スローライフ2 酒造り
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【スローライフ2 酒造り】
さて、問題は酒だ。
造っていいものか。
『『『何を悩んどる。造るに決まっておろう』』』
もう、神さまたちの勢いが違う。
だから躊躇するんだよね。
特に、鍛冶の神バルカン様。
何しろ、治療前はアル中で手が震えていたぐらいだ。
『バルカン様。今度アル中になったら、断酒ですからね』
僕は念を押す。
『わかっておる、わかっておる。じゃが、ワシの造る酒は天下一品じゃぞ』
造ったことないのに何故そんなに自信満々なんだろうか。
『当たり前じゃ。ワシは酒の神じゃからの』
いつの間にか、酒の神さまってことになってる。
確か、酒の神さまはバッカスという名前だったと思うけど。
『バッカスか。あれは問題児じゃ』
バッカスは世界中を旅し、いつでも酔っ払っており、信者は踊り狂って彼の後を追い、信者にならないものを見つけては動物に変身させ、或いは首つりの刑に処し、混乱と酩酊をばらまくという噂であった。
悲劇好きで知られ、彼を信仰する地方ではバッカス劇場を造成して、毎年大バッカス祭を行って悲劇を上演することで有名である。
『奴には内緒にしとけ。呼ぶとやっかいじゃぞ』
うーむ。バルカン様に言われたくはないだろうけど。
『では、大麦を栽培して、エールとウィスキーを造ってみましょう』
『ウィスキーとな?』
『エールを蒸留したようなお酒です』
やはり、天界でとれる作物はすべて品質が高い。
エールはもともとフルーティな味わいであるが、
天界のエールは芳香が凄い。
『造ったワシが言うのもなんじゃが、実に香り高いエールじゃの』
『そうですね。様々な果実の香りがします。それにコクも凄いですね』
ウィスキーは途中までエールの醸造過程がだぶる。
醸造した大麦の醸造酒を蒸留していく。
そのあと、湿地帯で採れる泥炭を乾かして燃料にしたもの(ピートモス)で蒸留していく。そのときに独特のピート香が酒に移るというわけだ。
『これは酒精が強烈じゃの。美味いのかどうかはちょっとわからん』
『この酒は少し寝かす必要があります。3年とか7年とか。35年というのもありますね』
『そんなに待てるわけがなかろう。なんとかせい』
『では、ちょっとルール違反ですが、熟成魔法をかけてみます』
僕はウィスキーの原酒に熟成魔法をかけて、3年寝かしたような酒にした。
『ほお、確かにまろ味が加わって味が落ち着いてきたの』
『熟成魔法は本当の熟成させたものよりは味が落ちますけどね』
僕はさらに熟成させて、10年程度の熟成度の酒にした。
『おお、これはええじゃないか。香りも高貴だし、味も深みがある』
『おい、おまえらだけで楽しむんじゃないぞ。早くこっちにもってこんか』
大宴会が始まった。
肉系の料理はたんまりある。
まあ、僕とフィナが料理するんだけどね。
『ワシはウィスキーもええが、エールと焼き肉の組み合わせがたまらんの』
『私はソーセージとスモークチーズの盛り合わせとウィスキーね』
『ウィスキーもトワイスアップっていうの?水割りも美味しいわ』
『私は、炭酸で割るのが好き』
どんどんとエールとウィスキーが消費されていく。
何しろ、樽単位で呑んだくれるのだ。
三日三晩宴会が続き、神様たちが全員酔いつぶれてお開きとなった。
『うう、頭が痛いのじゃ』
『ブランディーヌ、回復魔法お願い』
マリア(女神ブランディーヌ)は即座に二日酔いを治す。
『ブランディーヌの回復魔法はますます冴えてきたの』
『魔力だと、神々の中でもトップクラスだからね』
『掃除は残念な子じゃが』
『残念ちゃうわ』
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