「はっ、本官、この職務を誠心誠意、勤める所存であります!」

 だって。なんか、大げさでヘンなの!

 その警官さん、私たちが向こうの角を曲がって、見えなくなるまで、私の方を向いて、敬礼したままだった。

 ちょうど、おばあさんが『山本』さんのお宅はどこですか? って、たずねてきてるのに、完全無視だよ。

 おまわりさん、大丈夫?


 帰り道も、警察が動いた効果があったみたいで、だれも男たちは現れなかった。

 なんといっても、昨日の今日。

 昨日と同じようなことが今日もないとは限らない。

 私も、学君も、ありさちゃんも、なんとなく周囲に目を光らせ、警戒しながら、帰ってきたのだけど、拍子抜けするほどなにもなかった。

 通りを掃いていた本多のおばあちゃんも、『今日はなんだか、静かだねぇ~』なんて、うれしそうにしている。

 このところずっと、ヘンな男たちが、ウロウロしていたので、気が抜けずにいたけど、ようやく、問題が解決して、私たちと同じように、近所の人たちも、みんなホッとしているのだろうなぁ~

 考えてみたら、私のせいで、近所の人たちにも、いらぬ迷惑をかけていたんだね。

 なんか、申し訳ないような気もする。

 もっとも、私のせいというより、私のこの美貌がいけないのだけど・・・・・・

 私のような超絶した美貌の持ち主には、平凡な幸せって、望み得ないことなのかもしれないわ!

 神にも比肩する美に恵まれた私には、波乱万丈な人生がこれからも待っているのね。

 がんばれ、私! 負けるな、つかさ! ふぁいとぉ!



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