表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/43

似ている!? 1

 私、私立神宮寺高校1年、神宮寺つかさ。

 自分で言うのもなんだけど、美少女! それも、とびっきり!

 今朝も、私が家を出ようとすると、家の前の通りに、花束を持った男たちが・・・・・・

 私に恋する男たち。

 ホント、しつこいんだから。

 毎日、毎日、毎日、毎日・・・・・・

 登校前、家を出た途端、『好きだ!』とか、『愛してます!』なんて、ありふれた言葉とともに、バラの花束をくれる。

 バラって、綺麗だし、すごく素敵な香りがするから、嫌いではないのだけど、毎朝、両手に抱えきれないぐらいもらってもねぇ。

 それに、バラにはトゲなんてものもあって、気をつけないと、指、引っ掻いちゃって、痛いんだよねぇ。

 そういうところまで気を配らないで、バラの花束を渡しさえすれば、喜ぶだろうって期待するの、あさはかな考えだと思わないのかなぁ?

 まったく! ホント男ってバカばっかし!


 というわけで、今朝も、すこし痛い思いをしながら、男たちからバラの花束を受け取って、玄関先の水をはったバケツに放り込んでいく。

 私が学校へ行った後、ママがそのバラ、近所におすそ分けするのだ。くれた人たちには悪いけど、私の手元には一本も残らない。

 私、どちらかって言うと、バラよりタンポポみたいなありふれた花の方が好き。

 だって、美の女神つかさちゃんと一緒だと、美しくはあっても、私ほどではないバラの花がかわいそうすぎるでしょう?

 どんな花よりも美しい花の女王バラ。ところが、そのバラよりもはるかに美しい私。

 私のそばにあったのでは、バラなんて、ただの雑草にしかみえない。

 ふふ。ホント、私って罪な女!

 このなにものをも寄せ付けない、すべてに超越した美貌、怖いぐらいだわ。うふふ。


 こないだの観桜会で捻挫してしまった私。

 とっくにギプスや包帯も取れ、杖なしでも普通に歩けるようになっている。

 だから、今までみたいに、毎朝家を出て、歩いて学校へ向かってもいいのだけど・・・・・・

 観桜会以来、我が家の前には、何人もの男たちが待ち構えているんだよねぇ。

 さすがに、こんな状態では、人の何倍もかわいい一人娘の私を、歩いて学校へ行かせるのは危険だとパパもママも判断したみたい。

 こないだだって、二階の私の部屋をのぞこうだなんて考えたバカな男が、家の前の電柱に登っちゃって、警察に連れて行かれちゃったし。

 私の家の前の通り、昼も夜も異様な男たちがウロウロするようになって、ご近所の人たちに、気味悪がられてる。

 警察に相談してみたりもしたのだけど、一向に改善されない。

 パトロールしてくれるなんていっていたけど、日に何度か、パトカーが家の前を通り過ぎていくだけ。そんな程度じゃ、全然、効果なんてないよ。まったく、もう!

 こんな状態で私がのんきに一人歩きなんかしちゃったら、男たちが、どんなバカなことを考えたりしちゃうか。

 そういうバカな考えの犠牲に私だってなりたくないもん!

 だから、このところ毎朝、パパの車に送ってもらって学校へ通っている。

 今日も、パパと一緒にガレージへ向かって、助手席へ。

 シートベルトをしめて、玄関の外へ出てきたママに行ってきまーすって手を振った。

 出発進行!

 さあさあ、男ども! 道をあけぇい! つかさ様のお通りだい!

 どかねぇと、轢いていっちゃうぞ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ